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建築家インタビュー
  • 掲載:2021年09月02日 更新:2024年12月06日

構造設計者・設備設計者の立場に立ち、設計上の高度な判断ができる統括設計者を目指してます。
片岡直樹建築設備設計一級建築士事務所

片岡直樹建築設備設計一級建築士事務所
片岡直樹建築設備設計一級建築士事務所 片岡直樹
片岡直樹建築設備設計一級建築士事務所
片岡直樹(かたおかなおき)
一級建築士
設備設計一級建築士
管理建築士
読売理工医療福祉専門学校非常勤講師

〒170-0002
東京都豊島区巣鴨1-18-2-B1
TEL:03-3943-4556
【経歴】

1970年
東京都生まれ
1994年
日本大学理工学部海洋建築工学科卒業(小林美夫研究室)
1994年-1996年
株式会社伊藤喜三郎建築研究所
1998年-2001年
株式会社北川原温建築都市研究所
2002年
片岡直樹一級建築士事務所開設
2002年から現在
読売理工医療福祉専門学校非常勤講師
2016年
片岡直樹建築設備設計一級建築士事務所に改名

【賞歴】

2008年
デザイナーズマンション プラザレジデンス8にてグッドデザイン賞受賞
2014年
デザイナーズマンション プラザレジデンス9にてグッドデザイン賞受賞


構造と整合性のとれた外観デザインへ

地震に強い家づくりの工夫として、住宅では、平面プランに耐力壁がバランスよく配置されるよう、開口部の位置や大きさに考慮して建物の四隅には耐力壁が来るように心がけています。
また、断面計画でも全層を貫く芯柱の役目を果たすよう計画して無理なく構造体を組むように心がけています。

バランスの良いプランとすることで、偏心による柱や耐力壁の増加を防ぎ最小限の柱と壁で成立することから、工事費を抑えることにつながり、また、内部空間が自由に使えるようになります。それによって家族構成や家族のライフスタイルの変化に合わせて対応できるようになるため、リフォームやリノベーションをしながら、結果的に長く住める住宅になるよう心がけています。

私は都心での賃貸マンションの設計が多いです。 狭小地で高容積の賃貸マンションでは、建物の強度を高めて地震に抵抗するルート2-2の耐力壁付きラーメン構造となり杭の引き抜き力が卓越する剛構造モデルになることが多くあります。
しかし、最近では杭の負担を減らしたタワーマンションと同じ構造形式である建物の靭性(変形性能)を考慮した設計法で、単に強度を高めるわけではなく、柱や梁の変形や塑性ヒンジの発生により、地震のエネルギーを吸収する設計法をとりいれています。構造バランスの優れた純ラーメン構造で柔構造モデルになる設計方法です。

具体的には、外壁が非耐力壁なので、コンクリートではなく建物の変形性能に追従するALC板とすることができます。そうするとおのずとコンクリート躯体量を減らして重量低減に役立ちコストも下げる効果が生まれます。外観のデザインも構造と整合性のとれたものに変わってきます。


耐火木造建築に興味があります

株式会社シェルターさんのセミナーや現地見学会で日本最大級の木造商業施設・耐火木造4階建てのミナカ小田原の現地見学や、60M*50M*34Mの三角形の大屋根にCLT架構を用いたROOFLAG大東建託賃貸住宅未来展示場などを見学しています。


意匠・構造・設備が高度に整合する設計を目指す

ここ10年ほど構造設計一級建築士の取得を目指して少しづつですが、構造の勉強をしています。

実務の中でプランを計画しているときに、設備設計者に依頼して決定される機械室・電気室・PS・EPSなどの設備スペースをブラックボックスのように感じていました。 ここをコントロールできるようになったらどんなにいいだろうと思うようになっていました。PSやEPS 配管ルートの検討など意匠デザインに関係するような部分の整理を、意匠立面・展開図を見たときに設備機器が取り付いた実際の姿がなかなか見えていませんでした。設備設計一級建築士の取得は、もっと技術的裏打ちのあるデザインで勝負したいという思いから勉強しました。

姉歯元一級建築士の耐震偽装事件の教訓から建築士法が改正されました。それまで一級建築士であればどんな建物でも設計することが許可されていましたが、下記のそれぞれの規模以上の構造設計と設備設計は、一級建築士では許可されなくなりました。

建築技術教育普及センターの文を引用しますと、

2006年12月20日に公布された新建築士法では、構造設計一級建築士と設備設計一級建築士が創設され、構造/設備設計一級は一定規模以上の構造/設備設計についてそれぞれの資格者自らの設計によるか、それそれの資格者の関係規定への法適合性の確認を受けることが義務づけられました。

構造設計の一定規模以上とは、
1.木造の建築物で高さ13メートルまたは軒の高さが9メートルを超えるもの。
2.鉄骨造の建築物で地階を除く階数が4以上のもの
3.鉄筋コンクリート造または鉄骨鉄筋コンクリート造の建築物で、高さが20メートルを超えるもの
4.その他法令で定めるもの

設備設計の一定規模以上とは、階数3階建て以上かつ床面積合計5000平方メートル以上の建築物

とあります。

設備設計者と構造設計者がそれぞれ取得すればよいという考えもあるかと思いますが、私としては、構造設計一級建築士も取得して意匠・構造・設備の高度な整合の上に成り立つ設計を目指しています。意匠設計者でも高度な構造設計・設備設計を学ぶことで、構造設計者・設備設計者の立場に立てるようになり、設計上の高度な判断ができる統括設計者でありたいと考えています。

古代ローマの建築家ウィトルウィウスの書(現存する最古の建築理論書と言われる建築十書)には『強がなければ用は果たせない。強と用がなければ美は形だけ、そして美がなければ建築とは言えない』と書かれています。
強とは構造設計、用とは設備設計、美とは意匠設計と解釈することができると私は考えています。ウィトルウィウスが定義する建築家とは、この3要素をコントロールできる人をさしていると考えています。私はそれを目指して努めています。


電話対応の営業さんに感謝

最近では、建材メーカーさんへ製品の質問のため、営業さんに電話をしても不在であることがあります。レスポンスがうまくいかないことで、製品が選べないことがよくあります。

WEBサイトで、カタログが用意されていますが、非常にバリエーションが多岐にわたることで、なかなか自分の要望する製品がどれなのか選ぶことができず苦労することがあります。どうしても紙のカタログに対してWEBカタログは一覧性に乏しいので、商品を選択するという場面にWEBカタログは適していないと感じます。

そんな時、電話対応で、営業さんに要望を伝えて、該当する商品をWEBカタログ上で電話口で案内を頂いて、製品紹介していただける方法は大変ありがたいです。


良い家を建てるなら設計士と腹をわって話をするべき

良い家を建てる為には、信頼できる設計士探しが一番重要だと思います。建物をたてるパートナーとしてお付き合いできる人なのかよく話し合ってみてください。
考え方・プランやデザインが気に入らなかったり、なにか問題や不満を感じていたら、契約しようとしている設計士に腹をわって話をしてみるべきだと思います。
契約後にほかの設計事務所に相談やセカンドオピニオンを依頼しても『船頭多くして船山に登る』でお施主様はよけいに混乱してトラブルが大きくなるだけです。


お店づくりは資格のある建築士に依頼することから

ちいさな店舗開業でも法令違反は開業できないトラブルになります。施工知識しかない業者に安値で依頼してトラブルになることがよくあります。
契約して施工した後で違法が発覚してから相談を依頼しようとしても手遅れです。

よくある事例としまして、テナントビルで飲食店舗開業をしようとしている店舗オーナーさんが設計施工で選んだ業者さんでも、完成時の消防検査で違法が指摘されて開店できないトラブルがあります。
ビルオーナーとテナント店舗オーナーとのトラブルでは、建築基準法 内装制限や防火区画 排煙などで違法状態に改装してしまい修正工事をせまられたり、ダクト工事の臭い対策の不備やダクト種類選定間違いなどでビルオーナーから苦情を言われるトラブルなどがあります。
トラブルに巻き込まれないためには、きちんと資格のある建築士に依頼して、建築士と施工者を選定するほうが安心です。



名建築を訪ねるシリーズをブログ化

SNSは、インスタグラム・ツイッター・フェイスブックページなどを利用しています。
ブログでは自社の設計事例の記事だけではなく、住宅・マンション・ビルなどの設計者である片岡直樹が向学のために各地の名建築を訪ねるシリーズ『片岡直樹の建もの探訪』を記事にしています。
いまのところ52の有名建築を訪れています。

名刺交換をしたお客様、取引先や工務店の方などにブログを見て頂いていて打ち合わせでの話題にしていただくことなどがあります。 建もの探訪のブログ記事の写真を参考事例として、自分が良いと思っている建物の紹介をお施主様にする時など、出先の打ち合わせでスマホの画面でブログのページ記事の写真をご覧いただくなどしてイメージの共有に役立っています。







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2007年秋にスタートした、取材させて頂いている建築家へのインタビュー記事です。住宅、集合住宅、商業施設、公共施設など建築家の体験談をお楽しみください。