建材情報まとめサイトすまいリング
掲載:2021年06月16日 更新:2022年09月01日

建築士なら知っておくべき国内や海外の良い建築物

建築士なら知っておくべき国内や海外の良い建築物
建築業界に限らず、デザインやクリエイターのジャンルに所属する人は「創造性」が大切です。
スポーツでも料理でも、一度も経験したことがないものや、見聞したことがないものは想像すらできません。

建築物は機能性を兼ね備えた芸術品の一種でもあります。
特に建築士であれば、規模を問わずデザイン性において創造力と発想の力量が問われるところです。

独自性を持ちつつ、洗練されたデザイン力は普段から自分の目を鍛えておくことが大切です。
良い建物を作り出すためには、知識や経験などの専門的な情報に加えて、国内や海外の良い建築物をしっかり見ておきましょう。

建築士なら知っておくべき国内や海外の良い建築物を紹介させて頂きますので、創造力の糧として蓄えてください。

1.建築士は経験と情報量の多さが命

建築士なら知っておくべき国内や海外の良い建築物

建築士には建築士法で定められた建築物を新築、増築、改築・修繕又は模様替えをする場合の設計や工事監理という建築物に関わる専門的領域を担う業務の特権が与えられています。

試験によってさらに一級建築士、二級建築士、木造建築士に分類され、一級建築士はすべての建物の設計ができ、二級建築士は三階建て未満の建物、木造建築士は一定規模以下の木造建築物しか設計できません。

一級建築士はすべての建築物の設計が可能ですが、実際には実務で木造を経験していなければ、一級建築士でも木造に詳しくない人もたくさんいます。 建築物の設計を一級建築士に依頼したからといって、必ずしも希望する以上の最高の建物が設計できるわけではありません。
建築士の試験に問われているものはあくまでも専門家としての最低条件であり、建築基準法をはじめとした法令や構造の基本知識を有している区分けをしているに過ぎません。

デザイン力や創造力を鍛えていくためには、何より設計やデザインの勉強をしなければなりません。
デザインの勉強方法は色々とありますが、実践に勝る修行はありません。

最も効率的で良いデザインの勉強は、良い建築物を実際に見て触れることです。

特にインターネットが普及した現代では、情報を制するものが未来を制すともいわれています。
これは経営者のみが目指す情報収集力ではなく、建築士にも共通していることです。

情報取集の対象は、「人」「書籍」「Web」あらゆるものから取り入れるべきでしょう。
積極的にインターネットを活用しながら、可能な限り実物の良い建築物に触れることをオススメします。


2.実物を見て知識をストックする

建築士なら知っておくべき国内や海外の良い建築物

建築士の立場であれば、実際の建物に触れる機会は非常に多いでしょう。
しかし、心の残る建物や、目に焼き付いて離れないくらいに感動を覚えた建築物に普段から接していますか。 答えはおそらく「ノー」でしょう。

平成31年4月1日現在で一級建築士の人数は373,490人、二級建築士は771,246人、木造建築士は18,133人が登録されており、現場作業者も含めた建設業全体の従事者は498万人にも登るそうです。(建築技術教育普及センター、国土交通省のデータより)

これだけの人数が在籍する建築の世界ですが、優れたデザインセンスや創造力を有している人はどれだけ存在しているのでしょうか。

ありふれた間取り、オーソドックスな外観、使い勝手だけで決定した動線など、普段の実務の中ではデザインの勉強をする機会は決して多くありません。
自ら積極的に良い建物を見て知識を深めて行く必要があります。

建築に限りませんがデザイナーという職種の人は自分の専門外の分野から受けたインスピレーションを大切にします。 クリエイティブな創造力を仕事に活かすためには、普段からインスピレーションを鍛える必要があります。
休日にのんびり過ごすことも大切ですが、可能な限り素晴らしい建築物を見に出掛けましょう。

良い建築物といっても、決して有名な建物でなくても構いません。
実際に建っている家を見に行くことでも十分な勉強になります。

いざ間取りを考えても上手くイメージがつかなかったり、お施主様の意図が見えないことがある場合、不安になることがあるはずだと思います。

実際の建物を見ることで、自分の知識量を増やし、新しいアイデアが出てきたり、イメージがより具体的に想像できるようになります。


3. 国内でオススメの良い建物

建築士なら知っておくべき国内や海外の良い建築物

時間と資金に余裕があるなら、是非とも国内の有名な建築物は見ておきましょう。
日本の名建築と称される作品をいくつか紹介します。

【光の美術館】
言わずと知れた有名な建築家・安藤忠雄氏の代表作の一つ。
「自然光」にスポットをあてて設計された美術館です。

【梼原 木橋ミュージアム】
国立競技場などで非常に有名な建築家の隈研吾氏の作品です。
江戸時代に存在した構造をヒントに設計された美術館です。
心が奪われる木の美しさが特徴的です。

【国立新美術館】
メタボリズムで有名な建築家の黒川紀章氏の作品。
六本木をアートに親しめる街にすることを目指して2007年にオープンした黒川氏の最晩年の作品です。 印象的なウェーブが心を魅了します。

【モエレ沼公園(北海道)】
「全体をひとつの彫刻作品とする」というコンセプトで作られた、彫刻家イサム・ノグチがデザインを手がけた作品です。

その他多数の素晴らしい建築物が国内には存在していますが、私がオススメするのは「明治村」です。 明治村は愛知県犬山市にあるテーマパークですが、明治時代の建造物等を移築して公開されている博物館です。
当時の素晴らしい建築物に触れることができ、デザインの勉強に役立つでしょう。
重要文化財や有形文化財に指定されている40棟以上の建物を見ることができます。


4. 海外でオススメの良い建物

建築士なら知っておくべき国内や海外の良い建築物

国内の建物だけでなく、機会があれば海外の良い建物も是非見ておきましょう。

【サグラダ・ファミリア】
現在も工事が終わっていないという、世界的に有名な建築物。
アントニオ・ガウディの作品で、死ぬまでに一度は見たい建築と非常に有名です。
建築スタッフの一部に日本人が携わっている事でも有名です。

【カウフマン邸(落水荘)】
建築の勉強をした経験があるなら必ず教わっている有名な建物です。
フランク・ロイド・ライトの代表作で、滝と周辺の自然環境を優先して設計された独特な美しさを持つ建築物です。

【ファンズワース邸】
こちらも建築史で有名なミース・ファン・デル・ローエの代表作です。
殺風景に思えるようなデザインにも関わらず、洗練されたシンプルさと、無駄の無いモダンな造りが高く評価されています。 シンプルイズベストの極みを感じる建物です。

【ユニテ・ダビタシオン】
建築の巨匠ル・コルビュジエの代表作です。
1階部分にはピロティ、屋上には庭園と、集合住宅の理想を詰め込んだ建築です。
また、パリ郊外にある「サヴォア邸」も是非見ておきたい建築物です。


偉大な建築家の作品だけでなく、ユニークな建物も紹介します。

【カサ ミラ】
おしゃれな建物が多いことで有名なバルセロナにあるガウディの作品の一つです。

【東大門デザインプラザ (DDP)】
韓国にある外観が斬新な建物です。
宇宙船のような未来をイメージする作品です。

【オペラハウス】
シドニーにある有名すぎる建物です。
独特のおもしろい形をしたオペラハウスです。


その他、世界中には常識を超える素晴らしい建築物がたくさんあります。
是非とも積極的に機会を設けて実物を見てみると良いでしょう。


5.オンラインを活用した建物探索

建築士なら知っておくべき国内や海外の良い建築物

国内や世界には創造力を鍛えるためには十二分といえるほどの素晴らしい建物がたくさん存在しています。 しかし、場所が遠い、資金や時間的に厳しい、コロナ禍の影響で行けないなどの条件もあるでしょう。

こんなときに活用したいのが「オンラインを使った建物探索」です。

リアルに建物を見るほどの迫力はありませんが、インスピレーションを高めるためには、限られた時間を有効活用することが大切です。 時間の空きを利用して、積極的に世界中の素晴らしい建築物を堪能しましょう。

建築に限らず幅広い情報が得られる オンラインの活用方法は「Twitter」が便利です。
建築物の情報を紹介しているのは、個人の設計事務所や工務店、学生などが自分の事業や研究を積極的に発信しています。 是非とも登録しておきましょう。

【建築家デザインBOT】
世界中の有名な建物を紹介してくれます。
歴史的な建築物も紹介されるので、目の保養や建築士試験対策にも最適です。

【ON VISITING】
建築系のイベントやコンペに関する情報が発信されています。


6.まとめ

いかがでしたか。
建築士なら知っておくべき国内や海外の良い建築物は想像を絶する数が存在しています。
今回紹介させていただいたのは有名な建築物のごく一部でしかありません。

好みや趣味趣向によって好き嫌いも分かれるでしょうが、より多くの知識を有しておくことで、いかなる無理難題にも対処できるだけの創造力が養われます。
普段見かけない珍しい建物を見たら、「すごい」と感じるだけでなく、さらにもう一歩想像力を働かせて頭の中でイメージを膨らませてみましょう。

イメージ力の強化を繰り返すことで、自分の作品も見違えるように独自性を帯びてくるはずです。
常識や世間体にとらわれることなく、且つ機能性を有して法令遵守の素晴らしい建築物をたくさん生み出せる力を養っていきましょう。


著者(田場 信広)プロフィール

・一級建築士、宅地建物取引士

・建築設計、工事監理、施工(大工)、戸建て木造住宅の新築からリフォーム全般、分譲マンションの内装改修、マンションの大規模修繕工事の設計・設計管理、警察署の入札仕事や少年院の特殊な工事も経験

・某資格学校にて2級建築士設計製図コースの講師を6年務める







あわせて読みたい

COLUMN
建材コラム
建材のことをわかりやすく紹介するコラム記事です。 建材に関するあらゆることから、身の回りの疑問に感じた住まいに関する記事まで取り揃えています。
田場 信広の人気記事
なぜいま国産木材が大きく注目されるのか?利用するメリットや新技術も解説
CLT活用!木材消費大国日本が世界一の木材技術大国になれるのか?
これから建築士が身につけておくべきスキル
よく読まれている記事
先週 先月
お風呂の壁に磁石がつくって知ってた?仕組みと理由を聞いてみた
グラスウールはどんな断熱材?ロックウールとの違いやメリット、デメリット
外壁を塗り壁にする特徴や費用を解説!土壁や漆喰・ジョリパットの違いは?
外壁塗装の耐用年数は20年が限界!寿命を延ばすポイントを解説
屋根塗装の時期が10年後というのはウソ?塗り替えに適した季節も解説
お風呂の壁に磁石がつくって知ってた?仕組みと理由を聞いてみた
グラスウールはどんな断熱材?ロックウールとの違いやメリット、デメリット
外壁を塗り壁にする特徴や費用を解説!土壁や漆喰・ジョリパットの違いは?
外壁塗装の耐用年数は20年が限界!寿命を延ばすポイントを解説
万能なフロア材、「突き板フローリング」とは?メリットとデメリットをご紹介