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建築家インタビュー
  • 掲載:2025年05月23日 更新:2025年05月30日

流行に左右されない50年後、100年後も良いと思えるデザインをしてきたいと考えています。
塚田裕之建築設計事務所 塚田裕之

塚田裕之建築設計事務所
塚田裕之建築設計事務所 塚田裕之
塚田裕之建築設計事務所
塚田裕之(つかだひろゆき)
一級建築士 管理建築士

〒155-0031
東京都世田谷区北沢3-27-4 立木ビル2F
【経歴】

1986年
神奈川県生まれ
2008年
法政大学工学部建築学科 卒業
2010年
法政大学大学院建設工学科 修了
2010-2012年
アイガー産業
2013-2017年
シーラカンスK&H
2017年
塚田裕之建築設計事務所 設立

【受賞歴】

・2020年
グッドデザイン賞
・2023年
Sky Design Award The New Black


固定概念や先入観を持たず、色々なことに挑戦する

実際に建物を見に行くことや美術館の展覧会にいって、建築に限らず色々な表現を見て学んでいます。また今は設計やプレゼンを行うために様々なツールがあり日々アップデートされていますから、一つ一つ学んで使っていく必要があります。 そういった体験や、学びが今の時代らしい表現に繋がっていくと思います。デザインにおいてはなるべく固定概念や先入観を持たず、好奇心を持って色々なことに挑戦しています。
今は多様性に重きが置かれる時代ですので、多様性に則した空間的な価値が提示できるか問われていると思います。

andbeautiful
美容室として髪という浮遊感や、可愛さ、繊細さを感じさせる空間、お客さまとのコミュニケーションを大切にしたいという思いから、丸い大きい鏡と女優照明で明るく包み込むような空間としています。

BIMは空間をわかりやすく正確に理解できる

BIMや3Dプリンターを取り入れています。図面だと理解しづらい部分や手作業で時間が掛かる模型を3Dプリンターで出力できるのは、フィードバックが早く設計を行うに非常に便利になったと思います。
また建築は非常に多くの選択肢を決定していくこと。色々な人が関わっていくので、普段図面を見ない人や、計画・工事に関わる人達に対してわかりやすく正確に理解できる情報を共有して積み重ねていくことが重要です。色々な計画の検討をするうえで、どういう形が良いのか、BIMだと図面と3Dのイメージを伴って確認できるので最適なツールだと思います。


andbeautiful fifth floor
andbeautifulの新店舗としてお店のコンセプトは引き継ぎながらロングテーブルのカットスペースとサークル型の女優照明などを新たにデザインし、小さな変化で新しい空間体験を提供しました。

一緒に現場に身を置いて同じ時間を共有することは大切なことだと思います

施工会社に現場監督として勤めていたこともあり、その期間は毎日のように職人さんとのコミュニケーションを取っておりました。 重要なのはどういった道具を使い、どういった工程・技術で組み上げていくのかを目で見て理解することです。そのことを理解しつつ、作り方を含めて形を提案することでコミュニケーションを取っています。

また現場での職人さんは作業時間に決まった時間に休憩を取るので、その場で一緒に雑談したりしながら、他愛もない会話をしたりするようにしています。お互いどういう人が作業していて、どういう人が設計しているという人柄を感じながら、一緒に現場に身を置いて同じ時間を共有していくこともコミュニケーションを取りながら作り上げていくうえで大切なことだと思います。

House F
築40年過ぎの空き家を再生する計画です。子どもの成長に合わせて住まい方を考えたいということで、周辺の緑を取り込みながら余白をつくるように計画しています。2階の床を取り払い吹き抜け上をつくり、1階の床を土間にしたリビングと庭が一体的な住空間としています。

施主とともに課題や問題に向き合い作り上げていくことが重要

施主は色々な思いや夢をお持ちの方がいますので、その中で難しい・無理な注文などは当然あるかと思います。なぜそれが難しいのか、無理なのか納得してもらうように具体的な説明を心掛けています。単に口頭で説明するだけでは無く、実際に手を動かしてみて検証してその過程も共有することも重要です。それを説明することで施主側も理解することができれば、また違った形で要望を考えてこちら側に出せたり、こちらからも代替案として違った提案ができます。
当初考えていたものがそのまま立ち上がるということはほとんどなく、ほとんどが話し合いの中で形を変えながら組上がっていきます。計画というのは一方的に進められるものでは無く、施主とともに課題や問題に向き合い作り上げていくことが重要だと考えています。

また時にはその無理や難しいと思われた要望が特徴的な解決方法としてデザイン生み出したりする良い方向に働くこともあります。何でもいいものより、こうしないといけないという風に、無理や難しいものほど選択肢が狭まるのです。そういうことがあるので無理や難しい注文を楽しみたいとも思っています。忖度なく互いが良いと思えるものをつくっていきたいです。

Residence Y
ホテルような住居とするため、リビングをラウンジとして携え、壁面収納で片づけやすい環境をつくり暖炉やオープンカウンターのキッチン等のおもてなしのしやすい空間としてます。

流行に左右されない50年後、100年後も良いと思えるデザインをしてきたい

トレンドとはどういうものか見定める必要があると思います。今やSNS、専門誌、インターネットの普及などで海外の建築やインテリアのデザインを目にする機会も多くなっています。その多くは視覚的な情報に留まりますが建築やインテリアは肌で感じ、長く使われるものなので、一時的な流行だけで取り入れるのは良くないと思います。身体的、機能的、環境的、持続可能性などの側面から判断するべきだと思います。
理想的なのは流行左右されない50年後、100年後も良いと思えるデザインしてきたいと考えています。もちろんトレンドになるということは、次の社会を形づくるもので秀でたものであると考えられるので生活に新鮮さや豊かさを与えることとして意識するべきことかと思います。

超速鮮魚寿司 羽田市場 阪神梅田本店
関西初出店となる羽田市場らしいお寿司屋さんとしてデザインを考案しています。 「羽」という文字からパターンをつくり光壁として空間に明るさや軽やかさを生み出しています。明るく眺望の良いお寿司屋さんです。





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2007年秋にスタートした、取材させて頂いている建築家へのインタビュー記事です。住宅、集合住宅、商業施設、公共施設など建築家の体験談をお楽しみください。