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建築家インタビュー
  • 掲載:2009年04月05日 更新:2024年12月06日

「オンリーワンの空間を創る」モノ・コトづくりへの熱いハートが原動力
株式会社エリアコネクション 渡邊裕樹

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~取材にあたり~

先日、本年度の土地公示価格が、住宅地・商業地とも3年ぶりにマイナスに転じたと発表されました。これには世界同時不況による外資ファンドの撤退や資金調達環境の悪化、日本の実質経済の縮小による買い控えなどが影響していると思われます。
こんな時代に少しでも、住宅需要を喚起して行くためには、例えば、中古住宅・マンションなどにおいても、売り手の都合でリフォームしたものを販売するのではなく、購入者が提示価格の範囲内で自由に選べるリフォームデザインとのパッケージメニューを提案するなど、顧客ひとりひとりの個性を尊重した販売が必要ではないでしょうか。昨今の消費者は、ひと昔前のように「皆が買っているから、皆が持っているから、ウチも・・・」ではなく、自分だけの「オンリーワン」に、特にこだわる方が増えているように思います。

今回のSPACE DESIGNでは、そんな「オンリーワンの空間」をクライアントやスタッフとともに創り上げて行くことに喜びを感じ、情熱をかたむける建築デザイナー・渡邊裕樹氏にお話を伺いました。



デザイン・設計をする上での、コンセプトをお聞かせ下さい。

私たちは、モノ・コト(デザイン)づくりをしていく中で一番感じることがあります。0から1(無から有)産み出す時にどのような過程(プロセス)で産み出されたかが本当の意味で大事であり出来上がったものの表面的価値よりその形に成りえるまでの苦労や喜びそして感動する事が大切だと思います。
その体感過程があるからこそ形になったモノの価値は人の心感に伝わっていくのだと思います。そして、モノ・コトづくりは私たちだけでは何も産む事はできません。
そこには、クライアント・施工業者などそのプロジェクトに関係する人達の想いが繋がり合う事でどこにもないオンリーワンのモノ・コトづくりが出来るのだと思います。
このような想いを持つ「エリアコネクション」に共感してくれるスタッフやクライアントに出会い、そして共にプロジェクトを進めることが何よりの幸せであり、明日への原動力になります。




特に得意とする設計分野・デザイン分野はございますか?

得意な分野としては主に商環境を司る空間デザインを本業としており具体的に言うと飲食店、物販店など人が集うスペースの「間」を組み立てるのが得意としています。
「間」とは、様々な業態によって異なります。例えば居心地を求めたり、購買欲を湧かせたり楽しめたり、安らげたり・・・そんな人々は目的に合った感情を持ちその「間」を求めています。私は、そんな内面的な感覚をクライアント様と共に具現化していく事に喜びを感じます。




実際にお客様からの要望が最も多いのはどういった点でしょうか?

「どうすれば繁盛店ができるか?」という最も難しい要望が多いと思います。
この課題は、私にとってもクライアント様にとっても永遠の課題であり100%流行る店舗をつくる事はまず無理でしょう。こう言ってしまえば話しは終わってしまいますが、私が常にクライアント様にお話ししている事は「100%という確立に近づけていくお手伝いは出来ます。」
基本的にお店は複合的要素が絡み合ってそれが成り立ったとき繁盛店として確立します。それは、空間が良くてもサービスが悪ければ成り立ちません。私はそれらの様々な要素のバランスが大事だと思います。その本質を探り今までの経験を活しクライアント様の考えとリンクした時に本当の意味での繁盛店が出来るのだと思います。




興味が持てた・非常に面白かった・ やりがいがあったなどと思われた案件はありますか?

初めて手がけたお店です。私は誰かに付いて設計やデザインの勉強をしたわけではないのでその物件でいろんな事を勉強させて頂きました。
その中で一番学んだ事は表面的なデザインでは人の気持ちは動かないという事。この事が今の自分の原点でありこれからも変わらず心の中に持ちつづけるテーマです。




一般ユーザーさん又は店舗オーナーさんから、難しい注文や無理な注文なども多々あると思いますが、その場合にはどのように対応されますか?

難しい注文、無理な注文はあって当たり前と思っています。
私が逆の立場でも同じようにすると思うし、それは、オーナーも必死だからあって当然。それよりその難題をどうやってクリアしていくかを考えると楽しくもあるしそれがクリアできた時にオーナ-と喜びを分かち合えると思うとワクワクしてしまいます。




~取材後記~

渡邊先生の手掛ける作品の数々は、まさに「空間プランニング」という言葉がぴったりと当てはまります。
ただの「空間」には無機質の商品や家具が並んでいるだけですが、そこに、それを創った「人」やそこを利用する「人」の感動や喜び、息づかいまで感じることができるのです。そういう風に計算されて創られているのだなと思います。
それは、幻想的なライティングや、絶妙な素材のコントラスト、超モダンなのにどこかノスタルジーを感じさせるインテリア、等々の演出効果だけでなく、その空間に、創り手の「心」を感じ取ることができるからに違いありません。つまり、人の心や気持ちを分かっていないと、このような素晴らしいデザインは生まれて来ないのだと思います。


取材・文 建材ナビディレクター 中島




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