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掲載:2022年03月25日 更新:2022年09月01日

公共工事受注にNETIS技術製品の活用は外せない

公共工事受注にNETIS技術製品の活用は外せない
建築工事は大きく分類すると公共工事と民間工事に分かれます。
公共工事に携わる関係者であれば、施工後に発注者から採点される工事成績評定は非常に重要ではないでしょうか。
今後の公共工事の受注増につながるだけでなく、担当した現場監督自身も個人的に大きな実績として残ります。 書類や写真整理に問題がなければ高点数を獲得するのは難しくありませんが、少しでも工事成績評定が有利になる条件があれば是非とも活用したいものです。

このような時に役立つのが「NETIS」です。

指定された技術や商品を利用するだけで工事成績評定に加点される仕組みを利用して、公共工事の入札時に有利に進めませんか。

NETISの概要や仕組みについて紹介させて頂きます。

1. 公共工事入札時に有利になる「NETIS」とは

公共工事受注にNETIS技術製品の活用は外せない

数多く公共工事に参加されている施工者様であれば「NETIS」の存在と活用法はすでにご存知でしょう。
公共工事の受注件数が少ない施工者様や、これから公共工事に挑戦しようと思われている施工者様であれば「NETIS」の仕組みと活用法をしっかり把握しておきましょう。

・「NETIS」とは、民間事業者などが開発した公共工事に活用できる新技術をデータベース化したシステム
・現在は国土交通省が運営

システムの目的は新技術の活用促進と情報の共有で、1998年からスタートした仕組みです。
新技術の幅は広く、IT系製品やシステムから工法、機械、材料などの多岐にわたる有益な情報がデータベースに登録されています。

NETISはインターネット上で一般公開されており、法人・個人問わず誰でも新技術の情報を簡単に検索できる特徴があります。
因みに2020年度からは、国交省直轄の土木工事においてはNETIS登録の新技術の活用が原則として義務化されました。
今後は建築工事でもNETIS登録の新技術利用が義務化されるかも知れません。


2. NETIS導入による加点評価の対象と仕組み

公共工事受注にNETIS技術製品の活用は外せない

公共工事の際に施工者がNETISに登録された新技術の使用した場合、工事成績評定で加点対象となります。
また、コスト削減や工期短縮などを活用した結果、効果が良好と認められた場合はさらに加点される仕組みです。
高い工事成績評定を獲得できれば次回以降の入札に有利となる評価を得られるため、公共工事に参加する施工者であればNETIS登録された新技術の活用は欠かせません。
具体的な加点方法についてはNETIS公式ホームページのダウンロード資料にも記載されていますが、NETIS登録技術のうち試行技術を活用した場合は2.0点が加算され、さらに当該試行技術が少実績優良技術もしくは該工事において発注者による活用効果調査結果の総合評価点が120点以上であれば2.0点を加点して、最大4.0点の加点となります。
公式パンプレットやNETISへの新技術の登録申請の方法、NETISの操作マニュアルまで公開されているので、必ずNETISの公式ホームページを隅々までしっかり確認しておきましょう。


3. NETIS登録新技術には種類がある

公共工事受注にNETIS技術製品の活用は外せない

NETIS登録された新技術を検索すると、登録番号の末尾にいくつかの種類があることに気付きます。

「識別記号」というものがあり、「-A、-V、-VE、-VR」の4種があります。


「-A」

「-A」は新たにNETISに登録申請して新技術と認められたものです。登録後は5年間閲覧可能な状態となり、更新で10年まで適用されます。

「-V」

「-V」と登録されているものは、以前にNETISに評価された新技術です。ちなみに現在は「-V」の評価はなく、「-VE」もしくは「-VR」のいずれかとして評価されています。

「-VE」

「-VE」と登録されているものは、NETISに今後調査が必要ないと評価された新技術です。登録後は10年まで適用されます。
実際に「-VE」の新技術を利用した企業が好評価している新技術です。
信頼度と利用価値が高い新技術のため、積極的に活用すると良いでしょう。

「-VR」

「-VR」と登録されているものは、今後調査が必要だと評価された新技術です。
調査次第では「-VE」に昇格する可能性がある技術です。

ちなみに識別記号は、公共工事の工事成績評定の加点や評価結果には影響しません。
単に「活用効果評価会議にかけられたことがあるか」を表す基準でしかありません。
「-A」の識別記号は登録日が新しいというだけで、有効的な新技術に何ら変わりはありませんので安心して利用下さい。


4. 公共工事以外にも役立つNETIS登録新技術の有用性

公共工事受注にNETIS技術製品の活用は外せない

NETIS技術製品は公共工事にしか利用できないと誤解されている方も意外に多いのですが、運営の目的は現在の公共事業が抱えているさまざまな問題点を解決するためだけではありません。
優れた技術を持つ企業をサポートして新技術開発を促進することや、長い目で見れば深刻化している建設業界の人材不足の解消といったものがあります。

少子高齢化と労働人口の減少により、さまざまな業種で深刻な人材不足が起きています。 建設業も決して他人事ではなく、人手不足の実情は日増しに深刻化しています。
1997年に建設就業者数のピークを迎えて以降、職人や施工管理者などの建設業の労働者が減り続けています。

さらに労働者の年齢を見ると、高齢者の割合が非常に高く、若年層の割合が低いことが問題となっています。
若者が建設業界を敬遠する理由は、「きつい・汚い・危険」の三拍子が揃っている「3K」の代表格といわれる業種のためです。 過酷な建設業の労働条件を改善するためには、優れた技術を用いて作業を効率化させなければいけません。

新技術が業界全体に普及することにより、作業の効率化だけでなく工期短縮やコストダウンを可能にし、施工者だけでなく建設労働者や発注者の負担も軽減することが可能になるかも知れません。
民間工事や小規模な工事でも利用できる新技術も登録されているため、大きな視野で業界全体の改善のためにもNETIS登録新技術を積極的に活用することをお勧めします。


5. 公共工事で使えるオススメNETIS商品の一例

公共工事受注にNETIS技術製品の活用は外せない
公共工事で使えるオススメのNETIS登録新技術をいくつかご紹介します。

現場専用タブレット「蔵衛門Pad」

タブレットはすでに現場でも活躍しているデジタル端末の一つですが、「蔵衛門Pad」はカメラ機能付きタブレットとクラウドサービスを利用した便利な機能が魅力的な新技術です。
電子小黒板入りの工事写真撮影や、工事写真の自動仕分け機能、工事写真台帳の自動作成などの作業を一貫して行うシステムです。

公共工事受注にNETIS技術製品の活用は外せない

通信一体型現場監視カメラ「G-Camシリーズ」

モバイル通信を利用した全天候型の小型・軽量の通信一体型遠隔監視カメラです。
工程の短縮やコスト削減、安全性の向上につながります。

簡易的騒音対策「吸音パネル」

一時的騒音やスペースのない場所では大がかりな防音対策が難しく、設置状況によっては近隣住民とのトラブルにも発展しかねません 。
必要なときに設置して簡単に収納できる簡易的騒音対策「吸音パネル」なら、手聞をかけずに簡単に騒音問題を解決できます。

タイルクリップ工法

タイルクリップ工法は、タイルの裏面にタイルクリップを取り付けてPC製作時にコンクリートと一緒に打ち込む画期的な工法です。
万が一コンクリート面からタイルが剥離しても落下しない安全面のメリットがあります。



6. まとめ

公共工事受注にNETIS技術製品の活用は外せない
いかがでしたか。
NETISは公共工事には欠かすことができない大切なデータベースです。

工事成績評定で高得点が獲得しにくい状況になりつつあるため、NETIS登録新技術の利用は無視することができません。

もちろん、NETISの活用は公共工事の工事成績評定の加点だけでなく、作業の効率化やコストダウン、工期の短縮などさまざまな助けになるでしょう。
他の施工者が活用して有益であると評価された技術は、さらに普及しながら改良が加えられて良いものへ進化していきます。
国土交通省が運営するシステムだけに、正当な評価と有益性が保証された新技術が勢揃いのNETISです。
自社の業務改善や作業の効率化のために、より多くの新技術を活用されてはいかがでしょうか。
今まで発見が難しかった工法や技術を検索する上でも、NETISは非常に便利であり、さらに今後は良い技術が飛躍的に増えることに大きな期待ができそうです。


著者(田場 信広)プロフィール

・一級建築士、宅地建物取引士

・建築設計、工事監理、施工(大工)、戸建て木造住宅の新築からリフォーム全般、分譲マンションの内装改修、マンションの大規模修繕工事の設計・設計管理、警察署の入札仕事や少年院の特殊な工事も経験

・某資格学校にて2級建築士設計製図コースの講師を6年務める







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