建材情報まとめサイトすまいリング
掲載:2019年10月02日 更新:2022年06月17日

モルタルを塗装でリフォームするメリットや、工事費用を解説

モルタル

モルタル外壁の家には「塗装」と「張り替え」という2種類のリフォーム方法があります。

一長一短があり、どちらの方法でリフォームをしようか悩んでいる人は多いでしょう。

この記事では、モルタルを塗装するメリットやデメリットのほか、工事費用や最適な時期、施工手順について紹介します。

読むことで、自宅のモルタル外壁を塗装するべきかどうかを判別しやすくなるでしょう。

1.モルタルを塗装するメリット

モルタル

モルタルのリフォームを張り替えではなく塗装にするメリットは2つあります。

工事費用が安い

モルタル外壁の塗装に必要な費用は、30〜40坪程度の住宅で70〜120万円です。
一方で、張り替えでリフォームする場合は同じ坪数でも200〜290万円程度が必要となるでしょう。

張り替えが必要なほどモルタル外壁が劣化していないのであれば、費用が安い塗装リフォームで十分だと考えられます。

場所を取らない

モルタルを使うのは住宅の外壁だけではありません。
浴室がモルタルの場合、張り替えで工事をすると室内が狭くなります。

塗装でリフォームであれば、模様付けをしても厚さ5センチメートルに満たないため室内が狭くなることはありません。

2.モルタルを塗装するデメリット

モルタル

モルタルを塗装する場合のデメリットは以下の2つです。

下地が寿命を迎えていると補修できない

塗装によるリフォームだと、下地となっているモルタルが寿命に達している場合は塗り替えをしても効果がほとんどありません。

なぜなら、モルタル自体の老朽化を塗装リフォームでは解決できないからです。
下地材が寿命の場合は他の材質への張り替えが必要となるでしょう。

デザイン性が限られる

モルタルの塗装リフォームでは下地の形状を大きく変えることは難しいです。
このため、張り替えに比べると塗装リフォームはデザイン性に限界があるといえるでしょう。

3.モルタルの塗装をする時期はリフォームから10年後

モルタル

モルタルの塗装をする時期は、前回のリフォームや新築から10年が目安です。
なぜなら、過去に使われていた塗料の耐用年数が10年程度だからです。

近年では15年を超える塗料も多くなっているため、モルタル外壁を今回塗装した場合は15年程度を目安にしてもよいでしょう。

ただし、リフォームの年数は目安でしかありません。
実際の塗装タイミングはモルタルの劣化状況で判断したほうが確実性は高いでしょう。

モルタルを塗装する目安となる劣化症状には以下があります。

・チョーキング
・塗装のハガレ
・ひび割れ
・モルタルの破損

それぞれの症状における対応方法も合わせて紹介します。

塗装を検討:チョーキング

モルタル

モルタル外壁に塗装した塗料が劣化して、顔料と呼ばれる素材が粉状に漏れ出ている状態です。

外壁の表面を手でさわるだけで粉がつくため判別はしやすいでしょう。
チョーキングがモルタル外壁の表面に出てきたら、塗り替えを検討する時期です。

塗装が必須:塗装のハガレ

モルタル

モルタル外壁の塗装がはがれる劣化症状です。
見るからに塗装がはがれているため、判別は簡単にできるでしょう。

はがれている塗装を削り落としてから新しく塗装しないと、下地の劣化や雨漏りのリスクが高まります。

補修と塗装が必須:ひび割れ

モルタル

モルタル自体や塗装の表面がひび割れている状態です。

ひび割れを放置すると隙間から雨水が侵入して雨漏りが起こる危険性が高くなります。

また、モルタル外壁は他の素材に比べてひび割れが起こりやすいです。
弾力性がある塗料が存在するため、劣化を防止するためには「弾性塗料」を使いましょう。

ひび割れは塗装だけでは補修ができません。
塗装をする前にコーキングやモルタルによって隙間を埋める必要があります。

補修と塗装が必須:モルタルの破損

モルタル

モルタル自体が破損している場合は塗装だけでは対処ができません。
放置すれば外壁の崩壊や雨漏りにつながるため、早急に補修が必要です。

補修は、破損している箇所を削ってモルタルで埋め直します。
埋め直したあとは塗装をして完成です。

4.モルタルの塗装にかかる費用の目安

モルタル

モルタル外壁を塗装する場合にかかる費用は、30〜40坪の住宅で70〜120万円が相場です。

ベランダのモルタル床を防水塗装する場合だと、4〜10平方メートルで5〜20万円程度が必要でしょう。

また、浴室のモルタル壁を塗装する場合は10〜20万円程度が目安となります。

いずれも環境や塗料によって価格は変動するため、参考程度にとどめておきましょう。

5.モルタル塗装で使う塗料の種類

モルタル

モルタルの塗装に使う塗料は外壁、床、浴室によって大きく異なります。

モルタルの外壁塗装で使う塗料

外壁で使う塗料には主に4種類があります。

1. ウレタン塗料
2. シリコン塗料
3. ラジカル塗料
4. フッ素塗料

それぞれの特徴や価格をチェックして効果的な塗装をおこないましょう。

ウレタン塗料

ウレタン塗料は、価格が安く耐用年数が短い塗料です。
10年前には主流でしたが、現在はよりコストパフォーマンスがよいシリコン塗料に人気を奪われてしまいました。

シリコン塗料

シリコン塗料は、汚れがつきにくい特徴があり最も人気が高い塗料です。
外壁塗料を選ぶのに迷ったときはシリコンにしておけば間違いがありません。

ラジカル塗料

最新技術の粋を集めて2012年に日本ペイント株式会社が開発した塗料です。
シリコン塗料よりコストパフォーマンスが高いですが、実績が少ないため主流の塗料にはなっていません。

フッ素塗料

4種類で最も耐用年数が長く、価格も高額な塗料です。 メンテナンスの手間が省けるため、長期的な費用対効果で考えると効率がよいです。

モルタルの床塗装に使う防水塗料

モルタル

モルタルの床に使う塗料は「防水塗料」と呼びます。
床に使う塗料は雨漏りを防ぐために防水機能が必須なため、外壁の塗装に比べて厚塗りをする傾向があります。

防水塗料は主にベランダや屋上で利用します。

ウレタン防水

安価で防水塗装ができる人気の塗料です。
乾燥しにくく塗りムラができやすいですが、現在の主流の塗料といってよいでしょう。

ウレタン防水の例としては「DPツーガード・ゼロ」があります。

FRP防水

ガラス繊維を含むプラスチック製の塗料で、硬質な塗膜が作れることが特徴です。 ウレタン防水に比べて費用は高いですが、衝撃や摩擦に強く、光沢がある美しい仕上がりとなります。 FRPを使った防水加工の例としては「コロテクトNEO」があります。

浴室のモルタル塗装に使う塗料

モルタル

浴室のモルタルに使う塗料には防カビ性能が求められます。
湿度が高くなるためカビが生えやすく、通常の内壁用塗料ではすぐに劣化してしまうからです。

とはいえ、外壁ほど劣化しやすいわけではないため、浴室では安価な「アクリル塗料」を使います。

近年では、湿度が高い浴室でも水性塗料を使えるようになってきています。

6.モルタル外壁や床などを塗装する手順

モルタル

モルタルの外壁を塗装する手順は以下のようになっています。

1. 足場の組み立て
2. 高圧洗浄
3. 養生
4. 下地調整
5. 下塗り作業
6. 中塗り・上塗り作業
7. 付帯部の塗装
8. 足場解体・清掃

モルタルの浴室や床を塗装する場合は基本的に3〜7のみとなります。

1.足場の組み立て

職人の安全性や、作業の効率性を高めるために必要なのが足場です。
工期を短くするためにも外壁塗装では足場が欠かせません。
モルタル床や浴室の塗装には不要です。

2.高圧洗浄

外壁に塗料を付着させるためには汚れがついていてはいけません。
モルタル表面の汚れやカビを落とすために高圧力で洗浄をします。
モルタル床や浴室の塗装には不要です。

3.養生

塗装をしない場所をマスキングや養生テープで保護します。
また、足場の外側にメッシュシートを張って塗料の飛散を防止するのも養生です。

4.下地調整

シーリングやひび割れなどの「下地補修」、旧塗膜をはがすといった「ケレン作業」などが下地調整です。

下地調整をしないと塗装をしても下地からはがれてしまうため、モルタル塗装には欠かせない工程といえるでしょう。

5.下塗り作業

仕上げ塗料がはがれないように、下地との密着性を高める機能があるのが下塗りです。

下塗りをおこなわないで中塗りをしてしまうと、塗料がモルタルに吸収されてしまい性能の半分も発揮できなくなるでしょう。

6.中塗り・上塗り作業

外壁を保護すると同時に美しさを表現するのが中塗りと上塗りです。
中塗りと上塗りは同じ塗料を使って厚みを作ります。

2回塗ることでモルタル外壁を紫外線や雨から十分に守ることができるのです。

7.付帯部の塗装

付帯部とは「軒天井」や「雨樋」、「破風板」といった細かい部分です。
浴室やモルタル床の場合は不要なこともあります。

付帯部は劣化しやすく雨漏りの原因になることも多いため定期的な補修や塗装が欠かせません。

8.足場解体・清掃

塗装作業が終わったら足場を解体して清掃します。
足場を組み立てないモルタル床や浴室の場合は掃除だけをおこないます。

7.まとめ:モルタルの塗装は安く工事をしたい人に最適

モルタル

モルタルを塗装するメリットは費用が安く済むことです。
デザイン性は高くないですが、張り替えの半額程度で工事ができるのは大きな魅力でしょう。

また、外壁塗装に最適な時期を知りたい人もいるでしょう。

「外壁塗装の耐用年数は20年が限界!寿命を延ばすポイントを解説」では、外壁塗装に最適な季節や寿命を伸ばす方法を紹介していますので、参考にしてみてください。



著者(岡崎 康裕)プロフィール

塗装技能士2級
2年半の外壁塗装の職人経験
外壁、内壁塗装に関する知識と実務経験







あわせて読みたい

COLUMN
建材コラム
建材のことをわかりやすく紹介するコラム記事です。 建材に関するあらゆることから、身の回りの疑問に感じた住まいに関する記事まで取り揃えています。
岡崎 康裕の人気記事
外壁を塗り壁にする特徴や費用を解説!土壁や漆喰・ジョリパットの違いは?
外壁塗装の耐用年数は20年が限界!寿命を延ばすポイントを解説
屋根塗装の時期が10年後というのはウソ?塗り替えに適した季節も解説
よく読まれている記事
先週 先月
お風呂の壁に磁石がつくって知ってた?仕組みと理由を聞いてみた
暮らしの新常識!「宅配ボックス」の選び方と使い方の注意点
グラスウールはどんな断熱材?ロックウールとの違いやメリット、デメリット
外壁を塗り壁にする特徴や費用を解説!土壁や漆喰・ジョリパットの違いは?
外壁塗装の耐用年数は20年が限界!寿命を延ばすポイントを解説
お風呂の壁に磁石がつくって知ってた?仕組みと理由を聞いてみた
グラスウールはどんな断熱材?ロックウールとの違いやメリット、デメリット
外壁を塗り壁にする特徴や費用を解説!土壁や漆喰・ジョリパットの違いは?
外壁塗装の耐用年数は20年が限界!寿命を延ばすポイントを解説
万能なフロア材、「突き板フローリング」とは?メリットとデメリットをご紹介