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建築家インタビュー
  • 掲載:2015年09月06日 更新:2024年12月06日

ちょっとした彩をこれまでの生活に添えるデザインを提案したい
atelier FISH ARCHITECTURE

atelier FISH ARCHITECTURE
atelier FISH ARCHITECTURE 山下誠一郎、山下真未
atelier FISH ARCHITECTURE
山下誠一郎、山下真未(やましたせいいちろう、やましたまみ)
一級建築士

〒657-0051
兵庫県神戸市灘区八幡町2丁目10-11 メゾン六甲302号室
TEL:078-854-1607
【経歴〔山下誠一郎〕】

1967年
神戸生まれ
1991年
宇都宮大学卒業
1991~94年
(株)淺沼組設計部
1996年
宇都宮大学大学院博士課程前期修了
1996~98年
針生承一建築研究所/上海集群建築設計有限公司
1998年
atelier FISH ARCHITECTURE共同設立

【経歴〔山下真未〕】

1973年
福島生まれ
1996年
宇都宮大学卒業
1996~98年
三本菅デザイン事務所/上海集群建築設計有限公司
1998年
atelier FISH ARCHITECTURE共同設立


相談に来られる方のほとんどが、敷地やテナントが決まっていません。

基本的に人が使うものであればどんなものでも設計、デザインをしますし、またできると考えています。それは我々の設計デザイン手法というものが、我々が持ち合わせている何かの形に当てはめようというのではなく、まずは相手の懐に入り徹底したヒアリングから問題点をアイディアで解決するというものだからです。 過去に、動物園の設計(その時は、カバ舎)を手掛けた時は、さすがにカバの生体については知識が無かったので動物園の園長さんからアドバイスをいただきましたが、その動物をどう見せるかについては十分設計する事は可能でした。


我々の事務所に相談に来られる方のほとんどが、敷地やテナントが決まっていません。
例えば、建物を新築する場合、約90%の方が敷地が決まっていない段階で相談に来ています。そして残り約9%は、建て替えの人です。すなわち敷地を決めてから相談に来た方は、わずか約1%です。 敷地条件は、建物を新築する上で非常に重要な要素の1つです。三角形の土地や傾斜地であってもアイディア次第で建築設計の可能性は拡がります。建物を改装する場合も、デザインの伸び代が建物によって大きく変わるため、新築以上に建物を決める前に相談することが重要です。
敷地が決まっていないのに家を建てる相談に来られた方とは、具体的なことは何も話さず(敷地が決まっていないので話せない)漠然とした事ばかり(食事の事、音楽に関する事、旅に関する事、映画の事、睡眠の事など様々)時には美味しい食事とお酒も交えながら話していきます。なかなか敷地が決まらず最初に相談に来られてから6年後に完成した方もいらっしゃいます。また、2週間ほどの海外旅行で「時間」や「価値観」を共有した方もいらっしゃいます。

家を設計するという事は、そこに住む方の生活を知るという事です。クライアントが発する全ての言葉や行動の行間を読みとるという事です。その読み取った事を深く考え、提案するものは決して奇抜なものでは無く、これまで使ってきた家具や道具を置いても許容できる空間であり、クライアントが生活に自然と馴染んでいけるものです。
得意分野は、「こういった事が活かされる場面がある事」かもしれません。


我々の事務所では、年に数回クライアントみんなが集まっての食事会を開催しています。

家は、設計をしている時間よりも出来上がって、その家に暮らしていく時間の方が断然長いです。家族構成や環境が新築時とは変化していくものですし、住んでいると家が傷んだり壊れる事もあります。そういった状況の変化に対して常に相談出来て、メンテナンス等のアドバイスを受け続ける事が大切です。ある意味、その家がある限り施主と設計士と施工者との関係は続いていく事が自然だと考えています。
勿論、設計士を選ぶ上で価値観やセンスが共有できる事は大切です。しかしそれだけではなく、長く付き合っていくという意味では「この人と親友になれるか」という観点をプラスして判断するのもいいかもしれません。我々の事務所では依頼者を、過去に設計を終えた家に案内しています。実際の住まい方を見ていただき、住んでいる方からも色々な事を直接お話いただきます。その数珠繋ぎのような関係から多くのクライアント同士が知り合いになり、年に数回みんな集まっての食事会を開催しています。


設計業務の完了は来店するお客様の満足と店舗オーナーの満足(利益)を得るところまでです。

新しくお店をオープンするケースで、例えば飲食店の場合、厨房の生産部門と接客部門とに大きくわかれることになります。 お店のオーナーがもしシェフであるならば生産部門に関してはどうすれば良いかはよく分かっていると思います。しかし、お店をオープンさせようと思うと店の内装から設え、最終的にお金を支払うトレイまで決定しなければなりません。お客様は、来店し、退店するまで全てがそのお店の評価基準となっています。
我々の事務所では、役割分担(オーナーと設計士)し、それぞれが得意な分野で最終的にお客様が満足するサービスができる体制を考えていきます。どんなに美味しいお料理で満足していても最終的に支払う段階で出て来るのが100均のトレイでは興ざめしてしまいます。
例えば飲食店の場合、味にまつわる部分とそうでない部分に分け、味にまつわる部分はオーナーが考える。それ以外の部分(お店の内装、ロゴマーク、hp、ユニフォームから店内に置く備品まで)に関しては全て我々の事務所で考えるという役割分担をしています。
また店舗の場合は、我々の設計業務の完了は来店するお客様の満足と店舗オーナーの満足(利益)を得るところまでです。


彩をこれまでの生活に添えるデザインを提案していきます。

我々が設計を行う上で一番興味があるのが、「デザインが引き起こす力、動機付け」です。
これまでマンションで暮らしていた夫婦から「今日は天気が良いから、一緒に食事をしませんか?」と新しく建てた自宅のテラスに招かれた事があります。当初その夫婦からは、大きなテラスを作るなら部屋にして欲しいと希望があったのですが、実現してみるとそのテラスがこれまで気づかなかったこと例えば、鳥のさえずりや虫の声や雨の音を聞き分けたりするようになり、そして風が心地良いからテラスで食事をしようか、といった新たな動機付けが生まれる事につながりました。
それは、四季のある日本に住んでいるからこそできる「変化を楽しむ」という事だと思います。それが大切な建てた家に、永く住み続けられる秘訣なのかもしれません。
我々は、そういったちょっとした彩をこれまでの生活に添えるデザインを提案したいと考えています。



施工事例




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建築家インタビュー
2007年秋にスタートした、取材させて頂いている建築家へのインタビュー記事です。住宅、集合住宅、商業施設、公共施設など建築家の体験談をお楽しみください。