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建築家インタビュー
  • 掲載:2019年04月06日 更新:2024年12月06日

自分とは異なる価値観から新しい発見ができた時、何とも言えない幸福感を味わえます。
清水淳建築設計事務所

清水淳建築設計事務所
清水淳建築設計事務所 清水淳
清水淳建築設計事務所
清水淳(しみずじゅん)


〒167-0033
東京都杉並区清水3-26-24 清水ガーデンホームズA-4
TEL:03-3397-0885
【経歴】

1969年
埼玉県生まれ
1995年
東京工業大学大学院理工学研究科建築学専攻修士課程修了
1995年
青木淳建築計画事務所
1996~2001年
長谷川逸子・建築計画工房
2003年
一級建築士事務所 清水淳建築設計事務所設立
2003~2005年
迫慶一郎、藤岡務、陸鐘驍と共に東方設計公社として中国での設計活動
2005~2013年
京都造形芸術大学非常勤講師/日本建築学会/東京建築士会環境委員会委員
2008年
グッドデザイン賞


ひとつのイベントとして楽しんでいただけたのではないかと思います。

床暖房システムとしては、一般的にはモジュール化されたパネルタイプが主流かと思います。こういったタイプは比較的広く、また整形の平面形状の部屋で採用するには都合が良いのですが、不整形な平面形状であったり、造り付けの家具を除けてパネルを設置しようとすると、パネルの敷設率が極端に低下してしまいます。また、モジュール間の温水配管の接続が避けられないため、少なからず将来的な漏水が懸念されます。

その点、シームレス床暖房のシステムでは、自由に床暖房の敷設エリアを計画でき、不整形な平面形状であっても敷設率を高めることができるため、床暖房としての快適さを最大限に引き出すことができます。更に温水管の途中でジョイントがないため、将来的な漏水の心配もありません。また、床暖房工事は一般的には専門の設備施工会社が工事を行いますが、シームレス床暖房のシステムはある程度の知識を持った人のサポートがあれば、一般のユーザーさんでも工事が可能だというのが面白いところです。


私は自宅の改修でシームレス床暖房のシステムを採用し自主施工を試みましたが、これ以降、私が設計する住宅でシームレス床暖房のシステムを採用する際は、私がアドバイザーとして立ち会いつつ、お施主さんに床暖房の工事に参加してもらっています。
温水パネルを敷き詰め、そこに温水パイプを這わせる工事をお施主さんが行うのですが、どういう風に温水が流れているかを実感できるため、例えば住み始めてから床に釘を打って温水管を破損させてしまうといった事故も減らせると考えています。

建物の工事にお施主さんが直接参加する機会というのはなかなか無いと思いますが、皆さん、ひとつのイベントとして楽しんでいただけたのではないかと思います。



ある種のルーズさがあることを目指しています

私が住宅を設計する際は、当然ですがお施主さんの要望はすべて満たすようにして細かくつくり込んでいきますが、完成した空間の印象として、ある種のルーズさがあることを目指しています。住み始めてからお施主さんが空間をカスタマイズできる余地を残す、或いはカスタマイズするための手がかりを空間の骨格として形成できればと思っています。
空間としてのつくり込みは大切なことですが、このことが住まい手の自由さを縛ってしまうととても窮屈です。家が完成してそこで成長が止まるのではなく、住まい手がカスタマイズすることで更に家が成長し続けていけたら素敵だと思います。


素材よりも「空間全体」に意味を持たせたい

出来上がった空間そのものにある種の意味を持たせたいとは思っていますが、その空間を構成する素材そのものに大きな意味を持たせたいとは思っていません。どういうことかというと、例えば左官仕上げの壁を作るとして、ことさら鏝ムラを強調させることで手作り感を出してしまうと、そこだけに目が行ってしまって、かえって空間全体の印象が薄れてしまうのではないかと考えているからです。
ですが一方で、石やレンガ、日本の伝統工法である手刻みの木の骨組み等、重厚な素材、強烈な個性を持った材料を使ってみたいという衝動にも駆られます。


自分とは異なる価値観から新しい発見にたどり着く

自分のこれまでの経験や思考だけに頼って設計を進めるというのは限界があると思っています。もちろん、設計するのは私ですから、実際には私の脳が考えるのですが、あたかもお施主さんやそこを使う人の脳を借りて、自分とは異なる考え方や価値基準でデザインすることで、これまで自分では考えつかなかった新しい発見ができる瞬間があります。こうした瞬間にたどり着けたとき、何とも言えない幸福感を味わえます。


これからの住宅には自由な展開を期待

技術の進歩に伴い、世の中はますます便利で効率的なものになってきています。自動車は自動運転が早々にも当たり前になると思いますが、それでもマニュアルトランスミッションで運転を楽しむ人が絶滅するとは思えません。住宅も自動車同様の傾向になるのではないでしょうか。
どちらが良い、悪いということではなく、そのどちらもが自由に展開していく、展開してほしいと思っています。



施工事例




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2007年秋にスタートした、取材させて頂いている建築家へのインタビュー記事です。住宅、集合住宅、商業施設、公共施設など建築家の体験談をお楽しみください。