建材情報まとめサイトすまいりんぐ
SPECIAL
特集
  • 掲載:2026年02月02日 更新:2026年02月05日

新たな視点で社会課題に取り組むプラットフォーム〈PYNT〉
株式会社日建設計 イノベーションデザインセンター 吉備友理恵

吉備 友理恵さん
吉備さんは日建設計内の組織であるイノベーションデザインセンターで活動。
PYNT(ピント)という共創プラットフォームの運営を手掛ける。東京大学大学院新領域創成科で学んだ知識と経験を軸に、社会課題を起点とした「共創のつくり方と進め方」の探求を続ける。その中で特に「共創プロジェクトにだれがどんな想いでどう関わっているか」を見える化するツールとして完成させた「パーパスモデル」を書籍化した。誰もが自分らしく、安心して暮らすことのできる持続可能な社会の構築を目指す共創プロジェクトを推進する吉備さんのこれからに期待したい。

Guest

吉備 友理恵 | Kibi Yurie

神戸大学工学部建築学科卒業。東京大学大学院新領域創成科学研究科修了。2017年4月、日建設計入社。同社NAD室(現コモンズグループ)配属。一般社団法人Future Center Alliance Japanへの出向を経て、イノベーションデザインセンターで活動。2023年、PYNTの企画・運営を担う。共創を概念ではなく誰もが取り組めるものにするための「パーパスモデル」を考案。Forbes JAPAN の「NEXT100」に選出される。

株式会社日建設計 PYNT
東京都千代田区飯田橋2-18-3
03-5226-3030

  • Instagram
  • X
  • Note
  • Note

社内外を繋ぎ、共に考え、共に生み出す

吉備友理恵さん

―お仕事について具体的に教えてください。

吉備  私が所属している『イノベーションデザインセンター』というチームは、社会課題を起点に、社内外を繋ぐことで日建設計1社ではできない新しい価値を生み出すチームです。2023年からは共創プラットフォーム「PYNT」を立ち上げ、「まちの未来に新しい選択肢をつくる」というパーパスのもと、社内外の想いある人が集まり、課題の掘り下げから、アイデアの社会実装まで、1人ではできない挑戦に取り組むことができる場をつくっています。

PYNT の活動は3つのレイヤーで行われており、私はその全体をみています。まず、人やアイデア、様々な活動が集まり、つながるきっかけとなる〝場”をつくっていく「プラットフォームチーム」、そこで出会った人々が小さな活動を始め、横断的なプロジェクトへと広げる「プロジェクトチーム」、それらを社会課題を解決する事業やムーブメントづくりへとつなげていく「ビジネス&ムーブメントチーム」、それぞれのチームが連携することで、社会課題を起点とした共創を社会実装までつなげています。



―今のお仕事をされるようになったきっかけを教えてください。

吉備  私もいきなりこの仕事に出会ったわけではないのです。大学で建築の意匠設計をやり、大学院では都市計画でアーバンデザインを学ぶ中で、建築のコンセプトを考えるのが好きな学生であり、そういうところが今の仕事に繋がっているのかもしれません。

また、大学の枠を超えた建築学生団体の代表や、自分自身をメディア化するような活動もしており、「組織や業界を超えて、一緒に新しいものをつくる」という感覚が育まれていったように思います。
当たり前を疑って、そもそもなんのためにこの建築をつくるのか?という設計の前段のことを考えたり、人の価値観や行動の変化につながるようなデザインを考える仕事に就きたいと思っていた矢先にたまたま、インターンとして参加したのが日建設計だったのです。
その時に教えてもらったのが「Nikken Activity Design Lab」通称〈NAD〉(現コモンズグループ)という新規事業のチームでした。そのチームに出会い『自分がやりたいのはこれだ』と思った私は当時、新卒採用は無しと言われていたそのチームに、どうしてもに入りたいと門を叩いて、入れてもらったのです(笑)。

〈NAD〉は、そもそも建物を建てる前のコンセプトづくりから、建った後の運営の段階まで「人の能動性を高めるデザイン」を行っているチームで、私もその中でデザインコンサルティングのような仕事をしていて、その時に新しい価値観として「オープンイノベーション」や「共創」という考え方に初めて出会ったのです。
それから、〈NAD〉での仕事をやっていく中で、自分の専門性に悩む時期があり、建築や都市の勉強はやってきたけれど、中途半端だなと思っていたところもあって、自分の中に専門性の軸をきちんと作りたいという気持ちが強くなりました。悩んだ末に次の2年間を一般社団法人Future Center Alliance Japan(FACJ)にリサーチャーとして出向し、ひたすら国内外のオープンイノベーションの場や共創プロジェクトの調査をやってきました。
その時、オープンイノベーションに取り組んでいる企業は、社会的意義のある新しい価値を生み出しているはず!と期待に溢れていたのですが、インタビューを重ね、想いはあれど実現にとても苦労している現状を知りました。
「社会課題解決」や「共創」に対する理想はあっても現実として思うように進まないのはなぜだろうと悩んだ先に、自分で「どのように共創が生まれ、どんな価値を生み出しているのか?」を調査するリサーチプロジェクトを立ち上げました。それが共創を誰でも取り組めるものにという想いでつくった『パーパスモデル』に繋がっていきました。



【書籍】
パーパスモデル : 人を巻き込む共創のつくりかた
「パーパスモデル」というツールを用いて国内外の共創プロジェクト事例を分析しつつ、共創の考え方や方法について解説したもの。


社会環境デザインへの取り組み

株式会社日建設計

―今後の取り組みについて教えてください。

吉備  PYNTでの活動については、最初こそ入り口となる機能を構築することに注力していましたが、2024年からは少しずつプロジェクトの形を成して来て、今は事業や政策提言など出口側となる部分を目指す活動にも力を注げるようになりました。本業の領域を拡張すると同時に、そのさらに先の、社会的アジェンダともいうべき課題にも取り組んでいます。

例えば、人口減少する地域の移動やインフラをどう再構築していくか、少子高齢化の中、子育て世代や高齢者が暮らしやすい社会環境とはなにか、資源が枯渇する中で、建物のサーキュラーをどのようにしたらよいのか、など13個ほどのテーマに多様な専門性やセクターの人が集まって、取り組んでいます。これらは5年10年20年先に向けて取り組んでいく必要がある長期的なテーマです。だからこそ、単発のプロジェクトではなく、長い目線で共に取り組める共創の仕組みを整えていく必要があると思っています。
今年は「FUTURE LENS」というプログラムを実施し、日建設計の専門性と資金提供を行うことで、地域に根差した事業主体と共に3つのテーマで実証研究を始めました。

それ以外にも、課題を探求している研究者や専門家、政策提言などルールへの働きかけが行える人、投資家や金融機関、メディアなど、変化のうねりを生み出していく幅広い主体との連携を具体化し、共に、誰もが自分らしく、安心して暮らすことのできる持続可能な社会環境デザインに取り組んでいけたらと思います。





SHARE

RELATED ARTICLE

Guest

吉備 友理恵 | Kibi Yurie

神戸大学工学部建築学科卒業。東京大学大学院新領域創成科学研究科修了。2017年4月、日建設計入社。同社NAD室(現コモンズグループ)配属。一般社団法人Future Center Alliance Japanへの出向を経て、イノベーションデザインセンターで活動。2023年、PYNTの企画・運営を担う。共創を概念ではなく誰もが取り組めるものにするための「パーパスモデル」を考案。Forbes JAPAN の「NEXT100」に選出される。

株式会社日建設計 PYNT
東京都千代田区飯田橋2-18-3
03-5226-3030

  • Instagram
  • X
  • Note
  • Note
アクセスランキング(SPECIAL)
株式会社日建設計 吉備友理恵
建材ナビジャーナルで取材した吉備友理恵氏がForbes JAPANが選ぶ起業家「NEXT100」に選出されました。
株式会社日建設計 取締役会長 亀井忠夫 × SSOJ 代表理事 永井資久
日建設計会長に聴く - まちの未来に新たな選択肢をつくる共創プラットフォーム〈PYNT〉
東京都建築士事務所協会
一般社団法人東京都建築士事務所協会「第51回 東京建築賞」入選作品を決定
日事連会長 上野浩也 × 東京会会長 千鳥義典
「人材不足」「働き方改革」を構造的に捉え、解決策を模索し、建築業界のこれからを見据える
SUPPOSE DESIGN OFFICE 株式会社 吉田 愛
常に全方位からの視点で建築デザインを捉え、人々の快適なライフスタイルを提案し続ける情熱の原点とは
SumaiRing最新記事
SPECIAL
株式会社日建設計 イノベーションデザインセンター 吉備友理恵
新たな視点で社会課題に取り組むプラットフォーム〈PYNT〉
STORY
株式会社インプラス ×緑川化成工業株式会社
内照式ライトとの組み合わせで幻想的な空間演出〈透ける竹〉
ARCHITECT
デジタルアーティスト 木之内憲子
「感じる映像」「空間に生きるアート」を生み出す空間を演出
MANUFACTURER
文化シヤッター株式会社
文化シヤッターが提供する新ブランド〈トビタテ〉
COLUMN
【万博採用建材】天然素材の美しさを纏う織物壁紙「KYOTO IZUMI Aoi 葵」