COLUMN

コラム

掲載：2025年12月02日更新：2025年12月12日

【万博採用建材】ガラスの美しさと金属の堅牢性を融合したホーロー「エマウォール」

大阪・関西万博では、各国のパビリオンや共用施設、屋外設備にいたるまで、機能性・美しさ・環境配慮を高次元で融合させた多彩な建材が採用されました。本連載「万博採用建材」では、実際に万博で使用された建材メーカーの製品を取り上げ、採用の背景や開発の裏側、そしてそれぞれの建材が空間にもたらす価値を深堀して紹介します。
今回は、タカラスタンダードのホーロー「エマウォール」です。

タカラスタンダードのカタログ

目　次

採用された製品

採用製品：ホーロー建材「エマウォール」

メーカー：タカラスタンダード株式会社

採用された経緯

大阪・関西万博では、SDGsの理念に基づき、若手建築家による多様性と創造性に富んだ施設設計が進められました。タカラスタンダードはこの理念に賛同し、耐久性・意匠性・清掃性に優れたホーロー建材「エマウォール」を提供しました。

「ポップアップステージ西」では、高精細な印刷表現と外装材としての耐久性が評価され、壁と屋根に採用されました。 「トイレ2」では、残念石の形状に合わせたレーザーカット技術を活用し、石を傷つけずに設置する工夫が施されました。 「トイレ8」では、グレーグラデーションの内装により、ジェンダーや宗教など多様な背景を持つ人々が快適に利用できる空間を演出しています。
これらの取り組みは、未来社会の実験場としての万博の趣旨に合致し、今後の製品開発にも活用される予定です。

採用場所

出典：Expo2025 大阪・関西万博：ポーランドパビリオンより

出展地域　：セービングゾーン、シグネチャーゾーン

会場エリア：ポップアップステージ西、トイレ2、トイレ8

万博採用写真

製品の特長

材質: 鋼板ホーロー（鉄・ガラス）
寸法: 910ｘ2400 or 2700（※特寸対応あり）
色調: 柄：無地、木目、石目、アートなど　（※オリジナル柄対応可能）
主な用途: 外装壁材 / 内装壁材 / ホワイトボード
設置場所: 駅、オフィス、学校、病院、ホテル、公共施設、商業施設等

タカラスタンダードのカタログ

開発で苦労したこと

今回採用にあたって、設計者の意図や空間表現を尊重し、従来の製品仕様にとらわれない柔軟な対応を行いました。
「ポップアップステージ　西」では、壁屋根一体化するという設計者の挑戦に応え、雨樋を壁・屋根に組み込む構造にチャレンジしました。止水性と意匠性を両立させるため、継ぎ目の処理方法の工夫も施しました。
「トイレ2」では、石材を傷つけずに建築に取り込むという設計者の思いを受け、3Dスキャンデータをもとにレーザーカットし石の形状に合わせながら、耐候性アップのための端面処理という新たな技術も導入しました。
「トイレ8」では、限られたスペースでも開放感を演出するため、グレーグラデーションデザインを表現する印刷技術が活かされています。これらの取り組みは今後の製品開発にも大きな示唆を与えるものとなりました。

製品の活用例・施工実績

TS京都南SR

アパホテル_広島

サインパネルひき

ゆいレール石嶺駅

横浜地下鉄_新横浜

桜川保育園

三幸学園広島校

清水建設九州支店エントランス

大阪メトロ_関目成育駅

徳島文理大学

タカラスタンダードのカタログ

建材ナビ担当者より

ガラスの艶やかな美しさと、金属の持つ圧倒的な堅牢性という、相反する要素を両立させた建材は稀有な存在です。汚れに強く、色あせる事もなく万博のような大規模なプロジェクトに採用された実績は、その高性能と信頼性の証です。
さらに、オーダーメイドで任意のデザインを表現できるため、建物の表情を豊かにする意匠性の高さも魅力の一つと思います。未来の建築を彩るにふさわしい、非常に優れた外装材だと感じました。

タカラスタンダード　担当:山田