ウッドデッキ用の人工木の違いは?人工木のメリットとデメリット
ウッドデッキ材は主に「天然木」と「人工木(樹脂木)」の2種類に大別され、それぞれの素材の特徴についてよく理解しておくなら、ウッドデッキを作る上で大いに役立ちます。
この記事では特に「人工木」について、
・人工木とはどんな素材か
・同じ「人工木」と呼ばれる素材でも、それぞれどのような違いがあるか
・人工木のメリットとデメリット
などを詳しく解説します。
1.ウッドデッキ材として人気のある人工木とはどんな素材?
ウッドデッキ材として広く活用され、「人工木」や「樹脂木」などの呼び名で知られる素材は、正式名称を「木材・プラスチック再生複合材」といいます。
人工木・樹脂木はその名の通り、木材から作られた「木粉」と「樹脂(プラスチック)」を主原料として作られ、その他にUV防止剤や酸化防止剤などの添加剤が数パーセントずつ添加されていますが、中には木粉を一切使用していない人工木もあります。
人工木は、天然木の「腐敗しやすい」「虫害を受けやすい」「メンテナンスに手間がかかる」といった弱点を克服しつつも、天然木のような自然でぬくもりを感じられる質感を持つ素材として開発されました。
人工木は、主に腐食や虫害への強さが必要とされるエクステリア材として使用され、デッキ材以外にもフェンス・ベランダの手すり・ルーバー、公共施設の遊歩道など、様々な場所で幅広く活用されています。
素材や木粉の含有量で、性質が少しずつ異なる
人工木材の品質は主に、
・木粉の含有量
・使用する樹脂の種類
という2つのポイントに左右されます。
デッキ材に含まれる木粉の比率が高ければ、人工木は天然木に近い温もりを感じられる質感になりますが、腐食しやすくなってしまうというデメリットも生じます。
一方、樹脂の比率が高ければ腐食に強くなる反面、直射日光の影響で熱くなりやすく、暑い時期の日中には、素足でデッキを歩けないほど高温になることもあります。
2.ウッドデッキに人工木を使用するメリット
メンテナンスが簡単
天然木をウッドデッキ材として使用する場合、何年間も風雨にさらされる屋外でも腐食や虫害で朽ちてしまわないよう、定期的にウッドデッキ全体に木材保護塗料を塗布する必要があり、費用と同時に手間もかかります。
人工木のウッドデッキ材はそのままでも腐食や虫害がほとんど無く、天然木のようにメンテナンスに費用や手間をかける必要がありません。
天然木材のように加工できる
人工木は、天然木のように丸ノコで切断したり、ビス留めしたりする加工が可能です。
DIYが趣味で、日曜大工の基本的な道具・工具が揃っているならば、新たに道具を買いそろえる必要はありません。
子どもやペットのいる環境でも安心して使用できる
人工木は天然木のようにささくれが立たず、裸足でも安心して過ごすことができるので、ウッドデッキで子どもやペットを遊ばせたいという場合にも安心です。 また天然木のように経年劣化で割れたり、反り返ったりすることもありません。
3.ウッドデッキに人工木を使用するデメリット
温度や湿度などの影響で伸縮する
一般的に人工木は、天然木に比べて温度や湿度、また吸水による伸縮が生じやすいという性質があり、これを「寸法安定性」が悪い、といいます。
そのため、人工木をウッドデッキ材として使用する際には、膨張しても干渉しないように、素材同士に適切な隙間を空けて施工することが必要ですが、中には寸法安定性が向上するよう改良された人工木デッキ材もあります。
熱くなりやすい
人工木には「ポリプロピレン」や「ポリエチレン」など、プラスチックに属する樹脂が広く使用されていますが、この素材は熱を吸収しやすく、人工木のウッドデッキは夏場、日差しが強い時間帯にはかなりの高温になり、過ごしにくくなってしまいます。
しかし、人工木の中には断熱材などにも使われる「ウレタン樹脂」を使用した製品もあり、ウレタン樹脂性の人工木は一般的な人工木とは異なり、強い日差しの下でも熱くなりにくい、という性質があります。
天然木のようなエイジングを楽しめない
天然木は適切なメンテナンスを定期的に行えば、10年〜20年ほどの長い期間、天然木独特の風合いが深まっていくを楽しめますが、人工木ではそのような楽しみ方はできません。
むしろ、人工木の色は紫外線の影響で徐々に退色していきますし、紫外線や摩擦の影響で人工木表面の樹脂の結合が劣化し、粉が吹いたような状態になることもあります。
4.人工木ウッドデッキの紹介
「建材ナビ」では人工木のメリットを深め、デメリットを可能な限り克服した、様々な種類の人工木がラインナップしています。下記にそれらの一部をご紹介します。
ウッドデッキ人工木材「アート・コム・ウッド」/ 株式会社呉松
再生プラスチックと未利用木材を使用して形成された「アート・コム・ウッド」は、経年による退色や変形の少ない樹脂木ウッド材で、木粉使用率は50%以上です。
カラーバリエーションは「チョコレートブラウン」「クリームホワイト」「サンディイエロー」「ダークグレー」「キャロットオレンジ」の5色展開で、明るい色のラインナップを特徴としており、オーダー色も用意されています。
また、デッキ材同士の接続部分の目に見えない部分に「返し」をつけてデッキ材の隙間から小銭や鍵が落下しないように工夫された「コイン落下防止機能」や、ビスを使わずにデッキ材を固定し、一枚ずつ取り外せる、独自の「取り外し機能」など、長く使用する上で嬉しい機能性を備えています。
人工再生木材「ドゥーザー」/ 株式会社ラスコジャパン
株式会社ラスコジャパンの「ドゥーザーウッド」シリーズは、廃木粉使用率50%の再生人工木材で、耐久性・耐摩耗性・耐候性に優れているのが特徴です。
中が空洞になった「中空材(ホロー)」タイプと空洞のない「ムク材(ホロー)」タイプの2種類が存在し、カラー展開は「チーク」「レッドウッド」などの6色で、表面のエンボス加工と合わせて、本物の木に近い質感に仕上げられています。
ドゥーザーウッド製のウッドタイルやベンチなどもラインナップされています。
アシストコンポジットデッキ / 日本住宅パネル工業協同組合
アシストコンポジットデッキは、天然木に近い質感が感じられるデッキ材です。 滑りにくく、耐摩耗性が高いという特徴に加え、傷や汚れに強いという特徴もあります。
中空デッキ材オリジナル人工木材【Eee-Wood】/ 人工木材の専門店 アートウッド
アートウッドの「Eee-Wood」は厳選された天然木粉と高密度ポリエチレンで作られた高品質な中空のウッドデッキ用人工木材で、耐候性だけでなく耐火性にも優れ、公共施設の使用にも向いています。
見た目だけではなく手触りや風合いまで本物の木と見間違えるほどの質感になるよう、表面加工にまでかなり手をかけています。
ガーデンデッキ【ハイブリッド彩木】/ MINO株式会社
MINO株式会社の「ハイブリッド彩木」シリーズは、断熱材としても利用されるウレタン樹脂を使用しており、直射日光下でもデッキ材表面の温度が上がりにくく、夏でも過ごしやすいウッドデッキ材です。
天然木から型取りされた木目と、こだわりの塗装技術によって、表面の仕上げはリアルな天然木の質感を実現しています。
5.まとめ
ひとことで「人工木」といっても、デザインやカラーだけでなく、質感・特徴もそれぞれに異なっています。 この記事の情報を簡単に覚えておくだけで、適切なウッドデッキ材を選びやすくなるでしょう。
CAD利用技術者1級、CADアドミニストレーター
住宅メーカの下請けとして木造大工作業を担当。
注文家具の製造と設置。製図補助を担当。
国内最大手インテリアメーカーの店舗で接客・販売を担当。