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建築家インタビュー
  • 掲載:2011年03月06日 更新:2024年12月06日

地域で活きる人たちの為の建築を魂を込めて造る
有限会社設計工房アーバンハウス 小野寺一彦

有限会社設計工房アーバンハウス
有限会社設計工房アーバンハウス 小野寺一彦
有限会社設計工房アーバンハウス
小野寺一彦(おのでらかずひこ)
代表取締役

〒080-0016
北海道帯広市西六条南2丁目12-6
TEL:0155-23-7011
【経歴】

1957年
北海道大樹町生まれ
1980年
八戸工業大学 建築工学科(歴史・意匠)卒業 /日本電建株式会社
1982年
フジ建築計画設計

1991年@有限会社 設計工房アーバンハウスの改組 現在に至る

【所属団体】

日本建築家協会(道東地区担当委員長)

日本建築学会(地区委員・歴史意匠専門委員)

北海道建築技術協会 / 北海道建築士会 / 木を活かす建築推進協議会

帯広交響楽団理事

【受賞歴】

1991年
北方型住宅設計コンテスト 十勝優秀賞(農村住宅)
1992年
帯広市都市景観賞(高橋建設本社・緑化建造物部門)
1997年
快適住宅コンテスト(全国10電力会社主催/優秀賞・( 鹿追町/桧山邸 )

第22回建築士事務所全国大会 作品表彰/優秀賞・( 鹿追町/瓜幕保育所 )

1998年
第23回建築士事務所全国大会 作品表彰

奨励賞・( 帯広市/採暖室のある公衆トイレ )

2002年
豊頃町ドリームタウン集会施設新築工事指名プロポーザル 採用
2009年
第18回トータルハウジング大賞 敢闘賞「風がささやく家」


先生が率いる「アーバンハウス」の設計は、特に地域(ローカル)にこだわると伺いましたが、その基盤となるコンセプトをお話いただけますか?

未熟な設計にもかかわらず、夢を託してくれたオーナーや熟練された職人、現場担当者に支えられ、気がつくと30年以上も住宅建築を続けている。近年は地域材だけではなく、技術や考え方、生き方までもローカルにこだわり建築をしているよう気がします。
ここの土地から産出された建築材料で、ここに暮らしている人たちの沢山の汗と知恵、恩恵を受け建築が行われる。地域にとっては住宅建築も大切な産業であることを忘れてはいけないと考える。

沢山の人たちの手により心を込めて作られた住宅は、目に見えない力が働いているのだろうか、笑ったり、泣いたり、怒ったりしながら家族の歴史を刻み、そのエネルギーを吸収し、「絆」や「生き甲斐」のような「豊かに暮らす」為の大切なものへと繋がっているような気がします。

住む人達の魂の宿った住宅は、大切に末永く使い続けてほしいと今更ながらに考えます。地域(ここ)で活きる(いきる)人たちの為の建築をこれからも魂を込めて造れればと考えます。




実際に設計をされる上で、「地産・地消」を実現する具体的な取り組みの実例などを伺いたいのですが。

近年、私の暮らす北海道では、伐期を迎えた地材のカラマツで建築しようと、官民が一体となり「地材地消」口々に頑張っております。
私も、カラマツ材の小径木を組み合わせたコンポーズトラス(欠き込み工法による平行弦トラス)なる物を考案し、四間(7.2M)までの空間を有する骨組(スケルトン)で多目的空間を建築し、その可能性を探るべくモデル建築が進行しております。

善くも悪くもあらゆる物が日進月歩で変化を続けております。私自身も遅れを取らぬよう、しかし「温故知新」の精神でオーナーにとっての良い建築を目指し、一意専心の日々がまだまだ続けられる事を願うばかりです。




一般ユーザーさんに対して良い家を建てるために設計士として何かアドバイスがあれば教えて下さい。

住まいを考えるときに、今の生活形態だけではなく、10、20年先の将来を見据えた計画を立て、また、建物は出来るだけコンパクトに建てることをお薦めします。




設計士・デザイナーとして建築に携わられて、仕事にやりがいや喜びを感じられるのは、どんな部分でしょうか?

建物が完成し、引越を終えたユーザーさんから「ありがとうございました」と言われた時や、その後しばらく住み始めてから、「住み心地が良いので、早く帰宅したくなります」などの言葉をかけられた時などは、やはりこの仕事に喜びを感じる瞬間でもあります。

余談ではありますが 引っ越された後にお会いした奥さんのお話の中で、新築されたお宅へ遊びに行ったお子さんの話で
「○○ちゃんのお宅どうだった?」の問いに「ダメダメ、偽物」って言うんですよ。「子供だって本物の良さを感じ取れるんですね」と目を細めていた奥さんの笑顔が今でも忘れません。その偽物って言っていたお嬢さんが今年成人を迎えました。嬉しい限りです。



これからの住宅・建物はこんな風になるだろうというお考えがありましたら教えてください。

住宅建築が持っていた本来の地域経済活性源としての復権が見込まれると思います。具体的な手法として、地域材を有効に活用し、ランニングコストを考慮した省エネ型の建て方や、本州の住宅においても北海道並みの性能をもちそなえた建て方などを実践することにより、地域への貢献度が高まり、地域の活性化につながるからです。



設計士・デザイナーとして、建材を開発・製造し提供されるメーカーさんへのご要望・注文などありましたらぜひ教えてください。

作りやすく、売りやすい、など開発者やメーカーの都合で作られたものではなく、使いやすく、メンテナンスのしやすい、使い手の立場に立った物の開発や製造を望みます。



最後に、先生が住まいを設計する際のテーマである「豊かに暮らすための家づくり」の要素とはどのようなものでしょうか?

建築を考えるとき、大切にしている事がいくつかあります。地材・地消・地技・地考もその一つです。
ここの材料で建てられる贅沢。ここに活き抜く為に生まれた技。ここならではの生き抜く知恵。どれもが、豊かに暮らす為の大切な要素と考えます。

慣習や伝統にとらわれず自由な視点から 建築を見つめ直してみると思いもかけない変化に富んだ形態が、自由で伸びやかな発想による工法が大胆で迫力ある合理的なディテールが目の前に立ち現れて来る。初めて会うのに懐かしい感じがする。過激なのに落ち着きを感じる。そんな建築の創造に努めれればと考えております。




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