「黒」の魅力を住まいに取り入れよう!外壁やインテリアに黒を使う際のポイントをご紹介
住まいを考えるうえで“色”はとても重要な役割を担っています。色が持つイメージはさまざまで、使う色や分量、組み合わせによって空間の印象は大きく変わります。そのため、外装やインテリアなどの色を選ぶとき、多くの方が悩まれるのではないでしょうか。
数ある色の中で今回注目したいのは「黒」です。黒はよく使われる色ですが、取り入れ方によっては暗く重い印象になることもあります。この記事では、住まいに黒を使う際のポイントをご紹介します。
1.黒の心理的効果
「黒」について、どのようなイメージを持っていますか。一般的に高級感や重厚感、シックで洗練された雰囲気、力強さなどを思い浮かべることが多いかと思います。一方で不安や恐怖、悲しみや暗闇などを連想することもあるでしょう。
黒や白のように色みのない色を無彩色と良い、黒は最も明度の低い色です。色みがないためほかの色と組み合わせると、その色をより引き立たせることができます。目立たせたい広告などの背景に黒がよく用いられるのはそのためでしょう。また、黒には気持ちを引き締める効果もあるといわれているので、大切な場面では黒い服を着るという方もいらっしゃるのではないでしょうか。黒が持つイメージや心理的効果は、日常生活のさまざまなシーンで数多く使われています。
2.住まいに黒を取り入れる際のポイント
黒の心理的効果を理解したところで、次に住まいでの黒の活用方法や取り入れる際の注意点について、具体的にご紹介します。
外壁
近年、個性的でモダンな雰囲気から外壁に黒を選ぶ方が増えています。実際に黒い外壁の住宅をみると、高級感が感じられたり、スタイリッシュでおしゃれなイメージだったりと、黒がもたらす効果を上手に利用していることが分かるかと思います。
無彩色である黒はどのような色とも調和し、より引き立たせることができるのも大きなメリットでしょう。木材やステンレス、コンクリートなど住宅によく用いられる建材とも相性が良く、組み合わせによって印象はがらりと変わります。和風やモダンなど、テイストを選ばず使用できるのも人気の理由かもしれません。
外壁を黒にする際注意したいのは、熱を持ちやすいということです。日傘や洋服などでもよくいわれていますが、黒は日光を吸収しやすい性質があります。そのため長時間日光が当たる外壁では、表面温度が上がりやすくなります。外壁の素材によっては高温になる可能性もあるため、気温の高い夏場は特に触らないように気をつけましょう。日光を吸収しやすいということで気になるのは室内の温度ですが、断熱性能がしっかりとしていればそれほど大きな影響はないでしょう。心配な場合は、より断熱性能の高い建材を使用するのも良いですね。しかし、紫外線も集めやすいため、外壁の劣化が早い可能性は否定できません。紫外線に強い建材や塗料を選ぶことも大切です。
黒は汚れが目立ちにくい色ですが、白っぽいほこりなどの汚れはかえって目立ちやすくなります。自動車を例に考えると分かりやすいかもしれません。防汚性能やセルフクリーニング機能を持つ外壁を選ぶのもおすすめです。
内装
住宅の内装に黒を取り入れることで、高級感のある上質な空間がつくれるでしょう。明度が低いので落ち着いた雰囲気になり、寝室などゆっくりと過ごしたい場所に向いています。白など淡い色は空間を広く見せる効果がありますが、単調な印象になりがちです。黒と組み合わせれば空間が引き締まり、立体感も生まれます。さらに、室内のいちばん奥の壁に用いると奥行きも演出できます。しかし、狭い空間で黒を多用すると、引き締め効果が逆に狭さを強調してしまい、圧迫感を感じることがあります。黒い天井は実際の高さよりも低く感じられるほどです。黒の持つ重厚な雰囲気が、重く窮屈な印象を与えてしまうこともあるため、内装で取り入れる際は場所や面積を考慮しましょう。建具や壁の一部に黒を使用すると、空間のアクセントになり一層おしゃれな雰囲気が演出できます。
建材などにも使用されている炭や漆は、日本の伝統的な黒い素材といえます。また、先述のように、黒は光を反射せず吸収してしまいます。そのため、採光が十分でない場所で黒を用いるとより暗くなる可能性があります。寝室など落ち着きたい場所なら良いのですが、明るさが必要な場合は黒をポイントとして使ったり、照明を工夫したりと、暗くなりすぎない対策が必要です。照明の陰影を利用すれば、明るさを確保しながら高級感のある空間づくりができます。
黒はどのような色や素材とも相性が良く、ほかの色を引き立たせる効果が期待できます。内装にも取り入れやすく、シンプルなので飽きることなく使うことができるでしょう。
インテリア
外壁や内装の色を変えることが難しいときでも、インテリアなら黒を手軽に取り入れることができるでしょう。同じ価格のアイテムでも黒は高級感を感じられることが多く、落ち着いた印象で幅広い年代の方が取り入れやすい色になります。
黒を基調としたモノトーンインテリアなら、空間全体に統一感が生まれ、生活感も感じにくくなるでしょう。比較的簡単におしゃれな雰囲気がつくれるのでおすすめです。黒の比率によってテイストは大きく異なるので、自分の好みに合わせて調整すると良いですね。組み合わせる色によって雰囲気が変わり、赤や青など鮮やかな色ではメリハリのあるスタイリッシュな印象になります。ベージュなどの淡い色との組合せでは柔らかい印象になるでしょう。
素材によっても黒の印象は変化します。アイアンやスチールなどの金属は無機質でクールなイメージになり、ブルックリンスタイルなどによく用いられています。光沢のある素材はマットなものよりも軽やかに感じられ、黒がもたらす暗さや重さが軽減されるでしょう。ラグやクッションなどのファブリックで取り入れれば、柔らかな素材感が黒の強さを優しく包み込んでくれるはずです。ソファやテーブルなど存在感の大きなものを黒にすると、空間の印象を決める主役アイテムになり、それだけでも黒の魅力が十分感じられるでしょう。
シンプルな色だからこそ、デザイン性の高いアイテムもほかのインテリアとほどよく調和します。内装も含め、全体的な配色バランスを見て自分の好きな黒の使い方を決めることが大切です。
まとめ
今回は身近な色である「黒」についてご紹介しました。高級感やスタイリッシュ、重さや暗さなど、黒がもたらすイメージはひとつではありません。素材によっても印象は変わるため、ひと言で黒といってもその表情はさまざまです。配色バランスによって圧迫感や重さを感じやすくなることもあるので、取り入れる空間の大きさや用途に合わせて決めると良いでしょう。魅力的な「黒」を上手に取り入れて、自分のお気に入りの空間をぜひつくってみてください。
建築・インテリア系の専門学校卒業後、工務店にて建築業務に携わる。
福祉住環境コーディネーター2級。
二児の母。