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  • 掲載:2021年2月19日 更新:2021年2月19日

「剥落防止に一切妥協無し!」常識を打ち破るアイデアとは?

株式会社ヒロコーポレーション

今回ご紹介する建材メーカー
株式会社ヒロ コーポレーション
株式会社ヒロ コーポレーション
代表取締役 田島 洋
茨城県那珂郡東海村舟石川636-30
029-287-0505
http://hiro-kanshiki.jp/
内・外壁の仕上げ材として、その耐久性やデザイン性を考えた上で、タイル・石材以上の仕上げ素材はありません。
にもかかわらず、安全性の面でタイルの使用は様々な問題を抱えており、木造、鉄骨造のような動きの大きい建物に対し変形しないタイル、石材では地震時における振動や建物の変形に対して追従できず、剥落事故が簡単に起きてしまっているのが実情です。
地震国・日本で、私たちヒロコーポレーションは、「ヒロ結合工法」が必ず必要なものであると考え、建設の安全性の実現に尽力していきたいと考えております。

タイル業界48年の実績を持ち、安全な耐震タイル張り工法を提供し続けるヒロコーポレーション。 この度、発明協会が主催する表彰事業のうち、令和元年度の地方発明表彰に同社の工法が選ばれました。 タイル関係の工法でこれまでに数々の特許も取得しており、今後の発展と発明にも期待が寄せられてます。
今回は、同社代表の田島氏に製品の開発秘話や、今後の展望などについて伺いました。


タイルや石材を安全に張るための様々な工法を生み出す

「剥落防止に一切妥協無し」という理念とは

田島:元々私の会社はタイル工事店からスタートしています。ご存知のようにタイルは焼き物ですから、壁に張ると割れて落ちるという危険性がありますので、落ちてはいけない、危ない、とそういう思いが始まりなんですね。

実際タイル工事店は48年やっています。現場をやってて何とかタイルが壁から落ちない方法はないものかと模索してきました。個人で実際に建物を借り、実証実験を繰り返し、実績を作って、特許も自腹で取得してきました。

今までの技術を完全否定するものではないですが、タイルというものは壁に張れば、ずれが生じ、剥がれます。
ですからそもそも壁に張るという発想を変えないと駄目です。
しかし、そう説明しても全く分かってもらえません。

「何百年もタイルを壁に張って来たんだから、今更何を言っている」
「何を考えている」

職人からもゼネコンからも言われてきました。

タイル業界というのは大手さんも多く、なかなか同じ土俵では戦えません。
ですから私としては、分かる人だけに使ってもらえばいいという気持ちでずっとやってきました。

特許の数は40件以上取得されているとか

田島:うちは大企業というわけではないですから、紹介や、他企業さんからの援助もあったりで何とか今までやって来れました。
お客さんが望んでいるものを何とか提供したいという気持ちだけでやってきました。
苦労しながらも続けてきた結果、特許取得数は40件以上にもなりました。

株式会社ヒロコーポレーション
大型タイル施工例
株式会社ヒロコーポレーション
中小企業庁長官賞
日本は地震国です。剥落が多くなるとタイル業界そのものまで危うくなります。
剥落防止技術の特許を保有していることで、最近は海外からも協力の要請が増えてきました。


常識を打ち破り、床用のタイルを壁に張るというアイデア

株式会社ヒロコーポレーション

特許のアイディアはどこから

田島: 普通の発想だと数字的な計算式から始まるものですが、私たちの場合は数字より経験値から割り出した方法で試作品を作り、剥落しないかの実験を何度も重ねて行きます。
コストも莫大にかけて試作し、ようやく特許という処で駄目になった、型を作ったが使い物にならなかった、などの失敗もたくさんありました。

中小企業庁長官賞を取った「ビームハール工法」について教えてください

田島: ビームハール工法は、大きなタイルを壁に張るための工法です。 床用の大きなタイルは、普通壁に張ることはできないのですが、それを実現させました。

ビームハール工法は、壁に接着する一般的な方法ではなく、金物と接着剤と石材やタイルを一体化させる工法です。 石材やタイルを安全に張るための工法で、他のほぼ全ての商品の基本となっています。 
最近では、1600角などの大きいタイルを壁に使いたいという要望なども増えてきています。


工法の安全性が認められていないタイルを使いたいという相談があれば一生懸命考えて実現させています。 そういう努力を40年続けているので、徐々にいろいろなところで評価され、使われるようになって来ました。

ビームハール工法とはどれくらいの地震に耐えるのでしょうか

田島: 今までのどの震災にも耐えてきました。大震災も乗り越えてきましたし、大震災を想定した実験も含め、動的実験の剥落という問題も全てクリアしています。 海外のタイルはスケールが大きく技術も高いので張るのは難しいのです。 そのため、工事業者さんや職人さん、メーカーさんなどを時々集めては勉強会もやっています。

ペルーの日本を代表する建物の施工に行かれたとか

田島: メイドインジャパンとしてぜひ協力してほしいとのことでした。 しかし、東海村から出たことないし、ペルーでの仕事なんて受けられないと最初は断ったのですが。。。(笑)
「1週間だけでいいから。職人さんの指導をお願いしたい」と熱心に頼まれ行くことにしました。

ところが、行ってみたら現地の職人は優秀さにはびっくりしました。
安全、安心な施工を日本より真剣に考えていました。


地震や微振動に耐え、安全に施工する技術をひたすら追求

株式会社ヒロコーポレーション

印象に残っている案件などはありますか

田島: それぞれが印象深いですが、上野駅の工事は感動でした。20年がかりでやっと認められたJRの工事だったので。
絶え間なく微振動の続く駅のレンガ造りの施工でした。

実はこの案件、当初ちょっとした騒ぎになったんです。
関係者がうちの工法を初めて見て、「こんな工法は見たことが無い!」というので説明を求められたのです。 それで説明をするのですが、なかなか理解してもらえず、「数値で示せ」と言われて。

数値で説明するのは難しいので、そのときは自社のショールームに来ていただいて、工事を再現してやっと納得してもらえました。

そんな経緯があってか、それからは何か困った案件があると「いい会社があるよ」とうちを紹介して頂けるようになりました。 それでまた、次の仕事に繋がるようになりました。

上野駅の工事の後は、神田、新橋駅と続きました。


東日本大震災の時はいかがでしたか

田島: あちこちであの地震に耐えたという実績はできました。
多くのお客様から、

「隣の石膏ボードは落ちているのにうちの壁だけは落ちていなかった」
「張っていたレンガタイルが剥がれていなかった」
「大谷石が1枚も剥がれなかった」

などの喜びの声をいただきました。

金具を使うので、初期コストは多少かかりますが、安全第一を考えれば長期的に見て経済的となります。


タイル業界の今後も含め、先々の展望は

田島: タイルは地震等に対して剥落などの問題を抱えています。危険だから張らない方がいいのではという声も受けており、タイル業界は、業界規模が半分以下になる危機に直面しています。
だからこそ壁にタイルを安全に張るということにこだわり、理解してもらえるよう、一生懸命これからも頑張っていくつもりです。
「この工法なら、安全性を確保した施工ができますよ」ということを、これからも訴え続けて行きます。

ヒロコーポレーションは様々な特許取得、賞を受賞しています。国内のみならず、イタリアをはじめ、高いデザイン性と技術を持つヨーロッパ各国のタイルメーカーが、注目するノウハウやソリューションについてさらにお伺いしました。


本物に近いタイル技術はイタリア製ならでは

株式会社ヒロコーポレーション

ヒロ結合工法とはどんな工法

田島: これまで壁面に張り付けていたタイルや石材を、特許製品の金物と組み合わせることにより剥落防止に特化させる工法です。
タイルや石材の大きさに合わせて、使用する金物を変更することにより、あらゆる躯体に施工することを可能にしたユーザーファーストの新しい技術です。 地震の際、躯体と異なる動きをすることで、剥落することなく、大きな揺れに対して安全性が向上します。


新シュタールネット工法とビームハール工法の違いは

田島: 300㎜以下のタイルは新シュタールネットという工法、それ以上になると、新ビームハールや、ビームハール工法となります。 大きさとか、厚みとか、重さによって選びます。
株式会社ヒロコーポレーション
新シュタールネット工法
株式会社ヒロコーポレーション
ビームハール工法
大判タイルが流行っているうえに、賞をもらっているビームハールシリーズは人気なのですが、実はビームハールも新シュタールネットも理屈の上では一緒です。 タイルの大きさと形によって金具が違っているだけです。
なので、うちではそれらを全部まとめて「ヒロ結合工法」という総称で呼んでいます。

「賞」を頂くときは、どうしても一つの特許に対してとなります。 中小企業庁長官賞は、ビームハール工法に対しての「賞」であり、ヒロ結合工法に対する「賞」ではありません。

実は今年も、「新シュタールネット」で「関東経済産業局長賞」というものをもらっています。 うちのような小規模企業がもらうのって本当に奇跡なんですよ。


海外のタイルメーカーが見学に

田島: そうですね、海外では厚さ6㎜で巾が3mなどどいうタイルも造る技術がありますから。
例えば、この壁(写真下)は、プリントの技術なのですが、木の質感が本物に近いタイルです。 これはやっぱりイタリアじゃないと造れないですね。 これが本物の木であれば10年に一度は塗り替えが必要ですが、タイルなので何もしなくても済みます。うちのショールームではあえて、施工途中を見せるようにしています。

こちらは(写真下)木目をあえて揃えず、ランダムに張ってます。 このようにランダムに張れるのが他にはない技術なのです。


厳しい環境のトンネル内部補修もセラミックパネルで解決

株式会社ヒロコーポレーション

トンネル内の補修などはどのように

田島:トンネル内のタイルが飛び石で割れて飛散してしまったら事故が起きてしまう。
だから「絶対タイルを落としてはいけない!」という中での開発でした。

既存のトンネル用タイルパネルは、ボードに接着剤のみで張っているだけです。
うちのパネルはタイル一枚一枚が金具で固定されているため、トンネル内の劣悪な環境にさらされてもタイルを落とさないようになっています。
特殊な接着剤とガラスメッシュを使用することで、万が一車が接触しても、飛散しないように対策をしています。

このパネルが完成したのも、「タイルを落としてはいけない」という長年の建築実績の上に出来たものと思います。


無理難題から新しいものを生み出す力を強みに

株式会社ヒロ コーポレーション

今後の新たな注目商品は

田島:先ほども話したように、今超大型のタイルが注目されていて、海外から沢山の種類が入って来てます。
大きさが約3mもあるので、軽くするために、3㎜~6㎜と大変薄く作られています。 これを外壁に安全に張るというのがとても難しいのです。 なので、トンネルパネルで開発した飛散防止技術や、これまで何度の地震にも耐えてきたレールによるスライド・ロッキング の免震技術を集結させて、この難題に取り組んでいます。

モックアップをいくつも作ったり、実際の現場にも使用したりして、この開発も大分進み、工法として成り立ってきました。
超大型のタイルに興味がある方にぜひ注目して頂きたい商品です。

まだまだ努力は必要ですが、世の中の石材好き、タイル好きのユーザーさんがどんなものを求めてきても、安全で安心できる工法を提案できるよう頑張っていきます。

無理難題から新しいものを生み出すことができるのがヒロコーポレーションの強みです。 


より良いモノづくりを追及、その結果が特許という形に

田島: 特許は有効期限が出願日から20年です。それを維持するためには、また一歩先取りした特許を取らなきゃいけない。
新規性がある技術じゃないと取れないですし、プラスアルファしたからって取れるものでもない。

特許を取るのは大変なんです。でも、うちのような小規模企業が生き残るには特許じゃないと意味がない。
数か月違いで他人に特許を取られてしまったこともあります。でも逆にそれが燃える。
より良いもの作ろうというという気持ちと、新しい特許取得のエネルギーになっています(笑)
MANUFACTURER
メーカーインタビュー
建築建材メーカーに業界のこと、製品のこと、施工実績のことなど、モノづくり企業としての想いを語って頂くインタビュー記事です。
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