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掲載:2025年03月31日更新:2025年04月03日

コルクの性能を活かした魅力あるコルク建材4選。おすすめのポイントを解説します。

昨今ではアレルギーや花粉症に悩まされ、ますます健康な暮らしを意識する人が増えています。視覚的な観点からも居住空間やカフェなどのリラックスしたい空間に自然素材を取り入れる建築も多く、自然素材を建材に取り入れる重要性は、今後もますます高まっていくのではないでしょうか。
その一方で性能の高さや施工のしやすさも欠かすことができません。

今回の記事で注目したいのは、「コルク」を活用した製品。樹皮のみを使用するエコロジカルな素材であり、木製素材としての視覚的な柔らかな印象も兼ね備えています。コルク製品の魅力に迫りながら、さまざまな用途に活用されているコルク製品を紹介します。

1.コルクとはどんな素材なのか

コルクの性能を活かした魅力あるコルク建材4選

コルクは、コルク樫の樹皮のみを使用しています。コルク樫は、樹皮を採取しても9年ごとに再生するという特徴がある樹種で、木を伐採せずになんと15〜18回も樹皮を採取できるのだとか。
天然素材でありながらこのように持続可能な素材である点が評価されています。

コルク素材は、性能の高さも魅力のひとつ。コルクにはたくさんの小さな穴(1平方メートルあたり約4000万個の気泡)があり、吸音性や断熱性に優れています。柔軟性や弾力性があり滑りにくい素材であるため、子どもや年配の方が利用する空間などで効果を発揮します。

防水性や耐熱性にも高く、コースターやワインの栓にも使われています。また、自然素材でありながら加工しやすい素材であるため、グリップ部分や、サンダルなど生活雑貨としても取り入れられています。



2.コルクを活用した建材いろいろ

コルク建材というと、一般的には壁面に使用するコルクボードを思い浮かべるかもしれません。
現在ではコルクの特徴を活かしたさまざまな製品が開発され販売されています。
こちらでは魅力あるコルク製品の一部をご紹介していきます。

床暖房対応型のコルクフローリング「ボルコルフロアーII」

ポルトガルのコルクフローリング大手AMORIM社製造の「ボルコルフロアーII」は、提携先のウッディワールド株式会社が直輸入しているコルクフローリング。AMORIM社のコルクフローリングは、世界40カ国の住宅で愛用されています。

床暖房に対応し、リビングルームやダイニングルーム、キッチンなど住宅での使用実績のあるボルコルフロアーII。コルクは吸音性が高いため、ペットを飼育するお部屋や小さなお子さんがいるご家庭に適しています。
湿度が高い場所でもサラッとした肌触りを感じることができ、夏場など湿度の高い気候をもつ日本にも適したフローリングなんです。

ボルコルフロアーIIは、中層まで全てコルクで作られているため、従来品よりも薄い7mmという厚みに抑えながらもコルク素材の特性を十分に味わえる魅力ある製品。
クッション性も高く、高齢者施設や子どもが利用する施設にも最適。歩行時の足への負担軽減や転倒した際の衝撃を和らげてくれます。厚みが抑えられたことで、リフォームの現場でも取り入れやすくなりました。

床下地に糊(のり)のみで施工することも可能で、木質部分の反りを最小限に抑えます。
カラーは、コルクの風合いを生かした表面塗装で、あらゆる部屋に合わせやすい4色で展開。

「ムーンライト」
明るい印象の部屋にまとめたい人におすすめしたいのが生成りのかかったホワイト色
「ジャスミン」
ホワイト色よりも汚れが気になりにくい
「オリジナル」
コルクの色を活かしたナチュラルな色
「ナイトシェード」
シックにまとめたい方におすすめ

どのカラーも、表面には耐摩耗樹脂であるHRT樹脂でコーティングされているため、メンテナンスがしやすいコルクフローリングであるにも関わらず、コルクの感触は損なうことがありません。



壁材にコルク栓を利活用した「リコルウッドパネル」

飲食店やホテルなどで廃棄されるコルク栓を再利用した日本エムテクス株式会社の製品「リコルウッドパネル」。ゴミとして捨てられる予定であったものをアップサイクルしており、コルクの風合いを楽しみながら環境に配慮することができます。

コルク栓をあえてあら目に粉砕して固めており、コルク栓の風合いを生かした製品で、表面には凹凸があるため壁や天井での使用が推奨されます。中には原料にプラスチックの栓が混じることもあるのだとか。あえて味があるものとして使用するのも面白いですね。

リコルウッドパネルは900×150mm、600×300mmの2サイズ展開。タイルのように組み合わせて使用できるため、施工しやすいのも特徴です。採用例には壁や天井以外に、店舗の什器や建具などにもポイント使いされています。



コルクの特性を生かした舗装仕上げ材「ドリームコーク」

「ドリームコーク」は、遮熱性・弾力性を高めることのできる舗装。コルクの熱伝導率の低さを活かした中部土木株式会社の製品で、プールサイドや公園など、夏の日射で高温になりがちな舗装への使用におすすめです。透水性がありすべりにくい仕様であるため、雨で濡れやすい箇所や滑りやすい箇所があれば、改修時に検討してみるのもおすすめです。

最適土系舗装のような弾力性を備えているため、転倒時の衝撃を和らげてくれる効果があり、ジョギンコースや歩道にも最適。
コルクにエポキシ樹脂を混合したものをプライマー処理後に8mm程度の厚みで施工していきます。既設のコンクリートやアスファルト舗装の上からも使用が可能です。



コルクを炭化し断熱性を高めた断熱材「炭化コルクボード」

「炭化コルクボード」は、コルクチップを高温焼成形させたボンスマイネ株式会社が取り扱う断熱材。接着剤を使わず、コルクから染み出る樹脂で固めているため、有害物質を含まない断熱材として注目されています。土に還ることのできる素材で、環境負荷を抑えることができます。

炭化コルクは、熱伝導率0.037〜0.040w/mkと断熱性能が高いだけでなく、防音性能も高く外部からの音を遮断したい場合にもおすすめです。天然素材であるため自己吸放湿も可能で、結露の発生を抑制します。

炭化コルクボードは、外張り断熱方式で使用する方法と、充填断熱方式で使用する方法から選択可能です。



まとめ:コルクで快適な暮らしを

コルクは多角的な性能の高さが評価され、さまざまな製品に活用されています。
天然素材でありながら一度粉砕してから成形するため、他の天然素材よりも施工に取り入れやすい一面もあります。 木を伐採する必要がない木材製品という持続可能な生産方法である点からも、今後ますます注目される素材となるでしょう。
コルクの魅力を活かした製品を活用し、暮らしの空間に取り入れてみてください。





著者(北野 きほこ)プロフィール

意匠設計事務所で10年以上勤務し、主に木造住宅の新築、リノベーション、施設の木質化などの設計経験あり。
設計・ライターの仕事をしながら、木育活動にも取り組む。




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