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  • 掲載:2023年09月08日更新:2024年02月29日

【新潟ヒロタカ ✕ 竹六商店】マンションの最上階に存在する日本の伝統文化の神髄「天空の茶室」

Takeroku ✕ Nigata Hirotaka Design
株式会社新潟ヒロタカデザイン事務所
株式会社新潟ヒロタカデザイン事務所
取締役会長 大竹健一
新潟県新潟市中央区堀之内南2-19-14
TEL:025-243-2828

「茶室空間の全ての備品を備えておられる竹六さんとの出会いは幸運でした。」
1975年 (株)ヒロタカデザイン事務所 入社
1983年 (株)新潟ヒロタカデザイン事務所 入社
2023年 代表歴任して現在取締役会長に就任
竹六商店
株式会社竹六商店
販売促進課 小田龍太
滋賀県東近江市福堂町3488
TEL:0748-45-0231

「茶室天井全面との運びだったのでどんな様相になるのか非常にワクワクしました」
竹六商店は竹をはじめとする建材の製造販売をしております。お問い合わせなどございましたらお気軽にご連絡ください。 SNSやブログを通じて多くの方に自然素材の魅力も発信しております。是非ともご覧ください。
株式会社竹六商店の製品はこちら
竹という持続可能な天然素材を中心とした建築内装材の魅力を伝え続ける株式会社竹六商店の小田氏と、本物のデザインを通じ、地域へ の貢献ならびに文化の発展に寄与する株式会社新潟ヒロタカデザイン事務所の大竹氏のコラボレーション。新潟市街地中央に建設された RC造のマンションの最上階に施主様の要望で設えられたのは、格調高い伝統文化の神髄ともいえる本格的な茶室でした。まさにこの「天 空の茶室」を実現するまでの試行錯誤と出会いのストーリーをお二人に語って頂きました。


新潟ヒロタカデザイン事務所(設計事務所)

今回の設計を手掛けることになった経緯を教えてください。

大竹: 弊社が長年お取引きをいただいてるクライアント様が、新潟市街地中央に10階建ての賃貸マンションを建設している最中のことでした。建物はRC造で7階まで打ち込み完了のタイミングで、10階の賃貸マンションフロアを計画変更し、オーナー居住空間と茶室を造る事になりました。
建物の完了期日まで、残された日程は半年を切るという時期でしたが、弊社にその設計と施工を指名するとのお話を頂いたのです。茶の湯の造詣を期待された特命であり、大変ありがたいお話でした。


茶室という特別な空間の設計にあたり、苦労した点はどんなところでしたか。

大竹: 元来、弊社創業者は美術品蒐集以外にも、茶の湯に勤しんでおり、建築設計業務を志す者たちの必須の学びは、総合芸術の茶道にあるとの信条を持っておりました。そこで弊社では社員が、空間から作法まで「茶の湯」を学ぶ機会を得ていたのです。
そこで、今回10階の天空にマンション仕立ての茶室を設えるに当たり、流派が異なるも先人達の派生経緯、思想心情、コンセプトの復習などの基本構想から着手することにいたしました。苦慮したのは、RC構造による大梁、中梁の活かし方(マンション用の本体設計だったので)、避け方などの位置取りでした。
そこは、床前の天井を横断する大梁をあえて存在感を活かして、床前までの細い天井と点前座、客席の天井を一面光天井に設る構想から仕様検討し、資材選びを開始しました。


今回、竹六商店様の製品を採用された決め手はどのようなところでしたか。

大竹: 資材選びをする中で、繊細で巧みな杉編みから溢れる灯火(LED自然光、調光付き)が凛として優しいイメージの天井資材を「竹六商店」さんの製品のうちに発見しました。 品格の高い、意匠性の高い、新しい和の伝統文化を表現、創出する「竹」と「和材」の仕様製品に眼を奪われました。
実品を手にした訳でなく、カタログとサンプルを頂いた時点で確信し、とてもシンプルな構成の「杉柾四ツ目編」を採用。続いて、小さな金物に本物の息吹を感じる、床周りの「数奇屋金物、花釘」も専門本手打ちを各種採用しました。
このように、釘一本手を抜けない部品である茶室空間において、全ての優品を備えておられる竹六さんとの出会いは幸運でした。また、今回は「建材ナビ」のサイトで、(茶道・茶室関連の造作・仕上げ材・建材)などで検索した結果、竹六商店様を知ったので、出会いの場を提供してくれた「建材ナビ」さんにも感謝ですね。
杉柾四ツ目編ワーロンシート貼 / 真竹晒竹竿縁
杉柾単板を編み込み、裏面にワーロンシートや垂れ防止桟を取り付けた仕様。竿縁の真竹晒竹は茶室空間をより際立ている。


施工後に感じたこと、感想などお聞かせください。

大竹: 北山杉、霧島杉、松杢目で床を組み、オーソドックスな聚楽色で壁を包む。極シンプルに腰張りもせず、茶道口を障子の太鼓襖、待合は立礼席に兼用。元々バリアフリーの階高設計で寸法不足や、また炉が切れるか、など数値との格闘でしたが、結果としては上手く仕込めました。
入口、水屋、お手洗いの配置と居住空間との結界、結節の考慮など、多くのことを学べた空間でありました。 簡素で、晴れやかで、伝統も醸し出せた茶湯空間が完成したと思います。 完成後、柿落としの初回にお招きいただき、お道具揃え、茶主のお点前に触れて、地域の茶の湯文化に貢献出来た事は大変満足しています。また、その機会を与えて頂いた施主様や仕様材料を提供してくれた「竹六商店」様にも、深謝いたします。


竹六商店(メーカー)

今回ヒロタカデザイン事務所様に採用された製品について教えてください。

小田: 製品名:No.161 杉柾四ツ目編 ワーロンシート貼
国産の杉柾単板を四ツ目柄に編み込み、裏面にワーロンシートと垂れ防止桟を取り付けた製品です。明りを点けていない状態では杉柾単板が織りなす自然素材としての風合いが際立ち、点灯した状態では四ツ目編の交差した様相が浮かび上がる特徴を持っています。
茶室に限らず、ホテルや旅館、店舗・住宅など活用の場面は広く、多くの方にご用命いただく製品の一つとなっており、この編み方以外にも六ツ目編や竹で編み込んだものなどバリエーションに富んでいるため、汎用性高くお使いいただくことを可能としています。


新潟ヒロタカデザイン事務所様とお仕事に至った経緯を教えて頂けますか

小田: 建材ナビを通じてカタログの依頼をいただきましたことがきっかけです。 その中で村野藤吾氏設計の茶室をイメージしているとのお話しをいただき、四ツ目柄というところからカタログ内より本製品を選定、その後採用へとたどり着きました。
納品後は大竹様よりSNSを通じて施工の様子や施工後のお写真を送っていただき、施主様含めお喜びいただいたとのご報告も頂戴いたしました。 施工後のお写真は弊社HPで使わせていただいており、施工事例の中でも目を惹く存在の一つとして活用させていただいております。


貴社製品を導入された建物へのご感想をお聞かせください

小田: 光天井を室内天井全面に使用するケースは比較的少ないのですが、その中でも今回は茶室天井全面との運びだったのでどんな様相になるのか非常にワクワクしておりました。 施工後のお写真は雅かつ絢爛の様相を見せる反面、どこか奥ゆかしさとそこはかとない趣も感じられる絶妙なバランスを演出いただいており、初めて拝見した際は驚きと感動で胸いっぱいだったことを記憶しています。

弊社が持ち合わせていないアイデアを見せていただいたことは今後の提案に繋がる話ですし、事例として多くの方にご覧いただきたい内容に仕上げていただいたこと、本物件に協力できましたこと含め感謝の気持ちで溢れております。


貴社の今後の展開、または将来の展望などをお聞かせください

小田: 現在次のカタログである「ヴェルデVol.8」の制作に着手しております。 そこには今回採用いただいた商品の掲載はもちろんですが、より豊かなラインナップを予定しており、その一つとしてこれまで製品群になかった「不燃網代」が追加されます。
不燃網代は一昨年開発に成功、当初は杉柾単板が0.2mm厚と非常に薄いもののみでしたが、本年、杉柾単板が0.45mm厚を用いた製品の開発に成功し国土交通大臣認定を取得いたしました。 これにより現場継加工が可能となり、より汎用性高く多くの場面でご使用いただける運びとなりました。
また0.45mm厚単板の場合、薄い不燃基材を使用しているため光を透過し、一部製品は今回の光天井のような間接照明としてご利用いただけることも可能です。

これから先は自然素材を扱う企業として、地球環境にも貢献できる製品開発やSDGsへの取り組み、中でもサスティナブルな素材である竹の活用を提案していくことで、多くの方に自然素材の良さを認知いただき、皆様によりお喜びいただける商品づくりに励んでまいります。
STORY
プロジェクトストーリー
建材ナビを通じて設計士と建材メーカーはどのようにしてコラボに至ったか。プロジェクトはどう完結したか。両社のインタビューを紹介しています。
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