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掲載:2023年10月03日 更新:2023年10月03日

これからの生活様式にあった住まいへ

これからの生活仕様に合った住まいへ

働き方改革や感染症の流行をきっかけに、自宅でリモートワークをする人が増え、家の中に仕事をする空間が必要な時代になってきました。
また同時に、衛生面から、「手洗いスペース」の重要性が大きくなっています。

感染症の観点以外からも、平均寿命が延びたということからも、さまざまなサポートを受けながら自宅で過ごす時間も増えていきました。 健康的に長生きできる時代だからこそ、住宅性能を高め、耐熱性の高い、環境にも配慮した省エネルギー住宅が求められています。 変化に伴って生きるために、「新しいスタンダード」が必要不可欠です。

しかし現実にはそれらの変化に追いついていけず、快適ではない家で我慢を強いられながら暮らしている人がいることも事実です。
ひとりでも多くの方が、「この家が快適だ、この家が自分の居場所だ」と家本来の目的を達成できるよう、この記事でお手伝いできたらと思います。


1.自分だけの居場所をつくる


自分だけの居場所をつくる

ちょっと疲れた時にひとりになれる場所、くつろげる場所、たとえ小さくてもそんな「自分だけの場所」があれば、家は居心地のいい空間になります。

ひとりのスペースは、仕事をするだけの場所とは限りません。
手紙を書いたり、パソコンを使用したり、そういった事務的な日常の作業でも意外と道具が必要です。毎回リビングのテーブルにそれらを運び出すことは、労力が積み重なっていきます。
それだけでなく、リビングに人が集まると、なかなか作業に集中することができないと思います。

現実的に個室をつくる余裕はないと思われている方も多いかと思います。
しかし実際には、半畳もあれば個室はつくれます。 個室は夫婦それぞれにあると理想的です。


パブリック・スペースに書斎コーナーを設ける


パブリック・スペースに書斎コーナーを設ける

「自分だけの書斎」というのは、以前は仕事をリタイアしたシニア世代のためのものでした。
しかし家の中で仕事をするリモートワークが増えた現代では、どんな世代でも家に書斎スペースが必要になってきました。

これらはどこに設けるかが重要になってきます。 集中して使いたいのか、隙間時間に使いたいのかなど、目的によって適した場所が変わっていきます。 しっかりと分けられているよりも、家事の合間にしたい、家族が見える場所がいいという方もいます。
そういった方の書斎スペースは、リビングやダイニングなどのパブリック・スペースの一角がいちばん適していると思います。

スペースに余裕がある場合は、そこに本棚も据えて、大きめの書斎スペースをつくることもお勧めします。 また、スペースが見つからない場合には、階段下や踊り場などのデッド・スペースを活用するという手もあります。


使っていない個室を書斎に活用する


使っていない個室を書斎に活用する

子どもが独立したり、老親を見送ったりなど、事情があり部屋が空いている家もあるのではないでしょうか。 こういった部屋を物置にされてる方も多いですが、ここを自分だけの書斎やアトリエにされてはいかがでしょうか。 ベッドやクローゼットも必要がないので、広々と自由に使えます。

広い個室を書斎に使う場合は、デスクを壁に向かわせるのではなく、窓の外が見えるように置いたり、広いデスクを思いきって部屋の真ん中に置くことで、目の前が開け、開放的に使うことができます。
このように広い部屋であれば、天井から床までの壁一面に、本のサイズに合わせた奥行きの本棚を設置すれば、相当数の本が入ります。

居室を確保することが難しい場合は、寝室に書斎スペースをつくることも視野に入れます。 寝室は基本的には日中使わない場所なので、落ち着いて仕事や読書をすることができます。

35~40cmの奥行きさえあれば、高さ70cmのカウンターを設け、下をオープンにして椅子を入れれば小さな書斎スペースをつくることができます。

このように書斎スペースというと敷居が高い印象があるかもしれませんが、小さなスペースさえあれば思ったより簡単につくることができます。


洗面・手洗いコーナーを増やす


洗面・手洗いコーナーを増やす

新しい生活様式では、洗面の重要性がより高まってきました。 ホテルのように洗面所や浴室を寝室に近づける間取りがベストですが、実際には戸建住宅だと洗面所が1階、寝室が2階ということも多いです。


こういう場合、2階の廊下の一角にも洗面コーナーを設けることで、身支度のための動線をかなり短くすることができます。 これらは本当に小さなスペースで大丈夫です。

朝の洗面や就寝前の歯磨きをするために階段の昇り降りをしなくて済むようになることは、予想以上に便利なものです。


来客用のトイレに手洗い場を設置する


来客用のトイレに手洗い場を設置する

家族が多い場合はもちろんですが、家族が少なくてもスペースさえあれば家には2つのトイレを設置することをお勧めします。
ひとつめのトイレは寝室から近い場所に、そしてもうひとつのトイレは来客用も兼ねて玄関の近くに配置します。

しかしマンションなどでは、トイレを2つ設けることが難しいことがほとんどです。
そんな場合でも、今あるトイレを「パウダールーム」にすることで、さまざまなストレスから解放されます。
※パウダールームとは、トイレに手洗いカウンターと鏡が付いていて、手を洗うだけでなく化粧直しなどもできる場所のことです。

家族の洗面所はたいていの場合、脱衣所や洗面所を兼ねていますし、家族のプライベートなものが多く管理されています。 なにより、いつもお客様に見られてもいい状況にしておくことが難しいほど、家庭的な部分が最も出てくる場所ではないでしょうか。
こんなときにパウダールームがあると、お客様から「手を洗わせてください」と言われたときに、あまり見せたくない洗面所を見せることなく、パウダールームに案内することができます。

パウダールームをつくる場合、手洗いカウンターの奥行きは、できれば40cmほどとれると良いですが、開口の幅が75cm程度しかないトイレもよく見かけます。 その場合、奥行きの浅いスクエア型のボウルなどをとりつけることをお勧めします。
これならばパウダールーム全体の面積も減らすことができます。


※スクエア型以外にも、上記のようにころんと小ぶりなボウルもあります。

動きにくくならないように、カウンターの下をできるだけすっきりオープンにしておきます。
収納が足りない場合は、吊戸棚を設けるといいでしょう。

玄関の手洗いスペースはさりげなく


感染症の対策として、玄関にも手洗いスペースをつくりたいという人は増えています。
手を洗ってからリビングなどに行けることは、家族への感染リスクも下がるため、安心も大きいです。

手洗いスペースは、幅60cmもあれば使いやすいと思います。

しかし玄関のドアを開けて、すぐ手洗いスペースが目に入るという状況は避けたいため、玄関の収納スペースの陰など、死角になる位置に設置します。 それが難しい場合は、ルーバーなどの目隠しの壁を立てて、直接見えないようにします。

まとめ


まとめ

新型コロナウィルス感染症がきっかけで、「家に落ち着ける場所がない」「家にいるとストレスがたまる」という声が多くなり、家にいることが長くなったことで、「家に問題がある」ということが、多くの人の実感によりはっきりとしました。

これまでの日本は、個人のプライバシーよりも家族と一緒に過ごす時間を優先してきたように思います。 しかし感染症によってその価値観は大きく変わっていきました。

この記事を通して、少しでも快適に家で過ごせる方が増えればうれしいです。




著者(SaKI)プロフィール

<経歴>
建設会社にて2×4工法、RC造の建築物の設計・積算を担当。
故郷である熊本が地震で被災した際に知った、建築家の坂茂さんの紙のログハウスに感銘を受け、命を守る建築の魅力に気づく。

技術職とは別に、ジュエリーブランド「casa」を立ち上げ、ジュエリーデザイナーとしても活動中。
インテリア界のパリコレと言われる審査の大変厳しい Maison & Objet への出展許可をいただきました。
建築の知的な造形美をジュエリーに取り込んだ作品を生み出しています。

<保有資格>
・建築積算士
・二級建築士







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