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掲載:2026年09月30日更新:2026年09月30日

地盤改良で「土地に何を残すか」天然砕石100%のHySPEED工法と、無排土の「ケーシングタイプ」(ハイスピードコーポレーション)

住宅の安全は地盤から——。とはいえ地盤改良は、完成すれば二度と見えなくなる工事です。だからこそ、支持力の数字だけでなく「何を地中に残すのか」まで含めて工法を選びたいところ。セメント系固化材や鋼管を使わず、天然砕石100%で地盤を強くするのが、ハイスピードコーポレーション株式会社(愛媛県松山市)の「HySPEED(ハイスピード)工法」です。

本記事では工法の基本的な考え方と、その施工をスピードアップし無排土施工を実現した「HySPEED工法 ケーシングタイプ」を紹介します。

HySPEED工法とは——砕石パイルと原地盤の「複合」で支える

2000年の住宅品質確保促進法の施行以降、戸建住宅でも地盤調査は事実上の標準となり、軟弱地盤と判定されれば何らかの地盤改良が求められます。問題は「どの工法で改良するか」です。

HySPEED工法は、セメント系固化材や鋼管に頼らず、天然砕石のみで軟弱地盤を強くする地盤改良工法です。地盤に砕石の柱「砕石パイル」をその地盤に合わせて1本ずつ築き、原地盤が持つ支持力と組み合わせて地盤全体を強くします。あらかじめ決まった既製の杭を打ち込む発想ではなく、改良前の地盤が持つ強さを設計に織り込み、面全体で建物を支えるのが特徴です。

標準的な施工の流れは、専用の「HySPEEDドリル」(直径400mm)で地盤を掘削し、粒径20〜40mmの天然砕石を投入。砕石厚30cm程度ごとにドリルの逆回転とハンマー転圧により、十分に締め固めながら地表まで砕石パイルを築いていきます。直径400mmの掘削孔に対して450mm分に相当する砕石を使い、掘削壁に食い込ませることで、パイル周辺の地盤の圧密も促す仕組みです。

2008年8月の普及開始以来、施工ネットワークは広がり続けています。鉛直支持力については一般財団法人日本建築総合試験所(GBRC)の建築技術性能証明(GBRC性能証明第09-20号)を2009年に取得し、その後もスペックアップや使用材料の追加に応じて改定を重ねてきました。
建築技術性能証明は、第三者機関が新しく開発された建築技術の性能を評価・証明する制度です。証明を受けた工法は確認申請時の技術的な説明が円滑になるため、設計実務でも扱いやすい選択肢といえます。適用範囲は地上3階以下・高さ13m以下・延べ面積1,500㎡以下(平屋に限り3,000㎡以下)の小規模建築物で、戸建住宅を中心に幅広く使われています。

セメント・鋼管を使わないことの価値


HySPEED工法の核心は「天然砕石しか使わない」というシンプルさにあります。ここから、従来工法との違いがいくつも生まれます。 1つめは土地の資産価値の保全です。
セメント系柱状改良や鋼管杭は、将来の建て替えや売却の際に地中残置物として扱われ、売買時の告知事項になったり、撤去費用の負担交渉が生じたりと、土地評価に影響することがあります。
ハイスピード工法は地盤改良工法で一番早くEPDを取得した工法で、廃棄の数値が0であることから第三者的に見ても撤去の必要がないことが証明されています。しかも、同程度の建物であれば建て替え時に砕石パイルを繰り返し使えるリユース性も備えています。
EPDとは、製品の原材料調達から製造、使用、廃棄に至るまでのライフサイクル全体の環境負荷を定量的に評価し、開示する国際的な「環境製品宣言」のことです。

2つめは土壌への配慮です。セメント系固化材では、土質条件によって六価クロムの溶出が懸念され、改良前に溶出試験が求められる場合があります。天然砕石のみを使うHySPEED工法なら、薬剤や固化材による土壌汚染の心配がなく、住まい手の健康リスクを抱え込みません。
 
 
3つめは液状化への備えです。近年は大規模地震のたびに宅地の液状化被害が注目され、施主の関心も高まっている論点です。砕石パイルの粒と粒の隙間が水の通り道となる「ドレーン効果(排水効果)」により、地震時の過剰間隙水圧の上昇を逃がし、液状化の発生を抑制します。
ただし、液状化対策として計画する場合は別途専用の設計が必要で、GBRC性能証明はあくまで鉛直支持力についての評価である点は、設計者として押さえておきたいところです。液状化の検討を含めた計画では、地盤調査の段階から早めにメーカーへ相談しておくとスムーズでしょう。

ケーシングタイプ——無排土で、さらに速く

建材ナビに掲載されている「HySPEED工法 ケーシングタイプ」は、こうしたHySPEED工法の利点——地震に強い・液状化に強い・産廃費用がかからない——を保ったまま、施工をスピードアップした地盤改良工法です。最大の特徴は、土砂を地上に排出せずに施工できる無排土施工であること。

仕組みはこうです。先端に、掘削と圧入を兼ねる「SVヘッド」を備えたケーシング(筒状の鋼管)を使用。土砂を外へ出さないまま、周辺の地盤を締め固めつつ掘り進め、ヘッド先端から送り出した砕石を締め固めて砕石柱状体を築きます。
掘削残土が発生しないため、残土処分の費用と手間を抑えられ、現場も汚れにくい。専用の施工機を使えば狭小地でも施工できるため、重機の搬入経路が限られる敷地や、都市部の住宅密集地でも採用しやすい工法です。
地盤改良で「土地に何を残すか」天然砕石100%のHySPEED工法と、無排土の「ケーシングタイプ」(ハイスピードコーポレーション)
品質面の肝は「集中圧密」です。多角方向に圧力をかけながら回転穿孔するヘッド先端の形状により、地盤を大きく乱さずに孔壁を形成できるのが特徴で、砕石を圧入する際の再圧密と合わせて、締まった強い地盤をつくり上げます。

なお、HySPEED工法には「オーガタイプ」と「ケーシングタイプ(HySPEED(350)工法)」の2タイプがあり、ケーシングタイプは鉛直支持力について建築技術性能証明(GBRC性能証明第17-30号)を取得しています。十分に締め固めた砕石パイルは周辺の地盤に食い込み、ケーシングの直径よりひと回り太く仕上がります。

砕石量センサーで、地中の品質を「見える化」

地盤改良で「土地に何を残すか」天然砕石100%のHySPEED工法と、無排土の「ケーシングタイプ」(ハイスピードコーポレーション)
地盤改良は地中の工事だけに、「本当に設計どおり施工されたのか」が見えにくいのが施主にとっての不安要素です。
ケーシングタイプの施工では、砕石量に応じて点灯するランプや管理装置を確認しながら施工を進めます。さらにHySPEED(350)工法は各層ごとの管理に対応しており、出力したデータのグラフから、深さ方向にどれだけ砕石が充填されたかを断面で確かめられます。
施工品質が数値と記録で残ることは、施主への説明材料としても心強いポイントです。

まとめ:見えない部分こそ、説明できる工法を

地盤改良は、施主にとって最も分かりにくい費目のひとつです。「なぜこの工法を選ぶのか」を、支持力だけでなく、土地に何を残すか、将来の撤去費用、環境負荷まで含めて説明できることは、設計者・工務店への信頼に直結します。
もちろん工法の採否は、地盤調査の結果と建物条件に基づく個別の判断です。そのうえで、天然砕石100%というシンプルな思想と、無排土・狭小地対応という施工性。その両方を備えたHySPEED工法 ケーシングタイプは、初期費用だけでなく将来の撤去リスクまで含めたトータルコストで比較するなら、地盤改良の検討時にぜひ選択肢に加えたい工法です。
詳細な仕様や適用可否は、建材ナビの製品ページから資料請求・問い合わせができます。




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