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掲載:2025年06月05日更新:2025年06月05日

大阪・関西万博後、注目の総合型リゾートIRが夢洲に開業予定|最新情報

大阪・関西万博の開催地である夢洲(ゆめしま)では、万博終了後に、日本で初めての総合型リゾート(IR)・カジノ施設の開業が計画されています。IRとは、カジノを含むホテルや国際会議場、展示施設などを備えた大規模な複合観光施設であり、観光振興とビジネス拠点の両面から関心を集める都市開発の中核です。

本記事では、IRの概要や万博とのつながり、夢洲のまちづくり計画、経済波及効果、地域社会への影響について解説します。

1.大阪・関西万博後の総合型リゾートIRの概要

大阪・関西万博後の総合型リゾートIRの概要
夢洲では、万博後に新たな観光拠点としてIR(統合型リゾート)の整備が進められており、日本で初めてのIR事業として、大阪府・大阪市が進める広域開発の重要な柱とされています。

総合型リゾートIRとは何か

IRとは「Integrated Resort」の略称で、カジノを含む宿泊施設や国際会議場、展示ホール、商業施設、劇場などが一体となった複合施設です。単なる娯楽施設ではなく、長期滞在型の観光地やビジネス拠点としての機能が求められています。

世界的な成功事例には、シンガポールのマリーナベイ・サンズや、韓国の仁川パラダイスシティがあり、これらは経済の活性化や雇用の創出、地域ブランドの向上にも貢献してきました。

日本では2016年にIR推進法、2018年にIR整備法が成立し、特定区域に限定してカジノを含む施設の建設が認められました。現在、大阪府・大阪市は夢洲でのIR実現に向けた取り組みを進めています。

カジノの役割と社会的な位置づけ

IRの中核として注目されるカジノですが、日本では依存症などの懸念がある一方で、世界では観光収益の重要な要素としての位置付けです。

さらに、カジノの収益の一部は、地域の福祉、教育、防災など公共的な事業に活用される計画であり、観光資源としてだけでなく、地域貢献の仕組みもあわせて設計されています。

大阪・関西万博と総合型リゾートIRの関連性

夢洲を舞台とする大阪・関西万博とIR開業プロジェクトは、インフラ整備や都市機能の継承という点で密接なつながりがあります。

万博では、日本館や各国のパビリオンによる先端技術や文化の展示が行われ、多くの来場者でにぎわっています。これにより整備された交通網やエネルギー基盤は、IR開業後にも活用され、地域の観光・経済の中核機能を担うことが期待されるでしょう。

2.2025年開催|大阪・関西万博の役割と期待

屋外・屋内対応の高精細LEDビジョン(株式会社オール)
関連ページ:屋外・屋内対応の高精細LEDビジョン|株式会社オール
2025年に開幕した大阪・関西万博は、「いのち輝く未来社会のデザイン」というテーマのもと、世界中から先進技術と知見が集まるイベントとしてスタートしました。モビリティや再生可能エネルギー、医療・バイオテクノロジーなどの分野では、実証実験が進行しており、未来社会のモデルづくりが期待されています。

万博会場となる夢洲では、交通・エネルギーのスマート化が進められており、万博終了後も持続的に都市機能を維持する設計となっています。このような背景が、IR整備にも大きく関係すると言えるでしょう。

参考: 大阪・関西万博(公益社団法人2025年日本国際博覧会協会)

3.大阪・関西万博閉幕後の夢洲の開発計画

万博終了後の夢洲では、IRを軸に観光・ビジネス・防災・環境の各機能を融合した都市開発が進められる予定です。跡地利用ではなく、国内外から人・企業・資源を呼び込む持続可能な国際都市を目指しています。

目指す将来像と開発都市の方向性

写真:内装用パネル「サカイリブ」(株式会社サカイ)
関連ページ:内装用パネル「サカイリブ」|株式会社サカイ
大阪府と大阪IR株式会社は、夢洲を観光・MICE・商業・宿泊・エンターテインメントなど多機能を備えた未来型都市として整備する方針を発表しています。主な施設構成は以下の通りです。
・ ホテル客室:約2,500室
・ 国際会議場:収容約6,000人
・ 展示施設:約6,000㎡
・ 劇場型エンターテインメント
・ 商業エリア・レストラン
・ 公園・水辺空間などの憩いの場
・ 開発面積:約49ヘクタール
これらの都市機能に加え、再生可能エネルギーやスマートセキュリティの導入も検討されており、夢洲は「スマート観光都市」として発展することが期待されています。

インフラ・災害対策などの課題と懸念点

写真:アクアスクード 防潮扉/防潮パネル(三和鋼業株式会社)
夢洲の都市整備には、地盤や高潮リスクといった災害対策、長期運営に向けたインフラ維持の課題が挙げられています。特に交通面では、万博にあわせて整備された鉄道やバス路線が、万博終了後にも市民・観光客双方にとって利便性を保てるかが重要な要素です。

また、カジノの導入に対してはギャンブル依存症や治安対策への懸念もあり、大阪市は入場回数制限や本人確認の厳格化など制度面の対応を進めています。

IR開業による経済効果と地域社会への影響

大阪府・市の発表によると、IRが開業すれば年間で約1.1兆円の経済波及効果と、最大約9万人の雇用創出が見込まれています。関連産業や観光、交通、小売、飲食など多方面で活性化されるでしょう。

一方で、交通量の増加や地価上昇、住宅価格の変動など、地域住民の生活環境への影響も指摘されています。IR推進局を中心に、治安対策や依存症対策を含む社会的課題への取り組みが必要とされています。

また、IR整備にともなう建設工事や施設運営においては、地元企業の参加機会の創出も重要視されています。地域の建設業者や飲食業、小売業、運輸業などと連携し、地元経済に直接的な恩恵がもたらされるような仕組みづくりが進められている点にも注目です。

さらに、大阪・関西エリア全体で観光資源や文化施設と連動した広域連携の可能性も検討されており、夢洲を起点に関西の観光動線が再構築されることで、新たな観光ルートの形成にもつながると期待されています。

このようにIRは単体の商業施設にとどまらず、地域経済・雇用・観光・国際交流といった多方面にわたる影響力を持つ都市機能として整備が進められているのです。

参考: 大阪IR特設サイト(大阪府) 大阪IR整備計画(大阪IR株式会社)

まとめ|2029年、夢洲に新たな都市拠点が誕生へ

アルミ製スライディング窓(シューコー・ジャパン株式会社)
関連ページ:アルミ製スライディング窓|シューコー・ジャパン株式会社
夢洲では、2029年のIR開業に向けて都市再構築が進行しています。IRは観光・国際会議・エンターテインメントの融合を軸に据え、未来志向の都市像を描いています。大阪・関西万博の開催によって整備されたインフラや注目度を受け継ぎ、関西圏全体の経済活性化と国際競争力の向上に寄与する構想です。

IR構想が現実のものとなることで、夢洲は持続可能な都市として生まれ変わり、日本の観光・ビジネスの新たな拠点となることが期待されています。

今後は、IRの建設工事の進捗や運営事業者との連携計画など、実務面での動きにも注目が集まっています。夢洲の変化は、大阪の都市政策や日本の観光戦略全体にも波及する可能性があり、引き続きその動向を見守る必要があるでしょう。


著者(長谷川裕美)プロフィール

建築・インテリアの専門学校卒業後、設計事務所や住宅メーカーに勤務。
現在は建築関連のライターとして活動中。
常に変化する建築業界の話題を丁寧にお届けします。




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