建材情報まとめサイトすまいりんぐ
ARCHITECT
建築家インタビュー
  • 掲載:2016年12月06日 更新:2024年12月06日

環境や周囲の人々とともに笑い皺があるような素敵な歳のとり方のできる建築をつくりたい
筒井紀博空間工房

筒井紀博空間工房
筒井紀博空間工房 筒井紀博
筒井紀博空間工房
筒井紀博(つついきはく)
一級建築士

〒168-0082
東京都杉並区久我山4-1-9 久我山ビル401
TEL:03-3247-8922
【経歴】

1972年
茨城県生まれ
1995年
日本大学理工学部海洋建築工学科 卒業
1995年
石井和紘建築研究所
1998年
平野智司計画工房
現在
日本大学理工学部海洋建築工学科 非常勤講師


屋上スペースにアウトドアのミーティングスペースとくつろぐための公園スペースを提案

幼少の頃、祖父が亡くなり、葬儀をおこなったのが東京カテドラル関口教会でした。
幼少ながらに、その空間の持つ荘厳さに圧倒されたのを覚えています。
思い返せば、この時がはじめて建築に興味をもった時だったように思います。

なんの仕事の当てもなく29歳の時に独立しました。以前勤めていた事務所で担当させていただいたアパレルメーカーの本社ビルがあります。そちらへ退職の挨拶に伺った際に、「設計してくれたこの本社ビルのおかげで、うちもすっかり体制が変わり、経営もよくなりました。お礼といってはなんだけど、独立祝いにこの建物の屋上にスタッフが憩える屋外空間をデザインしてくださいよ」と言われたのが、最初の仕事です。

お金はないけど、時間は有り余っていたので(笑)、何度もエスキスを繰り返し、屋上スペースにアウトドアのミーティングスペースとくつろぐための公園スペースを提案し、ほぼ原案通りに実現させていただけたことを鮮明に覚えております。今思えば、とても太っ腹な施主ですよね。



環境や周囲の人々とともに素敵に歳をとっていける建築を

 建築とはそこに存在する必然性がある空間と考えます。そのためには、その土地がもつ気配のようなものを敏感に感じ取ることが重要です。都心部で建築する場合、感性を刺激するような環境というものが少ないのが現状です。住宅が密集していたり、環境自体が劣悪であることが多いため、何をヒントに設計して良いかわかりにくい場合も多いです。

 そのような状況下でもかすかなヒントを見出し、それらを活かすことによって素晴らしい空間になると思います。また、建築は40年、49年と存在し続けます。新築の時が一番美しく、時とともに廃れていくような空間ではなく、環境や周囲の人々とともに素敵に歳をとっていける建築をつくらなければなりません。笑い皺がたくさんあるような素敵な歳のとり方のできる建築をつくりたいと思っています。

そして人々には五感があります。現代人は視覚に頼る傾向がありますが、もっと他の感覚、人間のもつ五感のすべてを使って生活していけるような空間も心がけています。


視覚が主体ではなく、他の五感を主に使う建築というものを設計してみたい

 ここ数年は7、8割が住宅、残りが商業施設や事業物件などを手掛けております。私がクルマ好き、犬好きということもあってか、ガレージハウスや犬と暮らす家といった依頼が多いのが特徴的です。エリアは特に問わず、全国からご相談いただいております。

東日本大震災以降は二世帯住宅が多いのも特徴的ですね。住宅のおよそ半数が二世帯住宅となっています。 また、独立してから14年経つのですが、初期の頃の建主さんから連絡をいただき、家族構成の変化や生活スタイルの変化に伴って、リノベーションの依頼も時々いただきます。

今後は人が集う空間の中で、視覚が主体ではなく、他の五感を主に使う建築というものを設計してみたいですね。たとえば美術館やギャラリー、教会、水族館など挙げだすとキリがないですが、どのような施設でも、五感をフルに利用することのできる空間というものを手掛けてみたいです。

あとは非日常を演出するセカンドハウス。法規制が厳しくなる一方の都市の建築ばかりではなく、自然豊かな場所での建築もバランスよく手掛けていきたいと考えております。



施工事例




SHARE

RELATED ARTICLE

アクセスランキング(ARCHITECT)
株式会社TSUMUJI 佐野温史
人と空間、双方向のデザイン
株式会社藤村デザインスタジオ​ 一級建築士事務所 藤村益生
デザインを寝かせることによる客観視とテクノロジー活用方法の追求
一級建築士事務所 オフィス・アースワークス 小松原敬
設計とは「住まいの大切なDNA」良質な遺伝子が育む居心地の良い住まい。
株式会社Old Kan 浦田晶平
懐かしくて古き良き感覚を大切にしつつも、トレンドは意識し長く残る空間デザインを心掛けています
塚田裕之建築設計事務所 塚田裕之
流行に左右されない50年後、100年後も良いと思えるデザインをしてきたいと考えています。
SumaiRing最新記事
SPECIAL
有限会社永山祐子建築設計 永山祐子(建築家)
建築家永山祐子氏「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2026」受賞!過去の取材で語られた「循環型建築」の原点とマテリアルへの情熱
STORY
高橋建設株式会社 ✕ 株式会社FPコーポレーション
断熱性・気密性・耐震性に優れた「FPウレタン断熱パネル」
ARCHITECT
コクヨ株式会社 クリエイティブデザイン部 青木耕治
テクノロジーを駆使しゾーニングやレイアウトに活かした設計で未来を切り開く
MANUFACTURER
マグ・イゾベール株式会社
日本初登場「理想的な音環境」を創造する高性能吸音材〈Ecophon〉
COLUMN
【万博採用建材⑤】コスト面・耐久面のバランスが良く半屋外での使用にも耐える「メラミンタイル」
最近見た記事
小野建築設計室 小野誠一
住まい手の“想い”に寄り添い、さまざまな暮らしの改善要望に丁寧に応える
災害や防犯だけじゃない!感染症対策は建築になくてはならないものになる
株式会社GIMMICK 竹久逸美
少しの緊張・不安と期待の新しい出会い、私たちはそんな「新しい出会い」を大切にしたいと思っています。
KTX archiLAB(ケンチックスアーキラボ) 松本哲哉
クライアントのビジネスに強力な付加価値を生み出すことを目指しています。
株式会社 DIG DESIGN
街のシンボルとなる駅前城門「Laporta」
ARCHITECT
建築家インタビュー
2007年秋にスタートした、取材させて頂いている建築家へのインタビュー記事です。住宅、集合住宅、商業施設、公共施設など建築家の体験談をお楽しみください。