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掲載:2021年03月18日 更新:2022年07月19日

災害や防犯だけじゃない!感染症対策は建築になくてはならないものになる

新型ウイルスのパンデミックを機に、私たちの生活の様々な場面で「ニューノーマル」と呼ばれるものが登場するようになりました。
建築・住まいの分野でも、災害対策や防犯対策に加えて、感染対策を十分にとられていることが「安心・安全」のニューノーマルになってゆくかもしれません。

この記事では、

・新型コロナウイルスの収束後も引き続き感染症に注意すべきなのはなぜか
・感染症の広がりを効果的に防ぐための原則
・感染症対策の具体的なアイデア

についてご紹介します。

2020年時点での感染症の今までとこれから


2020年、世界中どんな国や地域においても、人々の生活は新型コロナウイルスによる感染症によって非常に大きな影響を受けました。
しかし、過去20年を振り返ってみると、人類は新型コロナウイルスだけでなく少なくとも5つの感染症の脅威にさらされました。(重症急性呼吸器症候群(SARS)、中東呼吸器症候群(MERS)、エボラ出血熱、鳥インフルエンザ、豚インフルエンザ)

2020年のパンデミックという変災は、非常に確率の低い出来事が偶然に生じたというものではなく、常に起こってきたがなんとか避けてきたパンデミックの脅威を、今回に限っては避けられずに感染拡大したもの、とも考えられます。

コロナ禍の収束後も引き続きパンデミックに注意した方が良い理由

感染症を研究する専門家の中には「人類にとって新しい病気は毎年3〜4回発生している」と指摘する人もいます。
地球的な気候変動や人々の生活スタイルの変化といった条件も併せてこの点を考えれば、人類は今後も定期的に世界的なパンデミックの脅威にさらされる可能性は十分にあります。 2020年のコロナ禍が今後スムーズに解決へ向かうとしても、私たちは常に新しい感染症のリスクを頭に入れ、生活していくことが求められると考えられます。

とはいえ、今後も起こりうる新型の感染症を過度に恐れず、適切にリスクマネジメントするために、建築の分野でもできることは多くあります。

「感染経路を断つ」ことが、重要な対策になる

新型コロナウイルスに限らずどんな感染症も、感染拡大を防ぐためには感染経路を理解して効果的な対策を講じることが最大の原則です。

感染症の3大感染経路と、それらを効果的に断つ方法

感染症は基本的に、

・直接的・間接的な接触による感染
・飛沫による感染
・空気感染

という主な感染経路を介して拡大します。
感染拡大を防ぐためには、

・マスクの着用や手指の消毒などを徹底する
・密集などを避け、ソーシャルディスタンスを確保する

などの基本的な対策が、感染予防に効果があると期待できます。


感染症対策のための具体的なアイデア

上記の基本的な対策に加えて、下記のような工夫によっても、感染症拡大を抑止することが期待できます。

対策1:建物内での人の動きをコントロールする

建築内のちょっとした工夫によって、人と人との不必要な接触を最小限に抑えることができれば、それだけ感染リスクも低減させることが可能です。
人が集まるオフィスなどでは、下記のような工夫ができるか検討してみましょう。

十分なソーシャルディスタンスを保つ

理想的なソーシャルディスタンスは1.8mとされています。 仮に全方向に1.8mの間隔を開ける場合、一人当たりに必要となるスペースは約10㎡です。

オフィスで分散出勤を計画する場合、出社人数を何人とするはこの「一人当たり10㎡」を一つの基準とすることができるかもしれません。 また、移動可能なパーティションで無駄に区切られたデッドスペースがオフィス内にあれば、それらの空間を有効利用できないか検討してみると良いでしょう。

計画的な動線を設ける

人の動きにルールを作ることも有効かもしれません。
特に、移動する際にすれ違いを避けることは有効とされています。
オフィスで複数の出入口を利用できる場合は出口・入り口を別にすることや、オフィス内の通路も可能な場合は一方通行にするなどのルールを作れば、感染リスクを下げられることが期待できます。

ルールを設定する際にはサインを活用し、出口・入り口がどこか、どの方向へ一方通行なのかなどが、誰が見ても明確な仕組みとすることが大切です。

すでに感染している恐れがある人を見分ける

短時間で多くの人を検温チェックできるように、オフィス・ショップやイベント会場などでは、スタンドアローン型の体表温探知機を導入しています。
これはサーマルカメラによる検温システムで、撮影する画像から 利用者がマスクを着用しているかどうかを識別できるものもあります。

ニッシントーア・岩尾株式会社の体表温検知器にはセンサー式の消毒液の噴霧機能やサイネージも搭載されており、出入口に検温専用の人員を割かなくても効率的に利用者の健康状態をチェックし、衛生面の安全性を高めることができます。

対策2:接触による感染拡大への対策

共用部分で多くの人が触れる場所を介して感染が広がることも考えられるため、感染症対策としてドアノブや水栓の蛇口などを非接触型にすることも有効です。
センサー(ビームスイッチ)式の非接触型スイッチを導入すれば、ドアノブに手を触れなくても開閉できるようになります。 非接触型スイッチには手をかざして作動するものや、自動車のスライドドアのように足で作動させるものなどがあります。

株式会社ホトロンの「自動ドアセンサー 薄形フットスイッチ」や「手かざしセンサー」などであれば、どこにも触れずにドアの開閉をコントロールすることが可能になります。

対策3:飛沫による感染拡大への対策

飛沫は感染者のくしゃみや咳などによって発生しますが、WHOは5分間の会話でも1回の咳と同量の飛沫が飛ばされているという報告しています。
接客カウンターやレジなど、人が対面する場面ではクリア素材のパーティションが普及していますが、対面となっていることが多いオフィスのデスク周りにも飛沫防止のためにパーティションがあると良いかもしれません。

株式会社力和の「飛沫ガード デスク用吸音パーティション」のようなものをデスクに設置しておけば、安心して作業に集中できるでしょう。

直径5μm以下の「飛沫核」にも気を付ける

飛沫は水分を失うと、より小さい「飛沫核」と呼ばれる状態になります。 飛沫核のサイズは直径5μm未満と飛沫に比べて小さく、水分が乾いて非常に軽いため、通常の飛沫のようにすぐに落下せずに空気中を長期間漂い続け、発生場所から遠くまで運ばれることもあります。

飛沫核は換気の悪い場所では数時間にわたって滞空し続けるため、 厚生労働省の発表によると、オフィスや商業施設などでは30㎥/hの換気量が理想的としています。
一般的な家庭用エアコンでは空気を循環させているだけで換気は行われていないという点を覚えておきましょう。
換気が難しい場所であれば、フィルタ式の空気清浄機でもある程度の効果が期待できますが、除菌システムを搭載した空気清浄機があればより理想的です。

株式会社テクニコの「C-Burst(シーバースト)」は1秒間に6リットル分の空気を取り込み、紫外線ランプ(殺菌灯)で空気を除菌するシステムで、食品メーカーや医療機関などで採用されています。

まとめ

感染症が起こらない社会を作ることはできませんが、感染症に大して十分な準備のできた社会を作ることであれば可能かもしれず、そのような感染症対策は今後、建築・住環境に求められる新しいスタンダードになっていくかもしれません。

人々が暮らしの中で過度な不安や恐れを抱かなくても良いよう、ここで紹介したようなアイデアを試してみるのはいかがでしょうか。


著者(澤田 秀幸)プロフィール

CAD利用技術者1級、CADアドミニストレーター
住宅メーカの下請けとして木造大工作業を担当。
注文家具の製造と設置。製図補助を担当。
国内最大手インテリアメーカーの店舗で接客・販売を担当。







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