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掲載:2019年09月26日 更新:2022年06月17日

ウッドデッキを作るなら素材は樹脂木?天然木?素材選びを徹底解説

もし一戸建ての持ち家に住んでいて、庭や裏庭に十分なスペースがあるなら、ウッドデッキを作るかどうかを考えたことがあるのではないでしょうか。
ウッドデッキがあれば、そこでBBQをしたりペットや子供と遊んだり…
などなど、夢が大きく広がっていきます。

この記事では、
・天然木で耐久性の高いウッドデッキを作る方法
・樹脂木でウッドデッキを作る際のメリットとデメリット
などをご紹介します。

1.ウッドデッキを天然木で作る場合

「ウッドデッキを作るなら、天然木より樹脂木の方が断然良い」と説明しているウェブサイトは数多く存在しますが、実際のところはどうなのでしょうか。

確かに、作った後ほんの数年でウッドデッキが腐ってしまうということはありますが、結論から言ってしまえば、天然木でも耐久力のあるウッドデッキは作れますし、天然木でウッドデッキを作る多くのメリットもあります。

まずは天然木がどのような素材なのかをしっかりと理解しておきましょう。

天然木に対する3つの誤解


1.「天然木は弱い」?
DIYのレシピを紹介するようなウェブサイトで「天然木は弱い」と書かれているのを目したことはないでしょうか? そのようなウェブサイトのほとんどでは、「ウッドデッキにどの樹種の木材を使用したか」までは説明されていません。
もしかするとDIYでよく使われているSPF材(どこのホームセンターでも売っている、最も安い部類の輸入木材。トウヒ・マツ・モミの木を指す)でウッドデッキを作ったのかも知れません。

SPF材の耐久力が低いというのは事実ですが、SPFは無数に存在する樹種の一部にすぎませんし、樹種ごとに木材の性質・特徴は大きく異なります。
2.「ウッドデッキを作るならソフトウッドよりハードウッド」?
確かに木材はハードウッドとソフトウッドの2つに分類することができますが、ウッドデッキには不向きとされるソフトウッドにも多種多様な樹種の木材が存在します。
「ソフトウッドはウッドデッキには向いていない」は誤解です。
3.「メンテナンスをすれば長持ちする」?
確かに天然木のウッドデッキを長持ちさせるためにはメンテナンスが不可欠ですが、メンテナンスだけをすれば良いというものでもありません。
耐久性の高いウッドデッキ作りのためには適切なメンテナンスに加えて、素材選びがとても重要になります。

木を十分に知れば、ウッドデッキは強くなる

木材の性質は樹種によって異なり、ウッドデッキの素材としては下記のような樹種が代表的です

ウエスタンレッドシダー(米杉)
針葉樹の一種でソフトウッドに属しますが、耐久性の高い木材でウッドデッキ以外にサイディングにも使われることもあります。
カリフォルニア・レッドウッド
最高級グレードに属する木材で、収縮も少なく、耐久性も高い優れものです。
こちらもサイディングによく使われます
サイプレス(イトスギ)
オーストラリアヒノキとも呼ばれるハードウッドの一種で、腐食に強く、とりわけシロアリの被害に強く屋外使用に向いている木材です。
ハードウッドの中では比較的安価に入手できるため、人気があります。
セランガンバツ
インドネシア産の広葉樹で、ハードウッドに属します。
色は黄褐色の明るい色で、メンテナンスなしでも屋外使用に何年も耐えられるほどの耐久力を備えています。
「心持ち材」と「心去り材」を使い分けよう
どんな樹種であっても、木材には断面に年輪の中心を含んでいる「心持ち材(芯材)」と、断面に年輪の中心を含まない「心去り材(心材)」の2種類が存在します。
この2種類は時間の経過とともに現れる変形やひび割れに違いがあり、

・「心持ち材」は反りが少ないが、ひび割れしやすい。
・「心去り材」はひび割れが起きにくいが、反りやすい。

という特徴があります。
心去り材は、あらかじめ「背割り」というスリット(切れ込み)を入れておけばひび割れも生じにくくなります。
反りが起きては困る手すりの柱部分や土台部分には心持ち材を使うなど工夫すれば、天然木のウッドデッキの耐久性も向上させることが可能です。

心持ち材と心去り材を分けて販売している業者はほとんどありませんが、使用木材を自分で選べる場合には断面を見ながら選ぶようにすると良いでしょう。


天然木をウッドデッキに使用する際のメリット

木の風合い
木にはイミテーションには出せない自然でぬくもりを感じられる質感があります。 木は直射日光にさらされても高温にならず、寒さの中でも冷たくなりすぎません。
自由な加工ができる
木は道具さえあれば加工が簡単で、寸法や形状などを限定されず自由に設計し、組み立てることができます。


天然木をウッドデッキに使用する際のデメリット

腐食・シロアリ対策が必要
木は樹種や木材の種類をよく選べば耐久力の高いウッドデッキを作ることができますが、やはり防腐処理・シロアリ対策は必要です。
防腐処理が施されていなければ、湿気による腐食だけでなくシロアリやカビからもウッドデッキを守ることがでるタイプの屋外用木材保護塗料で木材全体を塗装するようにしましょう。
組み立てる前にしっかり塗装するのがポイントです。
定期的なメンテナンスが必要
木材保護塗料でしっかり塗装しても、ウッドデッキの天然木は風雨に晒されれば徐々に塗料が剥がれ、再塗装が必要になります。
年に一度ほどのペースで、最初に塗装したものと同じ種類の木材保護塗料でしっかり塗り直すようにしましょう。


2.ウッドデッキを樹脂木で作る場合


樹脂木とはどんな素材?

樹脂木は木の粉と樹脂(ポリプロピレンなど)を混ぜ合わせて生成されたハイブリッドな建材で、主に屋外に使用する際の天然木の弱点を補うものとして開発されました。
質感は遠目に見れば天然木と違いがわからないものもあります。

硬度は一般的なソフトウッドより硬く、中空構造になっているので木材より軽いのも特徴で、通常の鋸などでカットすることも可能ですが、必要な度材がセットになっていて、説明書通りに組み立てればよいだけのウッドデッキが主流です。
樹脂木は「合成木材」や「人工木」といった名称で呼ばれることもあります。

樹脂木をウッドデッキに使用する際のメリット

耐久性が高い
樹脂木は木に近い質感に作られていますが、塗装や防腐処理をしなくても腐食せず、シロアリの被害も受けません。
天然木のように湿気の影響で変形することもなく、長年にわたり形状を保ち続けます。
防腐剤やシロアリ防除の薬剤を使用する必要もないため、小さな子供やペットがいるご家庭でも安心です。
サイズ・デザインのバリエーションが豊富
サイズやカラーが自由に選べるのも樹脂木のメリットの一つです。
紫外線に長時間晒されても色あせることがほとんどなく、天然木のように定期的に塗装し直す必要もありません。

樹脂木をウッドデッキに使用する際のデメリット

熱くなりやすい
樹脂木は天然木と比べて熱を吸収しやすく、よく日の当たる夏場にはかなり過ごしにくくなっていまします。
本物の質感にはかなわない
そもそもが、天然木の屋外使用時の弱点を補うという目的で作られた素材ゆえに、大きな弱点はありませんが、やはりイミテーションゆえに本物の木と比べると、質感は見劣りします。


樹脂木のメリットやデメリットについては、下記記事でも詳しく解説しております。
関連記事>>>ウッドデッキ用の人工木の違いは?人工木のメリットとデメリット


3.まとめ

ウッドデッキの適切な素材を選ぶためには、樹脂木か天然木か、という単純な比較はできず、天然木の様々な樹種ごとの特徴や、素材ごとの正しい活用の仕方などを十分理解しておくことが必要です。
樹脂木には樹脂木の良さがあり、天然木には天然木の良さがあります。



著者(澤田 秀幸)プロフィール

CAD利用技術者1級、CADアドミニストレーター
住宅メーカの下請けとして木造大工作業を担当。
注文家具の製造と設置。製図補助を担当。
国内最大手インテリアメーカーの店舗で接客・販売を担当。







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