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掲載:2019年12月14日 更新:2022年06月17日

バルコニーをセカンドリビングに。「バルコニーデッキ」という選択肢

「マイホームにいつかウッドデッキを作って楽しみたい」、そんな夢を持っていても、現在はマンションやアパートといった集合住宅に暮らしているので諦めている、という方も多いかもしれません。 ウッドデッキの設置が現実的ではない場合にも、自宅にベランダやバルコニーがあれば、パネル型のデッキ材を使ってベランダやバルコニーを、ウッドデッキのように屋外で過ごせる「セカンドリビング」にすることができるかもしれません。

この記事では
・バルコニーデッキとは何か
・パネル型のデッキ材でバルコニーデッキを作る際のメリットとデメリット
などについてご紹介します。



1.「バルコニーデッキ」とは?

「ベランダデッキ」や「バルコニーデッキ」と呼ばれるものは、その名の通り自宅のベランダやバルコニーの床面に天然木や人工木を敷設して作る、ウッドデッキのようにセカンドリビングとして過ごせる空間を指します。

この空間を表現するのに、一貫して使用される名称というものは今のところ存在せず、ネット上では「ベランダデッキ」や「ベランダ用ウッドデッキ」などざまざまな呼称が使われていますが、この記事では、「バルコニーデッキ」という名称で統一しています。
このバルコニーデッキを作る際のデッキ材としては、簡単に連結できる正方形のパネル型のデッキ材を使用するのが一般的ですが、フローリングのように長尺のものもあります。

バルコニー、ベランダ…それぞれどう違う?

そもそも、「ベランダ」と「バルコニー」がどう違うかもわかりにくく感じられるかもしれません。簡単に説明すると、バルコニーには庇・屋根がなく、ベランダには庇・屋根があるという違いがあります。
また、バルコニーの中には人が立ったり過ごしたりできないほどの小型のもの(ヨーロッパの街並みに見られる、窓の外に植木のみを置いているような空間)、もあるのに対し、ベランダは基本的に人が出入りしたり過ごしたりすることを前提に作られています。
このような違いはあるものの、大きく異なるというわけではないため、この記事では基本的にはどちらも同じものとして記述します。

2.パネル型デッキ材による「バルコニーデッキ」のメリット

集合住宅・賃貸住宅にも取り入れられる

ウッドデッキを設置できない集合住宅・賃貸住宅に住んでいても、適度な広さのベランダがあれば、パネル型のデッキ材を敷き詰めるだけで、ウッドデッキのようなセカンドリビング空間を作ることができます。
基本的にバルコニーデッキ材はビスやボンドで床面に固定することはなく置くだけでよいので、マンションの管理規約やマナー違反になることもまずないでしょう。
もちろん、戸建住宅に住んでいる場合も、ベランダやバルコニーだけでなく犬走りや三和土(たたき)にデッキパネルを敷設すれば、エクステリア・インテリアの良いアクセントとして使えます。

施工も取り外しも簡単

バルコニーデッキ材は基本的に、主材(天板になる部分)は天然木や樹脂木、基材(土台になる部分)は樹脂で作られています。
バルコニーデッキ材の大きさは1枚あたり300mm×300mmほどであることが多く、この正方形を等分するように主材が配置されているものが一般的です。
主材は固く、もし切断したいなら手ノコや丸ノコが必要ですが、樹脂製の基材はカッターでも切断できるため、ベランダ・バルコニーの形状に合わせて設置するのも比較的簡単です。
集合住宅では、管理会社による定期的な大規模修繕工事や防水工事・塗装工事などが行われる際には、バルコニーのものをすべて一旦室内に撤収しなければならないことがあります。 そのような時でも、固定せずに連結しただけのバルコニーデッキのパネル材は、すぐに撤収し、また組み立てることができるので簡単です。

3.バルコニーデッキのデメリット

定期的なメンテナンスが必要

バルコニーデッキ材が天然木製であれば、何年かに一度、木材保護塗料でメンテナンスしなければなりません。 バルコニーの床面は雨に濡れやすく、通気性も良くないので、メンテナンスはこまめに行うことが大切です。
バルコニーデッキ材が人工木(樹脂木)製であれば、メンテナンスは特に必要ありません。

排水に気をつけよう

ベランダやバルコニーの排水溝が詰まっていると、ベランダ・バルコニーが水浸しになりデッキ材の劣化の原因になります。
排水溝のチェックや掃除がしやすいよう、排水溝の上にはデッキ材を置かないか、排水溝の上のデッキ材は簡単に取り外せるようにしておくと良いでしょう。

4.レッドシダー製ウッドデッキ

天然木(セランガンバツ)ウッドパネル「バルデスク」/ 佐藤物産株式会社

ウエスタンレッドシダーは初めのうち、白っぽいものから赤みがかったものまで、色合いには材木ごとのバラツキがあり、ランダムな鮮やかさを楽しむことができます。
しかし、ウッドデッキやサイディングなどのエクステリアに使用すると、徐々に退色し、10年も経てば全体が鮮やかさの抜けた灰色っぽい色になってしまいます。

メンテナンスに手間がかかってしまう場合もある

上にも紹介した通り、ウエスタンレッドシダーは腐敗・虫害に対する耐久力が非常に高いとはいえ、育成した土地の違いや心材か辺材かの違いによって木材ごとに耐久性能の個体差があることは十分考えられますので、浸透性の木材保護塗料を塗装するのが最善です。

メーカー側でクオリティを保証し、「保護塗装は一切必要ない」とされている場合もありますが、そうでなければ少し手間がかかるとしても定期的なメンテナンスとして保護塗装を行う方が良いでしょう。
また、湿気・水気は木材を腐らせる大きな要因になるので、ウッドデッキ材にウエスタンレッドシダーを使用する際にも、

・湿気が多い場所
・水がかかりやすい場所
・日当たりが悪く乾燥しにくい場所

などにウッドデッキを設置する際には、木材保護塗料によるメンテナンスを、よりこまめに行うようにしましょう。

5.バルコニーデッキに使えるウッドパネル・デッキ材

ハンディウッド 置くだけデッキ / ハンディテクノ株式会社

ハンディテクノ株式会社の「ハンディウッド」シリーズは、100%リサイクル原料で生産された人工再生木で、天然木と見間違えるようなナチュラルな質感が特徴です。
有害物質の含有や溶出もないため、エコマーク認証を取得しており、赤ちゃんやペットがいるご家庭にも安心です。

ジョイントデッキ(エコロッカ Air J Deck)/ エア・ウォーター・エコロッカ株式会社

「エコロッカ」シリーズのジョイントデッキは、腐敗に強い人工再生木を使用しており、ささくれが起きることもなく、非常に高い耐久性を誇ります。
カラーバリエーションは「サンディーブラウン」「ブラウン」「ディープグレー」の3色あり、それぞれに「フラット面」と「リブ面」という2種類のデザインパターンが用意されているため、いろいろな組み合わせ方を楽しむことができます。

バルコニーデッキ【ハイブリッド彩木】/ MINO株式会社

MINO株式会社の「ハイブリッド彩木 バルコニーデッキ」は室内空間とバルコニーを、ひと続きの空間のように楽しむために作られました。
こちらはパネル型ではなく、長尺のデッキ材をカットして施工します。
「ハイブリッド彩木」シリーズは人工木ですが、天然木から型取りされた木目と、本物に近づけるためにあえて色むらを施したカラーリングによる、本物の木のような質感が特徴です。

6.まとめ

もし今の住まいにベランダやバルコニーがあるなら、単に洗濯物干し場や物置として使用するだけでなく、バルコニーデッキを作ってみるなら、暮らしの楽しみは広がります。
休日のDIYでも十分施工可能なバルコニーデッキにぜひトライしてみましょう。



著者(澤田 秀幸)プロフィール

CAD利用技術者1級、CADアドミニストレーター
住宅メーカの下請けとして木造大工作業を担当。
注文家具の製造と設置。製図補助を担当。
国内最大手インテリアメーカーの店舗で接客・販売を担当。







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