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掲載:2022年03月24日 更新:2023年03月07日

家族の成長とともにフレキシブルに運用するリビング収納


リビングダイニングは、家族が長い時間を過ごす場所です。人が集まるところにはモノが集まりがち。ダイニングでは食事だけでなく、子どもが遊んだり、勉強をしたり、家事をしたりと一日中フル活用です。

リビングは本来リラックスする場所ですが、家族の私物が持ち込まれて、部屋に戻すことができずに放置されがち。家族が一緒に過ごす時間が長ければ長いほど散らかってしまうものです。

家族の成長とともにフレキシブルに運用するリビング収納

リビングダイニングが片づかない原因のひとつは、必要な収納が確保されていないことです。キッチン周りの収納はしっかりとっていても、リビングダイニング側に収納はゼロ。

置き家具で対応しようとすると、インテリアがちぐはぐになったり、収納量が足りなくなってしまったりします。必要な場所に必要なものを収めることができず、結果的にモノが出しっぱなしになってしまうのです。

間取りを考えるときには、”リビングダイニングにこそ”、それなりの容量のある収納を用意する。

リビングダイニングに容量の大きな収納を置くこと、その有用性についても説明できるよう、家族の成長を時系列にならべて整理してみたいと思います。



1.リビング収納はこの寸法でつくると失敗しない


家を建てるタイミングは人それぞれですが、筆者の体感として一番多いのは、結婚してから子どもが小学校に入るまでの年代です。小学校に上がってからの転校は子どもに負担をかけるから、と考える家庭が多いようです。

小さな子どもがいるときに家を建てると、ついついこの時期にフォーカスして家の間取りを決めがちです。ですが、実際は子どもの成長とともに必要な収納は変わっていきます。
さらには、子どもが独立して夫婦二人になってからの時期が相当長いことも大切な視点です。

子どもが生まれてからシニアになるまで、ずっと使いやすいリビング収納であるためには、汎用性の高いサイズであることが一番の重要ポイントです。

筆者は木造住宅専門なので、木造のモジュールで説明すると、

・柱芯寸法“幅1820㎜×奥行455㎜”
・中の有効寸法は“幅1690㎜×奥行325㎜”

このようになります。ちょうど、中央に間仕切りを立てて、必要な枚数だけ可動棚を用意してください。

家族の成長とともにフレキシブルに運用するリビング収納


・棚の奥行は300㎜ほど
・有効寸法は400㎜の倍数

300㎜という奥行は、とても汎用性が高いのでおすすめです。幅は場所に応じて前後してもいいですが、有効寸法は400㎜の倍数になるようにしておくと、市販の収納用品がちょうど収まりやすくなります。

ここに、クローゼットの用の扉をつけることで、使うときは大きく開けて、隠したいときはすぐに隠せるスタイルにします。
おすすめは、扉を開けっ放しにしても邪魔にならない引き戸ですが、閉じたときのスッキリ具合を優先したい場合は、折れ戸や開き戸でもいいと思います。

家族の成長とともにフレキシブルに運用するリビング収納


2.乳児期を快適に過ごすためのリビング収納


子どもが生まれてから、歩き始めるまでの約1年半の期間を乳児期と言います。

この時期には、ひとときも乳児から目を離すことができず、体験してみないとわからない辛さがあります。
泣いている子を抱き上げて、オムツを変え、授乳もしくはミルクを飲ませ、ようやく寝かしつけた。よし、できた時間で食事の用意をしよう、たまっていた家事をしようとすると、間もなく目を覚まして泣き出してしまい、振り出しに戻る。

2階建ての家を建てたとしても、1日のうちで2階に上がることはなく、起きてから寝るまで、ほぼ1階で過ごすのもこの時期。階段を上る時間さえも惜しいものです。

そんな、乳児期のリビング収納には、

乳児の着替え一式とオムツ、そして身の回りのお世話に必要なグッズをすぐに取り出せるように置く

このように手を伸ばして取れる置き方がいいですね。

収納の下のスペースを大きくあけて、可動式ワゴンをそのまま収納に中に入れ込んでしまえるような使い方も人気です。可動式ワゴンには、乳児のお世話に必要なモノをすべて収納しておき、必要な場所にスッと持っていくことができます。

家族の成長とともにフレキシブルに運用するリビング収納


この時期の大人の洋服も、汚れたらすぐに着替えられるようなカジュアルな服装がメインになると思います。こちらも着替えやすいよう、簡単にたたんでリビング収納に置いておくといいですね。


3.幼児期は子どもの自立のための第一歩をつくるリビング収納


自分で服を着替えられるようになる幼児期は、子どもが「自分でできた!」を増やすための仕組みづくりが必要になります。

・リビング収納をあけると、身支度コーナー
・余裕があればおもちゃの収納もこのスペースに用意

制服があれば、ハンガーにかけて低い位置にかけます。私服であれば、アイテムごとにたたんでボックス収納に入れておき、簡単に着替えられるようにしておきます。

家族の成長とともにフレキシブルに運用するリビング収納


キッズハンガーは幅が30センチくらいなので、奥行の浅いリビング収納でも「かける収納」ができます。

朝の忙しい時間、キッチンで用事をしながらも、子どもが自分で身支度する様子を見守ることができます。子ども服は子ども部屋に置くものでしょ?という思い込みははずして下さい。

子どもの「自分でできた!」を増やすこの時期は、親にとっても、「してあげないといけない」を一つずつ手放していく時期です。子ども自身が簡単にできる仕組みづくりと、親の見守る姿勢が合わさると、「もっとできるようになりたい!」と、思った以上の成長を見せてくれるものです。

収納に余裕があれば、身支度コーナーだけでなく、おもちゃの収納もこのスペースに用意できるといいですね。

できれば左右でエリアを分けて、身支度をしているときには、おもちゃが目に入らないように分けしておくことがおすすめです。洋服とおもちゃが隣においてあると、着替えないといけないときに遊び始めてしまいますから。


4.小学生期は学習習慣を定着させるためのリビング収納

家族の成長とともにフレキシブルに運用するリビング収納

毎日短時間でも勉強をするという学習習慣を身に着けるために、リビング学習はとても効果があると言われています。宿題が終わったあとは、そのままリビング収納にサッとしまうことができるのでスムーズです。
また、次の日の準備をするのも、わざわざ子ども部屋まで行かずに済むので、ガミガミと怒る必要がなくなります。

なので小学生にあがったら、

リビング収納はランドセルや学用品を置いておくためのスペースへ

家族の成長とともにフレキシブルに運用するリビング収納


筆者の2人の子も、3歳以降は保育園に行くための支度を自分でできるようになっており、それはそのまま小学校に上がってからの生活習慣に直結しているな、と感じます。


5.思春期以降は大人が自分の時間を取り戻していくためのリビング収納

家族の成長とともにフレキシブルに運用するリビング収納
中高生になり、子どもが外や個室で過ごす時間が圧倒的に長くなってくると、“子どものためのリビング収納”時期は終わります。

もし、リビング学習が定着していて、思春期も勉強だけはリビングダイニングでする場合は、テキストや参考書だけはリビングにおくケースもあります。それ以外の私物は子ども部屋の収納に移動させましょう。

家族の成長とともにフレキシブルに運用するリビング収納


余裕が出たスペースは、子育てにひと段落した親のためのスペースへ

子育ての間は我慢していた趣味を再開する方が多いのもこの時期です。

裁縫が趣味の方は、眠っていたミシンやため込んでいた布を出してきて、リビング収納に入れてみると、ふとした時間にすぐミシンを使うことができます。

読書の時間がなかなかとれなかった人は、リビング収納を本棚代わりにしてもいいと思います。買ったのに読んでなかった本たちも、手に取りやすいところに置くことで読むきっかけができそうです。奥行300㎜というのも、本棚としては適度な奥行ですね。



6.まとめ


リビング収納は、収納の“一等地”です。今の家族にとって、何が“一等地”にあると便利か?という視点で、家族の成長に合わせてリニューアルしていくことを間取りと一緒に提案していきたいですね。

そのためにも、リビング収納は細かく仕切ったり、作りこんだりするより、その時々に応じて調整できるようにシンプルなつくりにしておきましょう。


著者(和田さや子)プロフィール

一級建築士/ライフオーガナイザー/建築カラープランナー
注文住宅の設計を続ける傍ら、ライフオーガナイザーとして整理収納セミナーも開催している。 建築士として住宅設計を続けて18年。 サスティナブルな家づくりがこだわり。

ブログ「子育て世代・共働き夫婦のための片づけに悩まない家づくり」 






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