建材情報まとめサイトすまいリング
掲載:2021年03月19日 更新:2022年07月19日

環境のため、ストック住宅を活かす建材を探してみよう

建築と環境は切っても切れない関係にあります。
建築に関して環境という言葉が用いられる場面は、主に

・住み心地という意味での「住環境」
・建築が影響を与え、また影響を受ける「自然環境」

の2種類が挙げられますが、これらは相互に深く関わり合っている要素でもあります。
つまり、環境が温暖化のような良くない方向へ変化し続ければ、それだけ各住宅の住み心地も悪くなり、最悪のケースでは健康に悪影響が出始めることも考えられるでしょう。

この記事では、

・建築分野で環境に目を向けるべき理由
・今後の建築に求められる「ストック型」とは何か
・環境に配慮した建築のためにできること

についてご紹介します。

建築分野で、環境問題に特に注意を向けるべき理由


建築関連分野でもテクノロジーは常に進化しており、特に「省エネ」や「環境に優しい」というコンセプトのもとに多くの住宅商品・建材が開発されています。
そのような新しいテクノロジーは歓迎ですが、日本の環境問題を総合的に見ると、まだまだ建築分野でも取り組むべき課題が残されていることがわかります。

建築分野は特にCO2排出量の割合が高い

国際社会は低炭素社会を目指して様々な取り組みを行っており、日本でも2050年までに温室効果ガスを1990年に比べて70%削減することを目指しています。 ここ数年の温室効果ガスの発生状況を調べてみると、建築分野のCO2排出量の割合は全体に比べて高く、約30%前後で推移しています。

建築分野では、

・建物を建てる…木材・建材を製造し運搬する
・建物を使用する…居住して冷暖房や電気を使用する
・建物を解体する…廃棄し、焼却する、埋め立てる


という建物のライフサイクルの全てにおいてエネルギーを大きく消費し、温室効果ガスが発生します。 こういった問題に効果的に取り組むには、建築のライフサイクル自体にも目を向けることが必要です。

建築ライフサイクルは「フロー型」から「ストック型」への転換が理想的


国土交通省の発表によると、日本では過去に建設され今も存在している住宅が約6,200万戸あり、このような物件のことを「住宅ストック」と言います。 この住宅ストック数は現在、日本の総世帯数約5,400万世帯に対して約16%多く、数字の上ではすでに住宅は社会に十分足りている状態です。

それでも、日本では毎年900万戸以上の新築住宅が建設されており、このように次々と新しく作っていく建築の流れを「フロー型」、先述した住宅ストックの活用に重点を置くことを「ストック型」といいます。

欧米と比較した際の日本の建築ライフサイクル

フロー型に近い言葉に「スクラップアンドビルド(建てて壊してを繰り返す)」というものがありますが、これは日本の建築ライフサイクルを特徴付ける一つの要素ともなっています。

日本の木造住宅の平均寿命(竣工から解体までの期間の平均)は約30年と言われていますが、住宅の平均寿命がアメリカでは55年、イギリスでは75年ほどであることと比較してみても、日本の住宅の平均寿命はかなり短いことがわかるでしょう。
これは、日本の住宅のクオリティーが低く欧米に比べて半分ほどの期間で住めなくなっている、という意味ではありません。 簡単にいうと、日本ではまだまだ住まいとして活用できる建物を解体し、新築を多く建設しているのです。

さらに、税法では住宅に関して、

・木造住宅:22年
・鉄筋コンクリート住宅:47年

という「法定耐用年数」が設定されていますが、これもあくまで減価償却費を計算する上での基準であり、住宅の価値がなくなる=住めなくなる時期、とするものではありません。
しかし、このような情報をもとに、日本ではまだまだ活用できる築25〜30年程度の物件が、中古住宅としては市場価値のないものとされ、解体されているのが現状です。


環境目線で見る「ストック型」のメリット

建築のライフサイクルを「ストック型」とすることには、環境にとって大きなメリットがあります。 つまり築年数がそれなりに経過している中古物件であっても、リノベーション・リフォームによってさらに長く快適に住めるものとするなら、家屋の解体・新築の件数は減り、それらの工程で排出されていた温室効果ガスも大きく削減することが期待できるでしょう。

中古物件のリノベーション・リフォームを行う際のポイントは、ただの修繕・現場復帰にとどまらず、環境に配慮した新しい価値を生み出せるものとすることにあります。

「ストック型」で建築を考える時の注意点

現在の住宅ストックのうち、築30年以上の物件は1000万件を超えるとされています。 もちろん築30年を超えていても状態が良ければ活用が十分可能な資産ですが、現行の建築基準法の耐震強度・対価基準などを満たしていなかったり、アスベストのような有害な建材が残っていたりする可能性もあります。

住宅ストックの活用に際しては、どのような工事が必要になるか、大規模な工事が必要ならそうするだけの価値のある物件か、などを注意深く調査しておく必要があります。


環境に優しい建築のためにできること


環境に配慮した省エネルギー住宅は、温室効果ガスを排出せず環境に良いというだけでなく、住み心地の良さも実現します。 環境のために住宅ストックを活用する際には、下記のようなリノベーション・リフォームを検討できるでしょう。

断熱・遮熱性能の向上

古い住宅では、気密性が低く暖房や冷房が効きにくい物件が多くみられます。 壁・床を剥がす大規模な工事になりますが、断熱材のリフォームを行えば、住み心地は飛躍的に良くなり、冷暖房が必要な時期にも大きな省エネになります。

代表的な断熱材はグラスウールですが、プレイリーホームズ株式会社の「アストロシリーズ」のようにアルミ製の断熱・遮熱シートや、株式会社アップルゲートジャパンの「アップルゲートセルロース断熱」のように、新聞紙をリサイクルしたセルロースファイバー製の吹き付け式の断熱材などもあります。

高機能な屋根・外壁塗装

屋根・外壁塗装リフォームを行うだけでも、建物の外観は見違えるようにきれいになります。 断熱・遮熱性能を持つ塗料で屋根・外壁塗装を行えば、省エネ性能を向上させることができます。

例えば、SG化学株式会社の「ルミナスター」は、塗膜自体の耐久性の高さと、遮熱・断熱性能で暖房エネルギーは20〜40%、クーラーの消費電力は30〜40%の削減が期待できます。
SG化学
関連ページ:【オーナー・設計へおススメ】断熱遮熱塗料「ルミナスター」

菊水化学工業株式会社の「ガイナ」は特殊セラミックで作られた塗料で、高い遮音性能に加えて外部の騒音や振動の侵入を制限する機能も持っています。

照明器具の見直し

LEDは、消費電力が蛍光灯の約3/1、白熱電球の約5/1で、寿命は蛍光灯の約5〜10倍、白熱電球の約30〜50倍程度の長寿命という優秀な省エネ性能を誇ります。 デザイン性も高くバリエーションも豊富なため、リノベーションやリフォームには非常に適した照明器具です。

長年慣れ親しんだ蛍光灯に愛着を感じるという人には、外観が蛍光灯とほとんど変わらない、株式会社ナニワの「直管形LED」や「一体型LEDベースライトシリーズ」という選択肢もあります。

まとめ

今後より一層求められる環境配慮型の建築は、必ずしも新築である必要はありません。 「住宅ストック」という貴重な資産を有効に活用しつつ、エネルギーを無駄に消費せず長く住める住宅が増えるなら、日本の建築はもっと環境に優しいものになっていくでしょう。


著者(澤田 秀幸)プロフィール

CAD利用技術者1級、CADアドミニストレーター
住宅メーカの下請けとして木造大工作業を担当。
注文家具の製造と設置。製図補助を担当。
国内最大手インテリアメーカーの店舗で接客・販売を担当。







COLUMN
建材コラム
建材のことをわかりやすく紹介するコラム記事です。 建材に関するあらゆることから、身の回りの疑問に感じた住まいに関する記事まで取り揃えています。
澤田 秀幸の人気記事
ウッドデッキはDIY可能だからオシャレに自作!必要な材料、道具、作り方
万能なフロア材、「突き板フローリング」とは?メリットとデメリットをご紹介
ウッドデッキ用の人工木の違いは?人工木のメリットとデメリット
よく読まれている記事
先週 先月
2022年は建築費用が高騰!住宅購入は見送るべき?
グラスウールはどんな断熱材?ロックウールとの違いやメリット、デメリット
住宅価格が高騰中!値上がりはいつまで続く?
外壁塗装の耐用年数は20年が限界!寿命を延ばすポイントを解説
外壁を塗り壁にする特徴や費用を解説!土壁や漆喰・ジョリパットの違いは?
2022年は建築費用が高騰!住宅購入は見送るべき?
住宅価格が高騰中!値上がりはいつまで続く?
グラスウールはどんな断熱材?ロックウールとの違いやメリット、デメリット
外壁塗装の耐用年数は20年が限界!寿命を延ばすポイントを解説
外壁を塗り壁にする特徴や費用を解説!土壁や漆喰・ジョリパットの違いは?