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掲載:2019年12月12日 更新:2022年09月01日

ウッドデッキを極める。木材の防腐処理、防虫処理と木材保護塗装

ウッドデッキを作る際の材料としては、メンテナンスが簡単で組み立てもしやすい樹脂木(合成木材)が人気ですが、せっかくウッドデッキを作るならぜひ天然木を使いたい、と考えておられる方も多いでしょう。
天然木には、木材ごとに1本1本異なる木目や温もりを感じる肌ざわりなど、樹脂木には無い本物の質感があり、施工後も経年による風合いの変化といった天然木ならではの楽しみ方もできます。

この記事では
・木材や樹種に関する木の基礎知識
・天然木でウッドデッキを作る際の木材の選び方
・天然木で作ったウッドデッキを長持ちさせる方法
などについてご紹介します。

1.ウッドデッキに天然木を使うなら理解しておきたい「材木」と「樹種」


1.材木

材木に関する知識は奥深いですが、下記のようなポイントを簡単に理解しておくだけでも、天然木でウッドデッキを作る際に役立ちます。

「心材」と「辺材」
材木のうち、年輪の中心に近い部分を「心材」、外側に近い部分を辺材といいます。
心材は辺材に比べて、赤みがかっており、含水率も低く、頑丈です。 辺材は白みがかっており、心材に比べて狂い(乾燥による変形)が生じやすく、シロアリの被害も受けやすいとされています。
選べるならば木口(年輪の見える断面)を見ながら心材を選ぶと良いですが、初めからセットになっていて選べないという場合は、最初に木材を心材と辺材に分別しておき、目立つ場所・比較的重要な場所には心材、目立たない場所・比較的重要でない場所には辺材、という具合に使い分けると良いでしょう。
木材の「含水率」とは?
木材の含水率とは木材が含んでいる水の割合で、一般的には木材の含水率まで明記していないことが多いですが、木材の専門業者では木材ごとの含水率が明記されていることもあります。

含水率が低いほど、丈夫で、時間の経過とともに変形する割合が低くなります。
木材の含水率は、
・構造材であれば、20%以下
・内装材であれば、18%以下
・内装の化粧材であれば、10〜15%程度
が望ましいとされていますが、ウッドデッキ用の木材であれば20%以下であれば十分です。

2.樹種

ウッドデッキに使用される木材は、主に、

・ハードウッド(広葉樹)
・ソフトウッド(針葉樹)

という2種類に分類されます。
ハードウッドは頑丈で、腐敗しにくい性質を備えていることからウッドデッキに最も適しているとされ、下記のような樹種の木材が、ウッドデッキ用の代表的な木材として流通しています。

・ウリン
・イペ
・セランガンバツ

ハードウッド材を探す場合は、上記のような樹木名で検索してみると見つかりやすいでしょう。
「ソフトウッドはウッドデッキには不向き」と説明されることもありますが、ウッドデッキを作る上で大切なのは硬さではなく、むしろ耐候性です。
ソフトウッドであっても、

・ウエスタンレッドシダー
・レッドウッド
・スプルース

など、本来の耐候性が高い木材であれば、ウッドデッキに使用しても問題ありません。
もちろん、ウッドデッキに使用する場合はしっかりと防腐・防虫(防蟻)処理されていることが必須です。


2.ウッドデッキに天然木を使用する際に重要な処理

そのままで高い耐久性を持つ天然木を使用するにしても、ウッドデッキに使用する木材は何年も紫外線・湿気・雨・シロアリの危険にさらされることを考えれば、木材になんの処理もしないのは得策ではありません。

天然木のウッドデッキを長持ちさせるために必要な、

・防腐処理
・保護塗装

について知っておきましょう。

3.木材の防腐処理

木材の防腐処理は「加圧注入」が一般的

天然木特有の、腐食・虫害への弱さをカバーするために、屋外での使用を想定した木材には防腐・防蟻剤の加圧注入処理が施されています。

これは、専用の巨大な機械で
1. 真空状態にして木材の中の空気を抜く
2. その後、木材を防腐・防蟻剤に浸し、高い圧力をかけながら薬剤を木材に浸透させる
という処理を施したもので、この処理を施しておけば、何年もの間、木材は腐敗や虫害に対して高い耐久性を発揮します。

防腐・防蟻剤を単に上から塗布しただけでは、薬剤は木材の表面から2〜3mm程度の深さにまでしか浸透しませんが、工場で加圧注入による防腐処理を施せば、木材表面から数センチの深さまで防腐・防蟻剤を浸透させることが可能です。

日本での防腐・防蟻処理にはACQという薬剤が使用され、「ACQ加圧注入木材」という名称で流通しています。 ACQの主成分は銅化合物と塩化ベンザルコニウムという危険性の低い成分なので、ACQ加圧注入木材はウッドデッキにも安心して使用できます。

加圧注入で防腐処理された木材を使用する際の注意点

加圧注入方式でも、防腐・防蟻材は木材の中心まで完全に浸透しているわけではないため、防腐処理された木材を長手方向に切ったり、深く削ったりするのはなるべく避けた方が良いでしょう。 切ったり、ボルトで締め上げるために座掘り行ったりする場合は、その部分を木材保護塗料でしっかり塗装しておくことをおすすめします。

4.自分でもできる「木材保護塗装」

ウッドデッキに使用する木材に自分で木材保護塗料を塗装し、ウッドデッキが長持ちするようにもできます。 木材保護塗料は「屋内用」と「屋外用」に分けられているので、必ず「屋外用」を選ぶようにしましょう。

ウッドデッキの天然木に使用する木材保護塗料の選び方

木材保護塗料は「屋内用」と「屋外用」という分類以外にも、下記のような違いがありますので、用途や目的に合わせて賢く選択するようにしましょう。

5.木材保護塗料には「浸透タイプ」と「造膜タイプ」がある

浸透タイプの木材保護塗料は、加圧注入ほど深く浸透するわけではありませんが、塗ると木材の内部に2〜3mmほど染み込み、木材を腐敗や虫害などから保護してくれます。
防腐・防蟻処理も施されていない木材にはうってつけです。 半透明であることが多く、見た目も大きく変化せず、木目も塗りつぶされることはありません。

造膜タイプの木材保護塗料は、浸透せず、木材の正面に塗膜を形成することによって木材を保護しますが、塗膜によって見た目は大きく変化し、木目も消えてしまいます。 すでに加圧注入で防腐・防蟻処理が施されている木材にも、造膜タイプの木材保護塗料を塗装するなら、さらに耐久力をアップさせることが可能です。
近年では、見た目を損ねてしまう造膜タイプを改良し、浸透タイプのように木目を残しつつ、防水透湿性のある膜を作る「半造膜タイプ」と言われるものも流通しています。

建材ナビでは、下記のような木材保護塗料を取り扱っています。

スーパーウッドステイン【油性・浸透タイプ】/ 株式会社吉田製油所

スーパーウッドステイン【油性・浸透タイプ】

木材保護塗料の代名詞的な存在です。 計8色のカラーとクリアタイプが用意されていますが、どのカラーでも透明性に優れ、美しい木目をそのまま生かした木材保護塗装が可能です。

自然塗料 ロハスオイル カラー【浸透タイプ・油性】/ OK-DEPOT

油性ですが亜麻仁油を主成分とした国産塗料で、揮発成分が少なく低臭性です。 カラーは52色という豊富なバリエーションがあり、無垢材そのままの質感を残したい場合にはクリアタイプも選択できます。

シッケンズ木材保護塗料 セトール BLXpro【半造膜タイプ・水性】/ トーヨーマテリア株式会社

シッケンズ木材保護塗料【屋外用】セトールBLXpro

2時間という短い乾燥時間で高い耐候性を発揮できる、優れた半造膜タイプの木材保護塗料です。 水性であるため、溶剤特有の刺激臭がなく、施工・後片付けが簡単で取り扱いやすい商品です。

6.まとめ

ここには書ききれないほど、木材に関する知識は奥深いものです。 もしウッドデッキを作る計画があるなら、木や木材についてもっと深く調べてみればウッドデッキを作りはさらに楽しくなるはずです。



著者(澤田 秀幸)プロフィール

CAD利用技術者1級、CADアドミニストレーター
住宅メーカの下請けとして木造大工作業を担当。
注文家具の製造と設置。製図補助を担当。
国内最大手インテリアメーカーの店舗で接客・販売を担当。







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