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掲載:2022年07月01日 更新:2022年07月01日

「クローゼット」と「押入れ」の違いを徹底解剖


収納スペースには、さまざまな名前があります。
「シューズクローク」「パントリー」「クローゼット」「押入」「納戸」。それぞれの収納スペースには何を収納するのか、具体的に打合せしたことはありますか。

「クローゼット」と「押入れ」の違いを徹底解剖


クライアントと打合せをしていると、意外と収納スペースの名前と、中に収納したいものが食い違っていることがあります。以前の打ち合わせで、「パントリーが欲しい」とおっしゃるので、食品庫をイメージして話をしていたのですが、途中でどうにも話がかみ合いません。

収納するものを具体的にお伺いすると、必要なのはパントリーというより、アウトドア用品なども収納できる「納戸」だったのです。収納スペースの名前にとらわれることなく「そもそも、ここには何を収納する予定なのか」をしっかりヒヤリングして、収納計画を練らないといけません。

そして、収納の中での「クローゼット」と「押入れ」の違いについて、設計者側もクライアント側も勘違いしたまま打合せが進行することが多いように感じています。今回は、そんな「クローゼット」と「押入れ」の違いについて深堀りしてみたいと思います。


1.「クローゼット」と「押入れ」の基本寸法


「クローゼット」と「押入れ」の一番大きな差は、収納の奥行です。一般的に販売されている収納用品の衣装ケースを見てもクローゼットサイズと押入れサイズがありますが、違いは奥行です。

クローゼットの奥行は有効寸法で600mm前後。これは、ハンガーパイプに洋服を掛けるときに必要とされる寸法です。収納スペースのちょうど中央にハンガーパイプを設置すると、前後に無駄な余白がなく収納できる最適寸法です。

「クローゼット」と「押入れ」の違いを徹底解剖

それに合わせて、衣装ケースも500㎜前後のものが販売されています。

押入れの有効寸法は800㎜前後。これは、木造住宅の大半が910㎜モジュールで建てられていることから、壁厚を引いた有効寸法になります。この寸法は、敷布団を3つ折りにして収納するのにピッタリサイズ。畳に布団を敷いて寝ることがスタンダードだった時代は、この押入れがどの家にも必ず必要でした。この奥行に合わせて、押入れ用の衣装ケースは750㎜前後で作られています。

「クローゼット」と「押入れ」の違いを徹底解剖

今でも、この押入れサイズのまま、表記だけクローゼットと変えている間取りをよく見かけます。「大は小を兼ねる」ということなのでしょうが、残念ながら収納の場合、大は小をかねません。
深すぎる収納は、確実に使いにくくなってしまいます。

既に建っている家なら、工夫して使うしかありません。せっかく新築でこれから建てるのに、わざわざ使いにくい奥行きの押入れをつくる必要があるのか。
一度、じっくり検討してみてください。



2.「クローゼット」の設計パータン


クローゼットの奥行は有効で600㎜です。前にも述べたように、この奥行があればハンガーにかけた大人の洋服を掛けることができます。この奥行きで、どのような収納のバリエーションがあるか、考えてみたいと思います。

①ハンガーパイプ+枕棚

一般的に多いパータンがこのタイプ。ハンガーパイプの高さは1600~1800㎜にすることが多いかと思います。クライアントの身長にあわせて、使いやすい高さにしましょう。

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②ハンガーパイプ+枕棚+可動棚

収納棚に洋服だけでなく、カバンなどの雑貨類を収納する場合にオススメの組み合わせです。子ども部屋は洋服だけでなく、学用品なども収納することが多いので、このパターンが使いやすいですね。

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③すべて可動棚

クローゼットの奥行でも、季節家電や雑貨類を収納する「納戸」として使う場合は、可動棚にすることもあります。収納するものの大きさを確認して、収納棚1枚分の幅を決めましょう。

「クローゼット」と「押入れ」の違いを徹底解剖

④オープンスペース

手持ちのタンスが捨てられないので持っていきたいけれど、収納の中におさめてしまいたいという場合は、何もないオープンスペースにすることがあります。婚礼タンスなど、“どうしても手放せないけれども表にはおきたくない”という場合には、タンスの引き出しが確実に開くように、扉の開口有効寸法を確認しましょう。

「クローゼット」と「押入れ」の違いを徹底解剖


3.「押入れ」の設計パターン


①布団棚+枕棚

押入れの基本の形です。奥行の深い布団棚と奥行の浅い枕棚を組み合わせて使います。それぞれの棚の高さを決めるときには、収納するものの高さを確認して、必要な有効寸法を確保するようにしましょう。

「クローゼット」と「押入れ」の違いを徹底解剖

②布団棚+枕棚+ハンガーパイプ

一間幅の押入れの幅は1700㎜ほどありますが、そのまま布団を置くと横に少しスペースが残ってしまいます。布団収納用に1200mmを確保し、間仕切りをしてコートなどをしまっておくためのハンガーパイプを取り付けるのもおすすめ。

「クローゼット」と「押入れ」の違いを徹底解剖

③布団棚+可動棚

こちらも1200mm幅の布団棚を用意し、残りスペースは可動棚にします。奥行が深いので、毎日使うものを収納するには不向き。季節家電など出し入れする頻度が少ないものを、収納するためにピッタリのスペースになります。

「クローゼット」と「押入れ」の違いを徹底解剖


4.布団収納の押入れは幅に注意


一般的な押入れの寸法が、実は布団収納に不向きであることは知っていますか。

布団のサイズは1000㎜×2100㎜。三つ折りにしたとして、ざっくり1000㎜×700㎜です。押入れの幅が一間サイズだとすると、引き違い戸の片側を開けたとして、入り口の有効寸法が825㎜くらいになります。つまり、押入れに引き違いの襖戸だと布団がとても入れにくのです。

「クローゼット」と「押入れ」の違いを徹底解剖


押入れを布団収納にする場合は、扉を開けたときの有効寸法が1000mm程度とれるように、扉の形状を考えておかないといけません。

①3枚引き戸を採用

2枚の引き違い戸ではなく、3枚連動引き戸にすると、1000㎜以上の開口を確保することができるので、布団が収納しやすくなります。

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②両開き戸を採用

押入れの幅が0.75間の場合は、両開き戸にすると、ちょうど布団を収納するのにピッタリの幅になります。

「クローゼット」と「押入れ」の違いを徹底解剖


5.クローゼットの扉のカタチにも注意


クローゼットの扉で、もっとも多いのが折れ戸だと思います。メーカー建材の収納扉でも一番寸法バリエーションが多く、コストもお得なので、 “とりあえず扉は折れ戸“で設計されていることは少なくありません。

ですが、扉の形状にもメリットとデメリットがありますので、その違いを理解した上で、最適なものを提案したいですね。

①折れ戸のメリットデメリット

折れ戸は開けたときに、全体を見渡すことができるのがメリットです。その一方で、左右に建具が残るので、扉の有効開口寸法がせまくなってしまうのがデメリットです。中に衣装ケースや引きだし収納を収める場合は、扉と当たらないかの確認が必要です。

②引き戸のメリットデメリット

引き戸は開けるときに手前に出っ張ってこないので、家具などと干渉する心配がないのがメリットです。その一方で、左右どちらかしか開けることができないので、開け閉めの頻度が増えることがデメリットです。

③扉をつけないという選択もある

実際に使っていると、クローゼットの扉の開閉が面倒で、結局開けっ放しになってしまうということも珍しくありません。子ども部屋などは、扉をつけずにオープンクローゼットとして提案するのもおすすめです。

「クローゼット」と「押入れ」の違いを徹底解剖


6.まとめ


「押入れ」と「クローゼット」に違いについて、さまざまな組み合わせをご紹介しました。収納は奥行が深すぎると、モノの出し入れがしにくくなってしまいます。収納するものにあわせて、ピッタリ合うパターンと扉の組み合わせを提案できるようにしてみてください。


著者(和田さや子)プロフィール

一級建築士/ライフオーガナイザー/建築カラープランナー
注文住宅の設計を続ける傍ら、ライフオーガナイザーとして整理収納セミナーも開催している。 建築士として住宅設計を続けて18年。 サスティナブルな家づくりがこだわり。

ブログ「子育て世代・共働き夫婦のための片づけに悩まない家づくり」 






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