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掲載:2021年04月15日 更新:2022年07月19日

内装材選び方【床材】 選定ポイントとオススメメーカーを紹介

床材は唯一、人と空間が「触れ合う」場所。そのため壁や天井と比較しても一番汚れやすく、定期的なメンテナンスが必要となります。さらに、歩いたときの感触や靴が床に当たる音は人々の感覚を刺激するため、それら心地よいほど「上質な空間」という印象を与えるでしょう。つまり「床」は空間の居心地を決める重要な要素であり、設計者は「メンテナンス性」と「質感」を考慮した上で内装材を決める必要があるのです。
当記事では「内装材選び方:床材」と題して、床の仕上げに最適な内装材を紹介します。選定する際に確認すべきポイントやオススメメーカーなども併せてお伝えしますので、ぜひ最後までご覧ください。

<当記事を読んで得られること>
- 内装で使う床材を選ぶ時のポイントがわかる
- オススメのメーカーがわかる

床の選定ポイントとは?


まずは床材の特徴について考えてみましょう。そのためにはまず、床材が「どのように利用されるのか」を把握することが重要です。

- 土足:汚れやすいため、メンテナンス性の高さが重要
- 室内:素足で歩くため、床の不陸や凹凸に注意が必要

土足エリアの床材はすぐ汚れてしまうため、日常で手入れしやすい素材が好まれています。さらに軒下などの雨がかり部分では、歩行者が滑って転倒してしまう危険性があるため、設計的な工夫が必要になります。汚れが目立ちにくい色や掃除しやすい素材を選定したり、場合によっては屋外にもできる滑り止めつきの床材を選定するとよいでしょう。

一方で、住宅のように靴を脱いで利用する場合は、素材の質感に注意が必要です。床材の不陸や凹凸などはできるだけ避け、フラットかつ肌触りのよい仕上げ材を選定しましょう。このような素材を選ぶと床にほこりが溜まりにくく、日常の手入れがしやすくなります。

このように、床材を選ぶ際にはまず「土足利用かどうか」を考え、利用方法に合わせた設計が必要です。とくに床材は日常的な手入れが発生する素材なので、色や質感・性能などをクライアントに細かく相談しながら決定することをオススメします。

オススメ材①「磁気タイル」屋内外向け

床にオススメの内装材一つ目は「磁気タイル」です。磁気タイルとは、石英・長石・粘土を混ぜた素地を1300℃前後で焼きあげたタイルのことで、耐久性・デザイン性に優れた素材です。そのため歩道や商業施設の床だけでなく、住宅の外壁など幅広い場所で使用されています。また滑り止め付きの素材や水はけのよい素材など、目的に合わせた素材選定が可能なので、雨がかりエリアでも問題なく使用可能です。

オススメメーカー

以下ではタイルのオススメメーカー2社を紹介します。

- みはし株式会社 通信販売事業部

内装の装飾材を中心に商品展開を行うみはし株式会社通信販売事業部では、屋外にも使用できる床材などを豊富に取り扱っています。その中でもN-EUPLAシリーズは滑りにくい特性を有しているため、雨がかかるエリアでも問題なく使用できます。

- 株式会社東洋石創

東洋石創の扱う「TILE MATERIAL シャドウ」は耐久性に優れており、屋内外の床や壁に使用できる素材です。また東洋石創では、建材の輸入卸業だけでなく石工事の設計・施工なども行っている会社なので、設計的な悩みも気軽に相談できます。

設計者として考えるべきポイント

耐久性やデザイン性に優れた「タイル」ですが、設計する際には以下のようなデメリットをふまえて選定しましょう。

- 広範囲の施工の場合、費用と時間がかかる
- 厚みがあるため、納まりを検討する必要あり

まず一つ目は「広範囲の施工の場合、費用・時間がかかる」ことです。床にタイルを使用する場合、タイルの材料費はもちろんのこと、タイルを接着するための下地準備などに費用と時間がかかります。広範囲にわたって施工する場合は、施工業者やクライアントに相談した上で決定するようにしましょう。

また二つ目は「厚みがあるため、納まりを検討する必要がある」ことです。床タイルは10mm以上の厚みのものが多く、床下に設備がある場合や内装の引き渡し条件によっては、納まりを検討する必要があります。素材を選定するときに検討するようにしましょう。

オススメ材②「フローリング」屋内向け

床にオススメの内装材二つ目は「フローリング」です。フローリングとは木の質感をもった床材のことで、自然な風合いと耐久性を有した素材です。主に住宅の洋室やナチュラルテイストのお店などで使用され、木特有の温かみのある空間を演出できます。フローリングには、天然木を切り取り加工した「無垢フローリング」と、合板を用いて作られた「複合フローリング」の2種類があり、質感や予算に合わせて選択が可能です。さらに木の種類や木目の表情などの種類も豊富なので、さまざまなメーカーを見比べて最適な物を選ぶとよいでしょう。

オススメメーカー

以下ではフローリングのオススメメーカー2社を紹介します。

- 東京木材企業株式会社

木材の輸入・買い付けから製材加工まで行う東京木材では、さまざまな種類のフローリングを取り扱っています。無垢のフローリング材に加え、「床暖房対応フローリング」なども取り扱っているので、床暖房を導入する住宅や託児所などの床材としても最適です。

- ミャンマーチーク販売株式会社

耐久性・耐水性・抗菌防虫性に優れている「ミャンマーチーク」。ミャンマーチーク販売株式会社では、ミャンマーで採れたチーク材をミャンマー政府機関と提携の下、現地工場で製品化して販売しています。用途に合わせた種類展開なので、目的に合わせて選定がしやすいでしょう。

設計者として考えるべきポイント

木のぬくもりを感じられる「フローリング」ですが、設計する際には以下のようなデメリットをふまえて選定しましょう。

- 利用方法によっては種類が限られる

無垢フローリングの場合、選んだ木によって「硬さ」に差があります。とくにやわらかい木を選定すると、傷がつきやすく劣化が進みやすくなるでしょう。木の劣化は「味」と捉えることが多いですが、劣化を遅らせたいと考えている方は複合フローリングなど丈夫な素材を選ぶようにしましょう。

オススメ材③「タイルカーペット」屋内向け

床にオススメの内装材三つ目は「タイルカーペット」です。タイルカーペットとは正方形や長方形のパネル状のカーペットのことで、組み合わせによってさまざまなデザインを楽しめる床材です。 タイルカーペットのサイズは500mm角が主流で、万が一汚れた際はその箇所のみの張り替えが可能です。さらに足への負担を軽減できる素材なので、オフィスや住宅、児童施設など、人が滞在する場所でよく使用されています。

オススメメーカー

以下ではタイルカーペットのオススメメーカーを紹介します。

- 株式会社サンゲツ

「トータルインテリア」という発想から、 壁紙・床材・カーテンなど、インテリア商品を多彩に取り揃えているサンゲツ。その中でも「DTカーペットタイル×GRAFICA」は豊かな発色と自由な柄表現が特長のプリント床材なので、意匠性が求められる物件にもオススメです。

設計者として考えるべきポイント

メンテナンス性の高い「タイルカーペット」ですが、設計する際には以下のようなデメリットをふまえて選定しましょう。

- 掃き掃除がしにくい
- 土足の場合、汚れが付着しやすい

まず一つ目は「掃き掃除がしにくい」ことです。とくにパイル状のタイルカーペットは毛足があるため、掃除機や粘着性のあるほこりとりによる手入れが必要になります。クライアントに清掃方法を確認した上で素材を選定しましょう。
また二つ目は「土足の場合、汚れが付着しやすい」ことです。泥などが付着すると着色してしまうため、定期的は張り替えが必要になります。しかし張り替え作業は素人の方でも手軽に行えるので、自分たちで張り替える場合はランニングコストを下げられるでしょう。

まとめ

床の仕上げに最適な内装材として、磁気タイル・フローリング・タイルカーペットを紹介しました。冒頭に述べた通り、床材は「どのように使用するか」によって選ぶべき素材が大きく変わります。まずは利用シーンを想定し、どんな素材を選ぶと心地よいか考えるとよいでしょう。


著者(田原 政耶)プロフィール

二級建築施工管理技士
空間ディスプレイ会社で現場監督職兼プロジェクトマネージャー







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