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建築家インタビュー
  • 掲載:2026年01月22日 更新:2026年01月22日

「感じる映像」「空間に生きるアート」を生み出す空間を演出
デジタルアーティスト 木之内憲子

Noriko Kinouchi Original Digital Artworks
Noriko Kinouchi Original Digital Artworks 木之内憲子
Noriko Kinouchi Original Digital Artworks
木之内憲子(きのうちのりこ)
デジタルアーティスト

【経歴】

・東京都在住

・東京芸術大学美術学部絵画科及び同大大学院(版画研究室)修了

・修了後、デジタルアートワークを制作

・現在Noriko Kinouchi Original Digital Artworks でデジタルアートの企画・製作を行う


【受賞歴】

2016年
アジアデジタルアート大賞展 静止画部門 入賞
2017年
アジアデジタルアート大賞展 動画部門 大賞
2020年
Sky Design Award 2020 ショートリスト

ほか受賞歴多数



"静"と"動"が織りなす自然の営みを表現する癒しの空間づくり

最近お客様からの非常に多いと感じる要望としては「癒し」と「特別感」を両立した空間です。
特に商業施設やホテルなどでは、“ただの白い壁”や静的な内装ではなく、時間や季節の移ろいに合わせて変化する「動き」や「空気感」を空間に取り入れたいという要望が増えています。私は映像を使い、光や自然のリズムを空間に溶け込ませることで、こうしたニーズに応えています。例えば、水面の揺らぎや木漏れ日、風に揺れる草花や海中の生き物などをモチーフにした映像を、空間全体のトーンや照明と調和させ、訪れる人が自然にリラックスできる環境を演出します。
また、映像そのものにクライアントの経営哲学やブランドのメッセージをアートとして組み込み、単なる装飾ではなく、そこに込められたストーリーや価値観を感じられる空間を目指しています。こうした取り組みにより、訪れた人が特別な体験や記憶を持ち帰ることができる、唯一無二の空間づくりを実現しています。

撮影:Tomohiro Saruyama

         

世界で進化していく技術革新に触れインスピレーションから生まれる「生きた空間演出」

デジタルアートは常に技術革新の影響を受ける分野のため、新しい映像技術やメディアアート、空間演出の最新動向を国内外問わずリサーチしています。
美術館や展示会、建築・照明分野の新作事例などからも積極的にインスピレーションを取り入れ、作品へ反映しています。制作においては、テンプレート化できる演出や色彩設計のロジック化を進め、効率化と表現の幅を両立。これにより短期間でも品質を保ちながら、クライアントごとに最適化した映像演出をスピーディに提供できます。
代表的な取組みとして「Ambient Wall」という“光のプロダクト”を開発。自然の水面や木漏れ日、季節の移ろい、海中の生物などをモチーフにしたアンビエント映像をパッケージ化し、ホテルや商業空間の演出に導入しています。今後はAIやインタラクティブ要素を組み合わせ、天候や時間、来場者の動きに応じて変化する“生きた空間演出”へと進化させ、光と映像で新しい空間価値を創造していきたいです。

映像化することで見えてくる空間全体の明確化を実践

私自身は建築設計を専門としていませんが、建築・インテリア設計チームとのコラボレーションの中で、BIM連携の重要性は強く意識しています。
特に映像を空間に溶け込ませるためには、壁や天井の仕上げ、照明の配置、映像投影の角度や距離といった条件を、設計初期から共有しておくことが不可欠です。そのため、BIMデータ上に映像演出のスペースや機材設置条件を反映させ、建築と映像の最適な統合を目指す仕組みの構築を今後の課題としています。
現段階では、実際の環境を再現した3D グラフィックやCG 動画を制作し、提案段階からクライアントや設計チームに共有することで、完成後のイメージを明確化し、修正や調整の手間を大幅に削減しています。これにより、設計工程の効率化だけでなく、空間全体のクオリティ向上にもつながっています。将来的にはBIMデータと映像制作の工程を直接リンクさせ、より短期間で精度の高い空間演出を実現したいと考えています。

撮影:Tomohiro Saruyama


移り変わるトレンドの背景を知ることで独自の"イロ"を溶け込ませるスタイルを意識

トレンドは常に意識していますが、単なる流行追随ではなく、その背景にある社会や技術の動きを捉えることを重視しています。
デジタルアートは技術革新の影響を強く受ける分野ですので、映像技術やメディアアート、空間演出の最新事例を国内外で幅広くリサーチしていますが、加えて自分のスタイルとして伝統的な日本の美意識が根源にありますのでその基本となる自然のモチーフや光のニュアンスと最新の技術や文化的流行を組み合わせ、オーセンティックでありながらどこか「見たことがない」「新しい」映像やグラフィックをデザインをすることを心がけています。これにより、一過性ではない持続的な価値を持つ作品として空間に溶け込ませることができます。

撮影:Tomohiro Saruyama

         

デジタルアートの分野が与える空間価値の無限の可能性

近年、経済環境は厳しさを増し、建材やエネルギーコストの高騰、夏の猛暑や異常気象など、住環境を取り巻く条件は年々過酷になっています。こうした状況では、従来の構造や意匠だけで空間価値を維持することは難しくなりつつあります。その中で、デジタルアートが果たせる役割は非常に大きいと考えています。映像やグラフィックアートは、空間の骨格を変えることなく印象や雰囲気を大きく変化させられる柔軟性を持ち、環境や用途の変化に合わせて演出を更新できます。
例えば、朝の光のような柔らかな映像で一日の始まりを穏やかに演出したり、夜には深いブルーや煌めく水面を映し出して非日常感を醸成することも可能です。四季や天候、時間帯、イベントに合わせて表情を変える空間は、訪れる人に常に新鮮な体験を与え、継続的な価値向上を実現します。
私は、建築家や空間デザイナーと企画段階から協働し、光や映像を設計図面の時点で組み込み、竣工後もアップデート可能な空間を共創したいと考えています。このアプローチにより、空間は完成後も“生き続ける”存在となり、使い手や時代の変化に寄り添いながら進化していきます。今後、建築家や空間デザイナーは、設計者の枠を超えて照明・映像・音・香りといった感覚要素を総合的にプロデュースする「空間プロデューサー」へと進化していく可能性があります。デジタルアートはその変化を後押しする重要な要素であり、私はデジタルアート製作者として物質的な美しさとデジタルの可変性を融合させ、時代や環境にしなやかに適応する空間づくりを支えていきたいと考えています。

撮影:Tomohiro Saruyama




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「Noriko Kinouchi Original Digital Artworks 木之内 憲子」の建築への思いと建築作品

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