- 掲載:2026年11月06日 更新:2026年11月06日
平野つぼみ氏 初の著書『「一目惚れ」の設計学 - 植物で空間を創るブランド戦略』を出版 空間装飾クリエイター 平野つぼみ

初の著書『「一目惚れ」の設計学』では、思わず「ここにいたい」と感じる空間がどのように生まれるのか、その背景にある考え方や設計の工夫を紐解いています。
植物を通じて空間の価値を高め、そこに集う人や事業の可能性を広げたいという、出版に込めた想いやタイトルに込めた意味、そして心を動かす空間づくりについてお話を伺いました。
Guest
平野 つぼみ |Tsubomi Hirano
空間装飾クリエイターとして、ヘアサロンを中心とした店舗のフラワー装飾やオフィスグリーン装飾、各種イベントの装花を担当。「空間デザインで顧客体験を最大化すること」をテーマに植栽を用いた居心地のいい空間・一目惚れする空間を提案している。
株式会社ローズガーデンカンパニー
神奈川県横浜市都筑区早渕1-35-2
初めての著書を出版しようと思ったきっかけ
約15年間にわたり植物を使った空間づくりに携わる中で、大切にしてきた考え方を言葉にしてより多くの方に届けたいと思ったことがきっかけです。
植物の種類や数だけで空間の魅力が決まるわけではありません。置く場所や枝の向き、余白と光や影の関係によって同じ植物でも空間に与える印象は変わります。そうした視点を共有することで植物が持つ可能性をもっと広げられるのではないかと考えました。
特に伝えたかったのは「空間には人の可能性を広げる力がある」ということです。思わず入りたくなる、誰かを連れてきたくなる、自分の仕事に誇りを持てる。空間づくりを通じてそこにいる人や事業の可能性まで広げていきたい。その想いを一冊にまとめました。
『「一目惚れ」の設計学』というタイトルに込めた思い
ある空間を見た瞬間に「なんだか好き」「ここにいたい」と感じることがあります。その言葉になる前の心の動きを「一目惚れ」と表現しました。
一見すると感覚的なものですが、心が動く空間をつくるために考えられることはたくさんあります。何を最初に見せるか、どこに視線を導くか、どのくらい余白を残すか。その一つひとつを丁寧に考えることが私にとっての「設計」です。
そこで大切にしているのがVMDの考え方です。商品やブランドの魅力を視覚的に伝える視点を植物による空間づくりにも取り入れています。その場所が持つ価値を訪れた方にどう感じていただくかを考えています。
特に意識しているのは視線が自然と集まる「フォーカルポイント」です。空間のどこに印象の中心をつくるか。その中心に植物をどう生かし、周囲にどのような余白を残すかによって空間の伝わり方は変わります。
だからこそ引き算と、その場所らしさを大切にしています。植物の美しさに加えて建築や家具との関係まで整えることでその場所にしかない魅力を生み出したいと思っています。
本書の考え方を象徴する事例
普段のお客様の仕事は一つひとつに思い入れがあり、すべてが印象に残っています。お客様がその場所に込めている想いや実現したいことがそれぞれ違うので一つだけを選ぶのは難しいですね。
そのうえで本書の考え方を自分自身の場で表現する機会になったのが原宿のTHE FRAMEで開催した出版記念パーティーです。当日の空間装飾に加えアート盆栽の制作実演も行いました。
本で伝えていることを言葉だけでなく、実際の空間や制作の過程を通して感じていただける場にしたいと考えました。植物の形をどう見せるか、周囲にどのような余白をつくるか。その判断を重ねることが空間全体の印象につながっていきます。
私が目指しているのは植物と場所の関係から魅力を生み出すことです。それは普段のお客様の仕事でも同じで、その空間の主役は何か、何を伝えるべきかを大切にしています。出版という節目にその考え方を自分の手で表現できたことが印象に残っています。
リノベーションだからこそ生み出せる「深み」と「対話」
植物を設計や企画の早い段階から考えていただけたらうれしいです。植物のための場所や視線の抜け方をあらかじめ考えることで建築やインテリアと一体になった表現ができます。
まず意識していただきたいのは「この場所で人にどんな気持ちになってほしいか」ということです。落ち着いて過ごしてほしいのか、期待を感じてほしいのか、そのブランドらしさを覚えて帰ってほしいのか。目的が明確になると選ぶ植物や見せ方も変わります。
実践の第一歩としては入口に立ち、最初に何が目に入るかを確認してみてください。そこにその場所の魅力が伝わるフォーカルポイントがあるか。そして座ったときの視線や、人が通る動線からも見直していただきたいです。
店舗であれば植物が商品の見え方やブランドの印象にどう関わるかをVMDの視点で考えることもできます。視線を集めたい場所と、すっきり見せたい場所を整理するだけでも空間は伝わりやすくなります。そのうえで光や管理の条件も整えていく。植物を生かすためには美しさと使いやすさの両方が大切だと思います。
出版を出発点として、今後実現したいこと
これからは植物による空間づくりを通じてその場所やブランドの価値をより深く表現していきたいと考えています。IROHA D’ECORとして建築家やインテリアデザイナーの方々と企画の段階からご一緒できる機会も増やしていきたいです。
また私自身の表現として、日本の景色や美意識を空間に落とし込むことにも取り組んでいきたいと思っています。盆栽の枝ぶりや余白、陰影と静けさ。そうした魅力を現代の空間に取り入れ、海外にも届けていくことが目標です。
ミラノやパリを訪れ、ファッションや街の空間に触れたことも自分の表現を世界へ広げたいと思うきっかけになりました。海外の表現から学びながら自分が日本で育んできた感覚をもっと深めていきたいと感じています。
将来的には海外のホテルや店舗、展示空間やファッションショーなどで植物を通じた空間表現に挑戦したいです。ブランドの世界観を空間全体で伝える場に関われたらと思っています。
その土地の文化や建築、ブランドの個性と対話しながら、日本の美意識が新しい魅力を生む。そんな仕事を目指しています。言葉や国を越えて空間を見た瞬間に心が動く。その「一目惚れ」を世界でも生み出していきたいです。

「植物は癒しではなく、空間のパフォーマンスを上げるもの」と語る空間装飾クリエイターの平野つぼみ氏に“植物という建材”の可能性と空間づくりについて伺いました。
[SPECIAL FEATURE] 平野つぼみ 特集
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平野 つぼみ | Tsubomi Hirano
空間装飾クリエイターとして、ヘアサロンを中心とした店舗のフラワー装飾やオフィスグリーン装飾、各種イベントの装花を担当。「空間デザインで顧客体験を最大化すること」をテーマに植栽を用いた居心地のいい空間・一目惚れする空間を提案している。
株式会社ローズガーデンカンパニー
神奈川県横浜市都筑区早渕1-35-2
