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掲載:2023年10月12日 更新:2023年10月12日

メリットだらけ!開口の少ない四角い家の魅力をご紹介

開口の少ない四角い家

ある人が住宅展示場に行きました。
「坪40万円から」という魅力的なキャッチコピーに惹かれ中に入ってみると、営業マンから「うちなら40万でできますよ、少しお話してもいいですか?」と言われたので、わくわくしながら中に入ってみます。

しかし話をしていくうちにどんどん予算は膨れ上がり、気が付いたら60万円になっていた、営業マンは「そんなもんですよ」と言い、「そんなもんか」と納得する。しかし本当にそんなものでしょうか。

住まいには新築マンション、中古マンション、中古住宅、注文住宅がありますが、注文住宅以外は商品住宅です。 商品住宅はオーダーではありませんが、そのぶんコストが安いという利点があります。
しかし現在の商品住宅の実情をみてみると、部材のグレードが低かったり、デザインが美しくなかったりと満足できるものが少ないという点もあります。 注文住宅にして好きなものをオーダーしてコストがかかることも気にならない方ならいいのですが、予算がある人もない人も満足できる商品住宅をつくる際に、価格が安くてグレードの高い誰もが納得のいく設計が、開口の少ない四角い家です。

また、単に開口が少ない設計にするのではなく、本来開口があるところには小さな開口を設け、あまりつくられないところに開口をつくるなどして、窮屈感のない家づくりを私なりにまとめました。

1.固定資産税が安い

固定資産税が安い

まず、当たり前ですが土地が広いと固定資産税も高くなります。固定資産税は土地と建物の両方にかかり、税金の額は固定資産税評価額で決められます。
この点、四角い家だと土地は最小限でいいので、坪数自体が最小限で済みます。つまり、土地の固定資産税が安くて済むということです。建物は年々古くなっていきますので、その価値も下がっていきますが土地の固定資産税は下がることはありません。

そういうことを考えると、土地自体は安いに越したことはありません。

2.家の形は正方形が最も効率的

家の形は正方形が最も効率的

建材をどう使ったらより安くできるかを考えた時、真四角の家「四間真四角」だと思います。四間とは、一間(約1820mm)の4倍です。一間で四角をつくると畳2帖分の大きさになります。
この一間というサイズは、日本で家づくりに使われている基本的なサイズで、市場にいちばん出回っている材木の寸法でもあります。

トラックに乗る材木のいちばん長いサイズは二間(約3640mm)で、これより長いとトラックに乗りません。二間というのは、とても経済的なサイズです。

通常の家づくりでは、設計のサイズにあわない場合材木をカットすることもよくあることです。カットした部分は捨ててしまいますが、カッティング費用がかかってしまいます。わざわざお金をかけて捨てなくてはならないのです。

また、日本の住宅は1階よりも2階のほうが面積が狭いことがほとんどですが、そうすると同じ100㎡でも敷地面積や屋根面積が広くなり、基礎工事や屋根にかかる費用が余計にかかることになります。

3.大きな窓を造るかわりにスリットを

家を建てる時にできるだけ「光を多く採り入れて、眺望も楽しみたい」というのは、だれしも思うことだと思います。 しかし南向きで見晴らしのいい土地を探すことがとても困難です。あったとしても価格が高くなったり、利便性がよくなかったりします。

そんなとき、天窓が活かされます。

天窓であれば、東西南北関係なく光を採り入れることができます。

また、窓からの眺めがいいということは逆に道路や隣の家から部屋の中が見えるということでもあります。窓から泥棒が入ってくるのではないかという防犯上の不安もあります。
だからといって窓を閉め切り、カーテンを引いてしまっていては採光も眺望もありません。

その大きな窓のかわりに、スリットをお勧めします。
スリットであれば人が入ることのできるサイズでもないため防犯上も安心です。大きな窓があるとエアコンの効きも悪くなりますが、窓が少ないことで断熱効果もあがります。大きな窓がある家よりも小さな窓で最小限にしたほうが理にかなっていることも多いです。

また、スリット窓だけでは暗くならないか心配になる方も多いかと思うのですが、基本的に光は天窓から採ることで明るい室内が保てます。

4.光熱費が安い

光熱費が安い

断熱効果を高めることによって、光熱費は安くなります。窓が大きくなってしまうと夏場は部屋が涼しくなりにくく、冬場は暖めた空気が逃げやすくなります。
夏場に部屋を閉め切っておくとエアコンをつけたままにしなくてはいけなくなりますが、壁面に設置された窓がスリットであれば人が侵入する心配がないので、安心して開けておくことができます。

天井部にファンを備えることで、冬は暖かい空気を、夏は涼しい空気を循環させてくれます。
四角い設計の家であれば、無駄な開口やデザインが少ないため、シンプルなファンを設置することができます。

5.スリット窓であればカーテンが不要

大きな窓のある住宅では、光や熱を遮ったり、外から窓の中が見えないようにするために、カーテンやブラインドを設置する必要があります。 カーテンやブラインドの価格は、1坪あたり1万円というのが、目安とされています。
つまり、30坪の家であると30万円ほどかかってしまうことになります。

窓がスリットであると、そもそもカーテンをつける必要性がありません。
もしも日焼けなどを気にされる場合は、ガラスに紫外線をカットする特殊加工を施すという選択肢もあり、外から反射して中が見えにくくなるという加工もできます。「覗かれてしまうのがどうしても心配」という方はフィルムを貼るという手もあります。

また、カーテンやブラインドをつけないことで、デザイン的に統一されたシンプルな美しい家ができます。
大きな窓のある家になってくると、リビング・寝室・子ども部屋と、それぞれが違うデザインのカーテンを設置することになります。 外から眺めたとき、すっきりと統一感のある見た目は需要があるのではないでしょうか。

まとめ

お洒落な家に住んでみたい方(外見重視派)、デザインで楽しみたい方は四角い家に向いていると思います。 また、建築コストをおさえられることからセカンドハウスとしても人気です。

また、四角い家はシンプルな構造から、安定性に長け、耐震性に優れているものが多いです。柱や梁によるつなぎ目も少ないため、気密性にも優れています。
私の提案した四角い家は、大きな窓も少ない分、耐震性において魅力的な面も多いかと思います。

しかし反対に軒がない分、壁面に雨が直撃して雨音がうるさく聞こえやすいというデメリットもあります。シンプルさが特徴の四角い家なだけに、雨が直接外壁にあたり、その音が通常よりも大きく聞こえてしまうためのようです。
この雨音に関する問題は、消音材などを用いて軽減させることもできます。

1つの建築会社だけに相談するのではなく、複数の会社を比較して、自分にとって最適な四角い家づくりを行っていただけたらと思います。





著者(SaKI)プロフィール

<経歴>
建設会社にて2×4工法、RC造の建築物の設計・積算を担当。
故郷である熊本が地震で被災した際に知った、建築家の坂茂さんの紙のログハウスに感銘を受け、命を守る建築の魅力に気づく。

技術職とは別に、ジュエリーブランド「casa」を立ち上げ、ジュエリーデザイナーとしても活動中。
インテリア界のパリコレと言われる審査の大変厳しい Maison & Objet への出展許可をいただきました。
建築の知的な造形美をジュエリーに取り込んだ作品を生み出しています。

<保有資格>
・建築積算士
・二級建築士







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