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掲載:2019年09月24日 更新:2022年06月17日

万能なフロア材、「突き板フローリング」とは?メリットとデメリットをご紹介

建売住宅や一般的なマンションアパートの床には木製のフローリング材が張られていますが、そのほとんどが「突き板フローリング」と呼ばれるもので、この突き板フローリングは新築だけでなく床をリフォームする際にもその使い勝手の良さから広く選ばれています。

この記事では
・突き板フローリングとはなんなのか
・突き板フローリングのメリットとデメリット
・突き板フローリングのメンテナンス方法

についてご説明します。

1.突き板フローリングとは

「突き板」とは何なのか

突き板とは天然木から削り出された厚さ0.2mm〜0.6mmほどのかなり薄い板のことです。 突き板はロータリーという機械で、大根の桂剥きの要領で丸太から薄く削り出されるため、ロータリー材と呼ばれることもあります。 突き板はフローリング以外にも天井材やテーブルの天板など住まいにまつわる様々な箇所に活用されています。

突き板フローリングは「複合フローリング」の一種

フローリング材は

・単層フローリング
・複合フローリング(マルチレイヤーとも言われる)

の2種に分類され、突き板フローリングは複合フローリングの一種です。

複合フローリングとは、合板やMDF(中密度繊維板)などの基材の表面に突き板を張り合わせた構造のフローリング材のことで、表面に使用されている仕上げ材の種類によって

・突き板フローリング(表面材に突き板を使用)
・挽き板フローリング(表面材に厚さ2mmほどの挽き板を使用)

・シートフローリング(表面材に木目がプリントされたオレフィン製・樹脂製などのシートを使用)



などの種類に細かく分けられています。
基材に合板ではなくランバーを使用した三層フローリングも複合フローリングの一種です。

一方で、単層フローリングに該当するのは無垢フローリングのみです。

突き板フローリングは無垢フローリングに比べて安価ですが、表面に使用されているのは天然の木材であり、木目をプリントした樹脂フィルムや紙が表面に貼り付けられている、いわゆるイミテーションのシートフローリングに比べて、本物の木の質感が楽しめるため、床材として高い人気を誇っています。


2.突き板フローリングにはこんなメリットがある

変形・変質しにくい

木目が直交するように薄い板を何枚も張り合わせた突き板フローリングの複層構造は、湿度や温度の影響で変形することがほとんどなく、無垢フローリングのように個体ごとの微妙な狂いを気にする必要もないため、施工後も割れたり反ったりする心配がほとんどありません。

品質が均一で施工しやすい。

無垢フローリングには素材の色味の微妙に違っていたり、節の有無で質に差があったりするのに対して、突き板フローリングの外観・品質は均一で扱いやすいものになっています。

また、突き板フローリングは無垢フローリングに比べて施工が簡単なため、施工後の仕上がりが施工業者の技術に左右されにくいというメリットもあります。

リフォームに使いやすい

複合フローリング材の厚さは12mmが一般的ですが、中には6mm程度の薄い突き板フローリングも存在します。 これは床の張り替えリフォーム用に用意されているもので、既存のフローリングを剥がさずに上から貼り付けても天井高さがほとんど変わらないため、床材をリフォームする際の費用と手間を節約することが可能です。

ただし、6mm程度の厚さであっても、床面周りの巾木やドアの開閉との兼ね合いを図るため、多少の追加工事が必要になることもあります。

高機能なフローリングを選択できる

複合フローリングは構造上さまざまな加工をしやすいため、付加的な機能を持ったフローリングを選択することもできます。

床暖房対応タイプ

床暖房を併用できるタイプのフローリングです。 熱で変形してしまうことがある無垢フローリングは床暖房との併用には向いていませんが、合板や繊維板を使った複合フローリングであれば、床暖房対応の製品も比較的安価に入手できます。

無垢フローリングにも床暖房対応のものもありますが、床暖房の熱で全く変形しないというわけではありません。

防音・遮音タイプ

フローリングの裏側に特殊な緩衝材を張り合わせ、音を響きにくい加工を施しているものです。
防音・遮音タイプのフローリングを施工することにより、歩行や椅子を引く音などの生活音が階下に響きにくくなるため、マンション・アパートなどの集合住宅に適しています。

重歩行タイプ

重歩行タイプとは土足での使用に耐えうる特殊なコーティングを施したフローリングのことです。
一般家庭にはほとんど使われることのないタイプのフローリングですが、靴を履いたまま多くの人が出入りする飲食店や商店などの店舗建築では、この重歩行タイプのフローリングが活躍します。


3.突き板フローリングのこんなデメリットも覚えておこう

突き板フローリング

傷に弱い

約0.3mmの突き板フローリングは、表面材の厚さを超える程度の深い傷が入ると下地である基材が見えてしまいますし、物を落とした衝撃で表面材が割れてしまうこともあります。
このようなダメージはとても目立ってしまいますし、修復も難しく、リペアのためには、傷ついた部分の張り替えが必要になることもあります。

質感が安っぽく見えるものもある

突き板フローリングは表面に天然木を使用しているものの、突き板の厚さは1mm以下と薄く、無垢フローリングと比べると安っぽく見えてしまうのは否めません。
突き板フローリングでもなるべく高級感を演出するためには、可能ならウォールナットやローズなどの色味の濃いものを選ぶと良いでしょう。

また、複合フローリングの中でも突き板がなるべく厚いもの、または挽き板(厚さ2mm程度の天然木)フローリングを選べば、価格は上がるものの、フローリングを見栄えの良い仕上げとすることが可能です。


4.突き板フローリングの活用方法やお手入れ方法

突き板フローリングが向いている部屋

突き板フローリングは値段も手頃で使いやすく、屋内のどんな部屋や廊下にも使用できる万能なフローリング材です。

ただし、突き板フローリングは傷に弱いという弱点があるので、人目につきやすい場所や長く滞在する場所にはより高級感を感じられる挽き板フローリング、キッチンなどの汚れがつきやすい場所には掃除がしやすいシートフローリングを使用するなど、同じ家の中でも用途に応じてフローリング材を適材適所に配置すれば、予算を抑えつつすごしやすい住空間を創る事ができます。

突き板フローリングの適切なメンテナンスとは

突き板フローリングは掃除が簡単で、水拭きでほとんどの汚れが綺麗になりますし、汚れがひどくなっている場合にも中性洗剤を使用することが可能です。

突き板フローリングは基本的にワックスによる定期的なメンテナンスを必要としています。
ワックスが剥がれるとフローリング表面の光沢が失われたり、さらにそのまま放置しておくと乾燥によって表面の突き板にひび割れが生じたりする可能性がありますので、可能であれば半年〜1年に1度の目安でワックスがけを行うよう心がけましょう。

5.まとめ

突き板フローリングは万能なフローリング材ですが、その特徴やメンテナンス方法をよく理解した上で選ぶなら、住空間をより快適でクオリティーの高いものに仕上げることができます。
この記事の情報を、ぜひ適切な床材選びにお役立てください。



著者(澤田 秀幸)プロフィール

CAD利用技術者1級、CADアドミニストレーター
住宅メーカの下請けとして木造大工作業を担当。
注文家具の製造と設置。製図補助を担当。
国内最大手インテリアメーカーの店舗で接客・販売を担当。







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