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  • 掲載:2022年11月18日 更新:2022年11月18日

木材界の老舗のひとつ、協和木材産業の代表取締役社長 河合信一郎氏に伺った「新木場」の今後

協和木材産業
今回ご紹介する建材メーカー
協和木材産業
協和木材産業株式会社
代表取締役社長 河合信一郎
〒136-0082 東京都江東区新木場1-13-4
http://www.kyomoku.co.jp/
「新木場」という地名は木材取引のシンボル的な存在として知られる。東京メトロ、JR、りんかい線が乗り入れる新木場駅は平日の朝夕は主に通勤・通学客で混雑し、休日は主に東京ディズニーリゾートや葛西臨海公園、お台場などへ向かう行楽客で賑わう。また、幕張メッセや東京ビッグサイトでのイベント開催時にも混雑することがあり、巨大都市東京と千葉を結ぶ人的交流拠点でもあり、陸上、海上を併せた物流拠点でもある。
このような新木場の地の利を生かし古き良き時代から代々受け継がれてきたビジネス形態が、原材料としての「材木」の取引である。然しながら、この取引形態もここ「材木の街」に押し寄せる時代の変化により、いま新たな舵取りを迫られている。本日は、この地で長年様々な木材を取り扱ってきた木材界の老舗のひとつ「協和木材産業株式会社」代表取締役社長 河合信一郎氏に、「新木場」の今後の展望について伺った。

時代の流れに伴うビジネススタイルの変化

建材ナビスタッフ:新木場といえば「材木の街」として、筏状に組んだ丸木が水に浮かんでいるようなシーンが想像されるのですが、最近の新木場におけるビジネススタイルも変わってきたと伺っています。どのように変化しているのでしょうか。
河合:建材がここまでいろいろな種類が無い時代からですので、周りの状況や供給するものも変わってきました。もともと木材を使って住宅を建てていましたが、木材は貴重な資源ということもあり、例えば、集成材などもそうですが、無駄にしないよう細かいパーツを組み合わせて1 枚の板にするという製品に変化して行きました。
基本的な考え方は、丸木という大きなものから小さいものにしていく。つまり、製材して板を作っていき、規制サイズに満たないところもでてくるので、フローリングをとったり、最後細かいものを取ったりと。
やがて、無駄なく有効利用するという考えから、集成材が生まれたと聞いています。要するに小さいものから大きいものを作っていくという発想の変化が、無垢の「建材」というところに発展して行ったと思うのです。 限りある資源とそういう人工的なものとの共存共栄という形で発展したのだと思います。
協和木材産業
建材ナビスタッフ:昔は構造そのものというか、家を作るのは全て『木』だったわけですね。
河合:その昔は木造住宅です。もちろん構造において木材は今でも一般的に使用されています。弊社においては基本的に造作材、つまり内装材としての取扱いがメインですので、その点では無垢材を使っての内装をする建物は昔に比べて減少し続けてきた事は確かです。ですがまたここ数年、少し無垢材に関して見直されてきている雰囲気はあるような気がします。
建材ナビスタッフ:木材も限られている一方で、なおかついいものを使いたい設計士さんなどは、質の高いものを求めていると思うのですが。そこへの対応はどのようにお考えでしょうか。
河合:やはり価値観だと思いますね。どこか違う特色を持たせる意味で無垢のものを使う、というようなアプローチがよいのではないかと。設計士さんなどはある程度大きい物を要求してくることが多いですね。 一般的な細かい物じゃなくて、目立つところ、例えばカウンターなど幅の広い物にこだわりがあるようです。床材でも150幅や180幅など、幅広のものも需要がありますね。弊社としても建材メーカーさんなどから求められる木材は大きく、広いものですから、そういう幅広のものなどに特化して取り組むことにしています。
また、お客様もそういう物を求め、価値観を感じてくれている方が多くなってきたのではと感じています。また、無垢でも75幅や90幅などのタイプは、標準的なタイプですからどうしても価格の競争にもつながってきてしまいます。そもそも素材自体が天然のものですから、価格の競争にも限界があります。 無垢材は、複合フローリングのように大量生産ができないですから部材屋としては価格よりも、素材としての価値を感じて頂きたいので、どんどん素材の良さをアピールして行かなければいけないと思います。
協和木材産業

手のかかる広葉樹へのこだわりはどこから

建材ナビスタッフ:御社ではポピュラーな針葉樹より、手のかかる広葉樹に力を注いでいるのはどうしてでしょうか。
河合:昔から弊社では広葉樹をメインに扱ってきました。創業は昭和22年ですが、その頃から北海道の広葉樹であるナラやカバ、タモなどから始めています。昭和40年代の頃には南洋材のラワンが全盛期となり、現地での製材やここ新木場においてもかなりの量の丸太を挽いたと聞きます。その当時を振り返ると毎日毎日ラワンの製材におわれ他種の木材に手がまわらないという状況だったようです。
しかしながらそのような状況が続く中、広葉樹は広葉樹でもやはりそもそもの自社としての芯となるものがなければならないという思いがあり、それが北海道産広葉樹であり、こだわりという思いだったそうです。 昨今においてもその広葉樹への思いはかわっていません。そう思うと価値、魅力など理由は多々ありますが、総合すれば弊社の歴史の過程が一番の広葉樹への力をいれている理由になるのだと思います。

扱いにくいゆえの存在価値

建材ナビスタッフ:針葉樹と広葉樹ではずいぶん手の掛け方が違うものですね。
河合:針葉樹も含め木材全般的に管理は大変ですが、広葉樹は本当に乾燥の過程でのリスクは多いですね、割れたり狂ったりと・・・。半年から1年天然乾燥した後、1ヵ月以上人工乾燥し、そこから初めて売り物になるわけですから。言ってみれば回転率は12カ月とか12.5カ月とかになるので、効率はよくないですね。
実際に丸太から内装に使える木が出てくる割合は20%~ 30%くらいとなります。さらに工場で加工する段階で、その20 ~ 30%のうちの50 ~ 60%が歩留まりとして残ります。そして後は仕上げですが、その仕上げの段階でさらに減るわけですので、一体1 本の丸太からどれだけ取れるのかと考えると、本当に価値のあるものというのがお分かり頂けると思います。家具になる原料などは比較的無駄なく使えるのですが、内装の場合はある程度の長さが必要だったりで、それだけでも内装材に使う場合は価値のあるものだといえます。取扱い業者からみて材木と建材との一番の違いは何かなと考えたのですが、木材は環境による変化がある一方、建材の方は木材と違って狂わないですし、使い方や便利さなど追求してよいところをアピールしやすい、つまり扱いやすいところが一番の違いかなとも思えるのです。
建材ナビスタッフ:それだけ手が掛かっても広葉樹にこだわるのは、なぜでしょうか。
河合:木材は扱いにくい半面、そのものの存在価値というようなものがありますから。自己満足かもしれませんが、お客様に満足して使ってもらえるという自負があります。うちのように実際にお客様に木材を原料の段階で見てもらって、それを形にする。限界はありますが、それをすることによってやはり、施主の方が原料から選んだものを加工して使うことに愛着を持ち満足感を得るというところがいいのだと思います。
私たちも木材の製材のため北海道などへ行き、あれこれ選びながら回っている時に、感動や喜びを感じています。施主の方にも、木材を原料の段階から見て選んでふたつとないものの価値を感じてもらえたらと思います。カタログに載っている写真だけでは何とも言えない場合でも実際に見て触っていただければその良さや、違いを実感していただけるものと思います。
建材ナビスタッフ:本当にそうですね、やはり写真では良さを実感できないことが多いですね。実際に、御社には施主の方が見に来られたりすることもございますか?
河合:そうですね、最近増えていますよ。やはり、加工までやるようになってからですが、以前は製材品を販売するだけだったのですが、時代の流れとともに必要性に応じて利便性をより追求するために、ここで加工までやるようになっていきました。他で製材を購入して、加工をする為にまたどこかの場所へ持っていくというのも手間がかかる事です。それを1箇所でやれることでお客様も満足して頂けていると信じていますし、弊社のメリットにもなっています。協和木材産業株式会社という会社がお客さまにとって必要である存在でなくては意味がないと思います。つまりお客様が要求していることに応えていける企業であることが、ひいては従業員も幸せ、会社も永続して行けることなのだと思いますね。無垢材というのはなかなか一般的には入手しづらいもので、理想のイメージに近い色や形を注文通りに探し、提供させていただくということも価値のひとつだと思います。
協和木材産業

木材の魅力を積極的に発信するツールとしてネット活用に期待

建材ナビスタッフ:なるほど、一般の人たちがわかりにくい原材料としての木材の専門家が集まるところ、それがここ新木場というわけですね。
河合:そうです。でも実際には皆さんに木材をアピールする場がそれほどあるわけではないのが悩みどころですので、「建材ナビ」を通して、木材のことをあれこれ発信していきたいと思っています。 基本的に昔の広葉樹業界というのは、ある意味、閉鎖的な業界だったと思います。通常のお取引では、なにかしらの契約書、売買契約書などを交わして、そこにお互いに署名するという、他の業界では普通に行われている習慣がなかったのです。 ただ、信頼関係というか、よほどの大きい契約か長期計画でする事業のときなど以外は、売買契約書も交わさない、信頼関係だけで成立していた、いわば、文化のようなものだったのです。だから当時一見さんというお客様はいなかったと聞いています。そのせいか実際初めてのお客さんにはつい、構えてしまうみたいな場合があったことも確かですね。
建材ナビスタッフ:売買契約書も交わさず信頼関係だけで成立しているような特殊なこの業界ということですが、インターネットの浸透などで、今後変わっていくという展望はお持ちでしょうか。実際に途中経過ではありますが、「建材ナビ」 で御社をご紹介した結果、お問い合わせや資料請求、御社HPへのアクセスなどが増えてきているのですが。
河合:今まで信頼関係 でやってきたものですから、ネット販売ということになると、行き違いなどが心配になる部分もあります。実際に、来ていただいて、見て、触れてこれだと思っていただきたいというのはあります。
インターネットのいいところ、例えば、全国的にアピールできるというのは魅力だと思いますが、フローリング材などの半建材ともいえるものはさておき、カウンターや内装材などは、ぜひ来て実際に見ていただいてから決めてほしいというのはあります。 木材の選定から、コストの面など私たちも力を入れて少しでもお客様によいものをご提供したいという思いでやっていますので。木にもいろいろ表情があり、売れる木、いわゆる人気の高い木以外にも、木肌や色合いに味わいのあるものもあり、それが好みだというお客様もあり、いろいろで10人10色ですが・・・。 
私たちも木に愛着があってこの仕事をしていますが、好みは色々です。
建材ナビスタッフ:「建材ナビ」で無垢材の良さ、価値観をPRするためには、他の大量生産が可能な建材とは違う方法で、例えばユーザーさんの無垢に対する声や意見を取り上げて行くようなことをしていかなければと思います。売り手と 買い手の相互コミニュケーションを図ったり、一緒に作り上げて行くような手法がよいかなと感じます。
河合:木材販売業者も各社それぞれ変化を遂げてきて、今があると思います。弊社においてもただ木材をそのまま販売することから加工も一緒にやるようになり、目的に向かっての展開はしてきました。今後の展望として、弊社協和木材産業は表舞台に出る事が目的ではなく、あくまで裏方として、良いものを提供することに徹しようと思います。
表舞台に立つという事は限りある資源がゆえ、逆に良いものが提供できなくなるからです。売ることや数に追われ、がさつになって行き、供給の質が低下する恐れがあるのです。お客様の要望に丁寧に答え、結果喜んでいただくというのが私たちの会社の存在価値であり、お客様が必要としてくれる会社でありたいという願いがあるからです。販売から販売後のケアまできちんとお客様に提供し、いわば縁の下の力持ちのような存在であり続けるのが私たちのポリシーです。 昔の新木場は木材業者が700社くらいあったそうです。現在はその半分にも満たないのが現状です。近年東京というのはモノを作る場所ではありませんが、大きなマーケットとして新木場地の利は便利だということですね。ここには人は住めませんが、都心に近いですから流通業などが多いですよ。でも新木場において、木材だけで今後やっていくのは難しいのではないでしょうか。いわゆる流通の基地としての役割や、木材だけに限らず様々な物流の拠点として発展していくのが良いと思います。
新木場という木材の街としての知名度はありますが、ハウスメーカーさんや家具のようなショールームを作るのも容易ではありません。そこで今回「建材ナビ」が私たちとユーザーさんのよい窓口となって、もっともっと木材の良さを知っていただくようになればな、と願っています。過去にそういうアピールのすべがなかったので大いに期待していますよ。
協和木材産業
協和木材産業
MANUFACTURER
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建築建材メーカーに業界のこと、製品のこと、施工実績のことなど、モノづくり企業としての想いを語って頂くインタビュー記事です。
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