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  • 掲載:2026年06月04日 更新:2026年06月04日

一般社団法人 東京都建築士事務所協会「東京会 第3回女性交流会2026」
一般社団法人東京都建築士事務所協会

第3回女性交流会集合写真
例年開催が決定した、今回で3回目となる「東京会 女性交流会」が開催されました。
建築業界における女性のネットワーク構築と、その活躍を「見える化」する新たな試みが動き出しています。
今年度の舞台となるのは、創業100周年を機に社屋を移転した、株式会社安井建築設計事務所の東京事務所です。単なるオフィス移転に留まらず、地域とつながる「場」の創出を実践する同社の取り組みと、これからの建築界における女性の働き方に焦点を当てた本会の模様を紹介します。

第3回女性交流会開催概要

美土代クリエイティブ特区
主旨
全国大会女性交流会報告と東京会女性会員等の見える化・推進を兼ねた「東京会女性交流会」を、毎年行えることになりました。
今年は株式会社安井建築設計事務所東京事務所1階に設置された「美土代クリエイティブ特区」が会場です。
創業100年を機に社屋を移転し、地域とつながりながら学びや創造を後押しする場を実践するアプローチと、同社の女性活躍推進等についての講演をいただいた後、執務フロア等を見学します。
建築に関わる女性が顔を合わせ、交流を深めるため、設計事務所の展望や女性の働き方等の意見交換を行います
開催日
2026年5月14日(木)13:00~16:45
会場
第1部・第2部共
株式会社安井建築設計事務所東京事務所 1階
美土代クリエイティブ特区

会場となった「美土代クリエイティブ特区」は、地域や様々なコミュニケーションを紡ぐ多様な場と伺っています。キッチンもあり、所員のアフターファイブの懇親も行われています



千鳥会長(東京都建築士事務所協会)ご挨拶

東京都建築士事務所協会 千鳥会長
本日はお忙しい中、この「第3回女性交流会」にお集まりいただき、誠にありがとうございます。
皆さんは当協会の会員でいらっしゃいますので、協会の目的についてはすでにご存知かと思いますが、改めて大きな二つの柱についてお話しします。一つ目は「建築設計界の発展のために貢献すること」、そして二つ目が「地域社会への貢献活動に資すること」です。他にも様々な活動がございますが、この二つが大きな目的であり、本日の後半のテーマも、まさにこれに沿ったものとなっています。
本来、建築設計の世界というのは、比較的古くから女性が活躍しやすい分野であると言われてきました。しかしながら、当協会全体を見渡してみますと、残念ながら女性が活躍できる機会はまだ少なく、私としては大変心苦しく、また残念に思っております。

本日は、皆さんが今後ますます活躍の場を広げていけるよう、互いに様々な情報を共有し、交流を深めていただきたいと考えています。それが皆さん自身のこれからのキャリアや企画に繋がり、ひいては建築設計界全体への貢献として花開いていくことを切に願っております。
本日は、安井建築設計事務所様の素晴らしいオフィスをお借りして、このような貴重な機会を持つことができました。今日という時間が、皆さんにとって有意義なものとなりますよう祈念いたしまして、私のご挨拶とさせていただきます。本日はよろしくお願いいたします。




株式会社安井建築設計事務所 佐野吉彦社長 ご挨拶

株式会社安井建築設計事務所 佐野吉彦社長
安井建築設計事務所の社長を務めております佐野でございます。本日はようこそお越しくださいました。このスペースのコンセプトについては、また後ほど詳しくご説明できればと思いますが、ここは「真面目に仕事をするだけの場所」にとどまらない、多様な使い方ができるオフィスを目指して作りました。特に1階は地域に開かれた空間としており、専門的なイベントだけでなく、時にはもっとカジュアルに、自由な発想で使っていただけるような、そんなオフィスの在り方を模索しています。本日お越しの皆様にも、ぜひ実際に体験していただき、率直なご意見をいただければ幸いです。

私自身も、建築士事務所協会の活動には長く携わってまいりました。ですから、こうして協会の活動のために私たちのオフィスを使っていただけることを、心から嬉しく思っております。先ほど千鳥会長からお話がありました通り、建築という分野はもともと女性がその存在感を存分に発揮すべき領域です。そして、これからの建築界をより良く、より魅力的なものに変えていくためには、今日お集まりの皆様のような方々の推進力が不可欠であると確信しています。

近い将来、千鳥会長のあとを継ぐ形で、この東京建築士事務所協会に女性の会長や女性の理事陣が次々と誕生する——。そんな時代が来ることを、私は今から非常に楽しみにしております。
本日はこの貴重な時間を使って、皆様の間で前向きで活発な議論や交流がなされることを心より期待しております。どうぞ、ごゆっくりとお過ごしください。



全国大会女性交流会2025(新潟大会)の報告

全国大会女性交流会2025(新潟大会)の報告
杉本副会長より、2025年10月に開催された「全国大会女性交流会2025(新潟大会)」の振り返りが行われました。
【活動内容】
56名の女性建築士が参加。グループ討論やランチセッションを通じた交流。

【議論された課題】
・女性技術者の絶対的な少なさ。
・(特に地方において)子育て世代の建築士のロールモデルが不足している。

【ポジティブな発見】
女性ならではの細やかなネットワークや、心でつながる交流の重要性が再確認された。


地域と関わる設計事務所 「美土代クリエイティブ特区」と女性活躍推進


講演

株式会社安井建築設計事務所 小林寧々さんによる講演
株式会社安井建築設計事務所 小林寧々さんによる講演

本日は『設計事務所がまちにひらくとどうなるか』というテーマで、安井事務所の東京事務所が神田美土代町に移転してからの取り組みをご紹介します。築60年の既存ビル『ワークヴィラ美土代』を改修し、単なるオフィスではなく、街とつながる場所として再生しました。1階は『美土代クリエイティブトップ』というパブリックスペースで、街の方も立ち寄れる開かれた空間に。2・3階は執務空間、地下にはテナント共有ラウンジ、屋上には食べられる植栽のあるガーデンを設け、働くだけでなく交流や生活も生まれる場を目指しています。

改修では、交差点側をガラス張りにして街に賑わいを開き、新しいエントランスやポケットパークを設けることで、気持ちよく過ごせる空間をつくりました。また、路地側はヒューマンスケールの素材感を大切にし、街並みに馴染むデザインとしています。内部では既存躯体や補強材をあえて見せ、ビルの歴史や価値を共有できる空間にしています。

環境面では既存建物を活用することで、新築比78%のCO2排出削減を実現し、BELS認証も取得しました。さらに自然換気も取り入れ、持続可能な運用を行っています。
この場所では、コーヒーイベントやアート展示、コンサートなど、建築に限らない多様な活動を実施しています。『作り込まないデザイン』をコンセプトに、使い手みんなが場を育て、地域や人とのつながりを生み出す拠点として、今も運営を続けています。

セッション

佐古慎一さん・脇宗一郎さん・小林寧々さんによるセッション
左から、佐古慎一さん、脇宗一郎さん、小林寧々さん

株式会社安井建築設計事務所
所長 佐古慎一さん / 企画部長 脇宗一郎さん / 主任 小林寧々さんによるセッション


―佐古さん
建築設計やまちづくりを考えるうえで、「自分たち自身が実践すること」が大事だと思っています。設計だけでなく、自分たちが地域に開かれた場をつくり、実際に体験することで、社員一人ひとりの中にまちづくりへの思いや主体性が育つのではないかと考えています。そうした経験が、最終的にはより良い提案や建築につながると思っています。
実際に働く環境についても、人によって集中できる場所や状態は違います。静かな場所で一人になりたい時もあれば、誰かと会話しながら考えたい時もある。だからこそ、窓際の明るい場所や、一人で集中できるブース、みんなで集まれるスペースなど、いろいろな居場所を用意しています。その時々の仕事や体調に合わせて、自分で場所を選べることが大切だと思っています。
一方で、最近はチャット中心のコミュニケーションになり、職場が静かになりすぎる課題も感じています。試行錯誤しながらコミュニケーションを改善しています。
今回の交流会も、新しい出会いや学びにつながる場になれば嬉しいです。
―小林さん
この2年間、社内でイベントや交流の取り組みを進めてきましたが、正直なところ、まだ十分に活かし切れていないと感じています。
設計業務そのものが忙しい中で、イベントの企画や運営まで行うのはなかなか大変です。今は、「こんなことをやりたい」と思った人が主体的に動く形にしていますが、思いがあっても実際の行動までつながらないケースも多いです。だからこそ、単発ではなく、場所や活動を継続的に活かしていける体制づくりが必要だと思っています。みんなが自然に関われる仕組みを、これからもっと考えていきたいです。
―脇さん
効率よく働ける環境というのは、人によって違うと思っています。私は30年以上建築に関わっていますが、時代によって建築も働き方も変わっていくので、常に新しい建築を実際に見に行き、自分で体験しながら学び続けています。
また、今の時代は空間だけではなく、ソフトウェアやデジタル環境も非常に重要です。特にBIMなどの新しい設計ツールは、導入すれば終わりではなく、「どう使いこなすか」が大きな課題になっています。実際には、ソフトを導入しても、教えてくれる人やフォロー体制が不足していて、十分活用できていない会社も多いと感じています。
そのため、協会としては、今後、ソフト導入後のフォローや勉強会を無償で行い、企業同士が学び合える場をつくっていく予定です。そうした支援によって、業務効率だけでなく、働く環境そのものもより良くしていければと思っています。



株式会社安井建築設計事務所 東京事務所 見学会

株式会社安井建築設計事務所 東京事務所 見学会
執務フロア等の施設見学会が行われました。



意見交換懇親会

意見交換・懇親会
意見交換懇親会 テーマ
A:講演及び見学を通して設計事務所としてわたしたちが地域とできること?
B:女性交流会・女性活躍推進に期待すること
報告:班別感想・お伺いしたいこと等
フリートーキング:設計事務所の展望、地域との関わり女性活躍推進に期待すること(いま気になっていること・したいことなど)




取材後記

KENZAI-NAVI Media Planner 秋葉 早紀(二級建築士)
前回に引き続き、第3回目を迎えた女性交流会を取材させていただきました。今回の会場となった安井建築設計事務所の東京事務所は、まさに活発な意見交流の場にふさわしい、オープンで温かみのある空間でした。
本見学会で紹介された新オフィスは、築60年のビルを「街に開く」というコンセプトのもと、周辺環境や歴史的背景に寄り添う形で再生されたリノベーション建築です。高い環境性能(BELS取得)や自然換気の導入、そして使い手が自由に空間を編集できる「作り込まないデザイン」の実践など、持続可能かつクリエイティブなオフィスの在り方に深い感銘を受けました。
この開放的で心地よい空間だからこそ、参加者の皆様の対話も自然と弾み、建築業界の未来や「誰もが生き生きと働きやすい環境とは何か」を深く掘り下げる、極めて有意義な時間となりました。改めて業界内における女性の活躍に大きな期待を抱くと共に、手を取り合って想いをシェアできるこうした交流会の重要性を強く実感しています。今後も、このような横のつながりを育む貴重な機会を大切にし、メディアとしてもその歩みを応援し続けてまいりたいと思います。



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