建材情報まとめサイトすまいリング
  • 掲載:2022年11月18日 更新:2022年11月18日

カナダ産ウエスタンレッドシダー販売の先駆的企業に伺った新木場のこれまでの歩みと、今後の展望

高広木材
今回ご紹介する建材メーカー
高広木材
高広木材株式会社
代表取締役専務 渡辺幹夫
営業部主任 佐々木光
本社/〒136-0082 東京都江東区新木場1-6-3
岩井営業所/〒306-0621 茨城県坂東市大谷口1035
https://takahiro-mokuzai.co.jp/
カナダ産ウエスタンレッドシダー販売の先駆的企業として、さまざまな試行錯誤を積み重ねてきた、木材の老舗「高広木材株式会社」にお話を伺ってきました。

ウエスタンレッドシダーが実現する「木を活かす建築」

建材ナビスタッフ:ホームページで拝見しましたところ、御社は日本における「レッドシダー専門店」の先駆的な存在と言えると思いますが、元々は国内外の木材全般を取り扱われていらしたそうですね。そこから、レッドシダーを専門に扱うようになったきっかけ、あるいはエピソードなどがございましたらぜひお伺いしたいのですが。
渡辺:高広木材は、大正3 年創業、今で三代目です。創業して99 年になります。
建材ナビスタッフ:もうすぐ100 年ですね。続けてこられた理由についてどのようにお考えですか?
渡辺:やはり、時代に合わせた形で変化していくことができたからでしょうか。どんな仕事をやっていても、共通することだと思います。それこそダーウィンの進化論ではないけれど、やっぱり変われるものが生き残るのだと…。長い歴史の中ではいい時もあれば悪い時もある。そこをなんとか乗り越えて、弊社も今に至っています。
建材ナビスタッフ:100 年というのは、歴史を感じます。簡単にまとめられないとは思いますが、商売の変遷について、教えてい ただけますでしょうか?
渡辺:戦前から戦争直後は、国産材を主に扱っていました。第二次世界大戦で多くの都市を焼失してしまい、戦後はとにかく産めよ、増やせよ、住宅はもちろん、学校だって足りない、全て足りない。とにかく屋根つけて建てろというような感じで、木材の需要はものすごく大きかった。その当時は敗戦国だから資源がない、金へんのものはなくて、木へんばかり…。とりあえず外壁だってゴミ箱だって、何だって木で造っていた、という時代でした。次第に、供給が需要に追いつかないようになって、国産材から、輸入木材の時代になっていったのです。
高広木材
建材ナビスタッフ:御社でも、輸入材を扱われるようになったのですか?
渡辺:そうですね、あれば売れるという状態だったので、大量生産するということがいいことだと、業界全体で 生産過剰体制を作ってしまった結果、今度は価格競争が始まりました。究極の買い手市場です。そういう状況が続き、われわれも将来を描けなくなってしまい、 独自性のある商品を開発していかないと…と考えるようになりました。まだ誰もやっていない、いろいろな輸入材に目をつけた時期もあります。

逆境をビジネスチャンスに。レッドシダーとの出会い

建材ナビスタッフ:そうした過当競争の中で、独自性を出すということは大変だったのでしょうね。
渡辺:やるという気持ちと、そして投資ですね。投資というのは、金銭の投資ね。やる気の闘志じゃなくて…。もっともそっちも必要なのでしょうが(笑)独自性を出せる商品を模索し、失敗もしながらいろいろな経験を経て、ある時レッドシダーに巡りあいました。われわれも木を扱っていますから、いいとか悪いとか、一応の基準を持ってレッドシダーを見たときに、とてもいい木だと思った。ただ、いい木というだけではなく、他にも惹かれる部分があったのです。
建材ナビスタッフ:どんなところに惹かれたのですか?
渡辺:たまたまカナダの林産会社のオークションがあったときのことです。日本のバイヤーを集めて、競りが行われました。人気の商品には人だかりができているのに、レッドシダーのところへ行くと、誰も買う気がない。かえって興味をそそられました。カナダでは、外壁や屋根、外構にふんだんに木をつかう文化があり、レッドシダーはそういった外回りによく使用される木材です。カナダ、ブリティッシュコロンビア州に多く生育しているウエスタンレッドシダーは、ヒノキ科の樹木で、天然の抽出成分が殺菌力をもっているため、自然の力で腐朽菌や害虫の侵入を防ぐことができます。また、寸法の安定性がよいという特性もあり、外壁材やウッドデッキ材などの用途にとても適しています。ただ、日本では、都市を多く焼失した経験をもとに、燃えない都市を目指すようになっていったため、外で木をつかう、という事例が極端に少なくなり、当時レッドシダーに興味を持つ人がほとんどいなかったのだと思います。今から考えると、そんな、人が買わないというところに、何か可能性のようなものを感じたのかもしれません。
高広木材
建材ナビスタッフ:逆にチャンスを感じられたというわけですね?
渡辺:そういうことです。でも、買ってきたはいいけど、やはり簡単には売れませんでした。もともと当時は誰も見向きもしなかったわけですから。その頃はわれわれも、構造材の卸売りでなんとかビジネスを継続していましたが、過当競争が進んでいくと、採算が悪くなることは目に見えていました。そこで、たとえ時間がかかったとしても、独自性を打ち出す商品として、レッドシダーを育てていこうと決めたのです。それから25年になります。
建材ナビスタッフ:日本にレッドシダーが広まるまでには時間がかかったのですか?
渡辺:本当に少しずつ、という感じです。最初はサンプルの発送ばかりしていました。そのうちに、自分で体験しないことには新しい道を開拓できないと思うようになりました。まずはレッドシダーを使って自宅を建てるところから始め、次に会社を丸ごとレッドシダーのショールームとして作り替えたのです。弊社も苦しい時期で、かなり思い切った投資でしたが、それが高広木材の転機となりました。20 年前のことです。
建材ナビスタッフ:商売の方向性は、どのように変わっていったのでしょうか。
渡辺:やはり、大量生産品の価格競争から、「こだわる人向け」のオーダーメイドに対応する商売へと変わっていったと言えると思います。同時に、自らレッドシダーを実際に使う経験を重ねたことで、経年変化を体感でき、日本の気候に合わせた施工方法やメンテナンスのアドバイスができるようになったことは、現在の高広木材の強みになっています。
建材ナビスタッフ:御社のホームページの物件レポートを拝見しても、ひとつひとつの物件にこだわりが感じられますね。
佐々木:例えば、最新のレポートでは、施主の方が直接高広木材に問い合わせてレッドシダー製品のサンプルを取り寄せ、自らいろいろな塗料を試す、というエピソードを紹介しています。「木をつかった家にしたい」というこだわりを形にした事例を掲載することで、同じように自然素材を家づくりに取り入れたいと考える方の参考になれば、という思いから、物件レポートを企画しました。また、建築家の方に向けても、木材の種類に応じた使い方などを把握した上で、適材適所に材料を選択してもらうための情報発信をきちんとしていくことで、レッドシダーを建築に取り入れる機会を増やしてもらえたらと考えています。
高広木材
建材ナビスタッフ:御社のホームページには、施工についてのアドバイスや、どこが大変だとか、どういうふうに悩んだとか、お客様の生の声がすごく反映されていますね。非常に価値の高い情報が詰まっているなと感じます。
佐々木:ありがとうございます。そう言っていただけると、嬉しいです。心がけているのは、きれいなところだけではなく、10年後はどうなのだろうかなど、そういったこともきちんと伝えていこうと。社屋をメンテナンスした際のレポート記事も、そんな考えから掲載しました。外壁材は、14年経過して部分的に傷んでいる箇所もあったのですが、ありのままを見せています。木は「~年で腐る」と一概には言えない。直射日光のあたり具合や水切れの良し悪しなどで10 年後の状態がかなり違ってくる、ということを伝えたいと思いました。普段営業活動をしていて、電話などで経年変化に対する質問であるとか、メンテナンスの不安などをダイレクトに聞く機会があるので、そういったことこそ、必要とされている情報なのでは、との思いがありました。
高広木材

一般ユーザー様大歓迎!! これからの新木場をWebでアピール

建材ナビスタッフ:御社では、レッドシダーのウッドデッキ材の販売もされているそうですが、最近、新木場のメーカー様の間で、ウッドデッキの正しい扱い方などを広めていこうという動きがあると伺いました。きちんとした情報をユーザーに提供していくことは、今後ますます必要とされる、ということでしょうか。
渡辺:ウッドデッキ協会のことですね。デッキ材と一括りに言っても、私どもが扱うレッドシダーはカナダ産ですが、その他にも南アメリカ、アフリカ、東南アジアなどから腐りにくい木が集まってきています。弊社はカナダ産レッドシダー材の代表としてデッキ協会に参加させていただいていますが、各社扱う材料はそれぞれです。商売のことだけを考えると、お互いライバルとも言えますが、目指すところは、木材をつかってもらうこと。樹種の違いはあっても、同じ自然素材を扱うプロとして、木材を使うにあたり、やはり正しいメンテナンスとか、効率的な施工方法とか、そういうことを広めていくことが必要だと思います。
建材ナビスタッフ:建材ナビに参加される新木場の業者さんには、御社のようにオーダーメイドに特化している、あるいは施主の希望を聞き、それをカタチにして行きたいなど、今後の展望を前向きに考えている方が多くいらっしゃいます。建材ナビでも、高広木材様の今後の情報発信のお手伝いができれば、と考えています。
佐々木:Google やYahoo! などの検索エンジンでは、「レッドシダー」とか、「木の外壁」というキーワードで、高広木材のページが上位になっているので、「レッドシダー」という単語を知っていれば、高広木材にたどり着きやすい。でも知らない場合は、さまざまな建材の中から好みのものを探すことになります。そのような時には、やはり建材ナビのような、いろいろな情報が集約され、検索がしやすいウェブサイトを利用するのがとても便利です。高広木材にとっても、商品に興味を持ってもらえる機会が増えるので、建材ナビはとてもいいサービスだなと思っています。今後とも、よろしくお願いします。
高広木材
MANUFACTURER
メーカーインタビュー
建築建材メーカーに業界のこと、製品のこと、施工実績のことなど、モノづくり企業としての想いを語って頂くインタビュー記事です。
先月よく読まれている記事
株式会社ヒロコーポレーション|「剥落防止に一切妥協無し!」常識を打ち破るアイデアとは?
緑川化成工業株式会社|飛沫防止パーテーション引き取りキャンペーン開始!
株式会社セイショク|繊維産業の抱えている環境問題から生まれた「NUNOUSⓇ」で人の新たな関係を結ぶ
株式会社アップルゲートジャパン|アメリカ最高水準の施工技術を日本に導入し、セルロース断熱の普及に努める
装飾材に「曲がる」という画期的なインセンティブを加える みはし株式会社|すまいリング(メーカーインタビュー)