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掲載:2023年08月01日更新:2023年09月01日

窓の結露防止に木製サッシという選択肢|メリット・デメリットや商品例も紹介


気温が下がる冬場は、窓の結露にお悩みの方も多いのではないでしょうか。
何度拭いても繰り返される結露にうんざりしているなら、木製サッシを検討してみませんか。

今回は、木製サッシが結露対策におすすめな理由やサッシに木材を使うメリット・デメリットなどを分かりやすく解説します。
具体的な商品も紹介するので、結露に煩わされない生活を目指すならぜひ参考にしてください。


1.窓に結露が発生する仕組み


結露

はじめに、結露が発生するメカニズムを簡単に理解しておきましょう。
結露の原因は、空気が保持できる水蒸気の量が温度によって変わることです。温度が高いほど空気は多くの水蒸気を含むことができ、温度が低いほどその量は少なくなります。

窓の結露に悩まされるのは、寒い冬場が多いのではないでしょうか。室内の暖かい空気が、冷えた窓やサッシに触れると温度が下がり、保持できる水蒸気の量が少なくなります。含みきれなくなった水蒸気が水分として出てきたものが、結露です。
冷えた飲み物を入れたグラスが結露するのも同じ仕組みです。グラス周辺で冷やされた空気が保持できない水蒸気が水滴となります。

このように、結露は気温差の大きい場所で発生しやすくなります。

2.結露を放っておくことの問題点


結露

結露が発生してしまったら、なるべく早く拭き取ることをおすすめします。窓や窓枠、カーテンを濡れたままにしておくと、カビが発生しやすい環境を作っているようなものです。
さらに、カビを餌とするダニの繁殖も招いてしまいます。カビやダニは、アレルギーや喘息など健康被害を引き起こす可能性があるので、結露を放置しないようにしましょう。

ほかにも、窓の結露で壁紙や床材まで濡れるようなことになると、傷みが早くなりますし、住宅の寿命を縮めることになりかねません。 発生した結露は素早く取り除くのが理想ですが、日々の生活の中では負担になってしまうこともあるでしょう。そもそも結露が発生しない家であれば、冬の間ずっと結露に悩まされることもありません。


3.木製サッシが結露対策に有利な理由



国内で使われる主なサッシには、素材の違いで「アルミ製」と「樹脂製」があります。
一般的に、アルミ製のサッシは断熱性が低く、その欠点を克服したのが樹脂製のサッシです。
樹脂製サッシのデメリットである価格の高さを補うために、両者を組み合わせた「アルミ樹脂複合製」も存在します。

「木製」のサッシは、日本ではそれほど普及していませんが、北欧ではメジャーな存在であり結露対策の選択肢として有効です。

木製サッシが結露防止に向いているのは、熱の伝わりやすさを表す熱伝導率が低く、断熱性に優れているからです。アルミ・樹脂(塩ビ)・木材の熱伝導率は次の通りで、木材はアルミの1000分の1程度ということが分かります。

材種 熱伝導率(W/m・K)
アルミニウム 175
樹脂(塩ビ) 0.18
木材 0.09~0.19
出典|日本木製サッシ工業会|Ⅰ 人にも環境にもやさしい木製サッシ

アルミは、夏の直射日光にあたれば熱くなり冬の冷気に当たれば冷たくなりますが、木材はアルミのように急激に温度変化しないことは、経験上知っている方が多いでしょう。熱伝導率が低く外気の影響を受けにくい木製のサッシは、室内の空気を冷やさないため結露が発生しにくいのです。

もちろん、窓の結露防止にはサッシだけではなく窓ガラスの断熱性も考慮しなくてはいけません。その点、木製サッシは標準的に複層ガラスなど断熱性の高いガラスを使っているので安心です。

結露の防止以外にも、木製サッシにはメリットが多くあります。


4.木製サッシのメリット



木製サッシのメリットとして、「意匠性」「耐久性」「エコ」という観点が挙げられます。それぞれ具体的に説明していきます。

インテリア性が高い


アルミ製や樹脂製と比べて、木製サッシはインテリアとして好まれる傾向があります。家具やフローリングにも木材は好んで使われていますね。 無機質な素材と比較して、木材にはあたたかみや安らぎを感じる人も多いのではないでしょうか。
日常生活でも頻繁に目に入る窓のサッシを木製にすることは、心地よい室内空間を演出する一助になることでしょう。

木製サッシは、外の風景を切り取る額縁のような存在感を発揮するかもしれません。

寿命が長い


木製サッシは適切な手入れを行えば、100年近く使い続けられるといわれています。
アルミ製・樹脂製サッシの寿命が30〜50年とされているのと比べるとずいぶん長く感じるかもしれませんが、世界最古の木造建築といわれる法隆寺が1,300年以上健在であることを考えると、納得できるのではないでしょうか。

地球に優しい


木製サッシは、アルミ製サッシに比べて製造時に発生する二酸化炭素が少ないとされています。また、成長過程で二酸化炭素を吸収する樹木を材料とするので、廃棄されるまで木材が内部にストックした炭素を固定することができます。

このような理由で、木材の活用はカーボンニュートラル達成に貢献すると考えられています。木製サッシを採用することは、地球環境の改善に貢献することとなるでしょう。


5.木製サッシのデメリット



木製サッシを検討するならデメリットも把握した上で進めましょう。主なデメリットは、「価格」と「メンテナンス」に関することです。

価格が高い


木製サッシ導入をためらうハードルの一つが、価格の高さです。予算が潤沢であれば気にならないかもしれませんが、そのようなケースは稀でしょう。
商品価格に加えて、木製サッシに合わせた設計が必要になり、建築コストが上がる場合もあります。
木製サッシの劣化防止のため、雨に晒され過ぎないよう庇の深さを考えたり、奥まった場所で使用するなど、設計段階での配慮が必要になるからです。

限られた予算内で木製サッシを検討しているなら、目につきやすいリビングの大きな窓だけ木製サッシにするなど、メリハリをつけることも一つの手です。

定期的なメンテナンスが必要


木製サッシの寿命は長いと先述しましたが、定期的なメンテナンスを行うことが前提です。木材は風雨や紫外線で劣化しやすいので、定期的に劣化がないか点検したり、再塗装することが必要になります。

ただ、木製サッシのメンテナンスは手間がかかるというデメリットと捉えることもできますが、手入れをしながら使うことで愛着が増す、というメリットにもなり得ますよ。


6.おすすめの木製サッシ3選


ここからは、具体的な商品を3点紹介していきます。

北欧スウェーデン生まれの「レノホンダアウトライン」



熱伝導率の小さい木と、スーパーエナジープラスというトリプルガラスユニットの組み合わせで、世界最高峰の断熱性能を実現した木製窓です。断熱性に加えて、窓枠とサッシが密着する設計により気密性の高さも実現しており、冷暖房効率の高い快適な住まいを叶えます。

そのほか、台風や暴風でも安心できる水密性能耐風圧性能、幹線道路沿いでも車の騒音がほとんど気にならないレベルの遮音性能を備えている点も見逃せません。

エストニア生まれの木製断熱窓「ヴィージェイ・フェンスター」



冬の寒さは厳しく、マイナス20℃を下回ることもあるエストニアの木製断熱窓です。外側のLow-Eコーティングを施したガラスを使ったトリプルガラスの空気層にはアルゴンガスを注入。さらに、スペーサーに樹脂を使うなど断熱性能を高めています。

木材の接合はフィンガージョント行なうことで、木材の強度が均質化され、形状安定性を長期間保ちます。また、材料の歩留まりを高めるメリットもあります。

国産杉を使った木製FIX窓「MADOBA(マドバ)」



国産杉の無垢材を使った貴重な国産木製窓です。青森県十和田市に工場を構え、窓に使用する木材はほとんどが地元の杉。工場自体も、地元材で建てるというこだわりようです。
ダブルLow-Eのトリプルガラスを採用し、断熱性を確保しています。標準サイズ以外にオーダーも可能で、細やかな対応がうれしいですね。

商品開発・製造においては、持続可能な社会の実現を念頭に置いており、まさにこれからの時代に求められる商品ではないでしょうか。


まとめ


断熱性能の高い窓を選べば、毎日結露拭きに追われることもなくなります。今後、住宅に求められる省エネ基準は徐々に上がっていくことが決まっていることも考え合わせると、窓の断熱化は必須といえるでしょう。

窓の断熱性能を上げるだけならさまざまな方法がありますが、木製サッシは住まいのインテリアを格上げしてくれるメリットも大きいものです。 日常的に触れたり眺めたりする窓にこだわれば、家で過ごす時間がさらに安らげるものになるのではないでしょうか。
断熱性向上の手段として、木製サッシの導入をぜひ検討してみましょう。




著者(西山 ゆうこ)プロフィール

フリーライターとして活動中。
住宅関連サイト、木材関連プラットフォームなどで、住まいや暮らし方、建築材料に関する記事・コラムを執筆しています。
なるべく手間をかけずにスッキリ暮らすのがモットー。そのためのアイデアも発信中。






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