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  • 掲載:2022年11月18日 更新:2022年11月18日

木材のノウハウを知り尽くしたプロフェッショナル集団で構成された木材の総合卸問屋に伺った新木場の歩みと今後の展望。

瀧口木材
今回ご紹介する建材メーカー
瀧口木材
瀧口木材株式会社
新木場センター所長 吉田祐二
浜松センター所長 市川正信
常務取締役 瀧口善二郎
沼津センター所長 富岡隆志
上尾センター所長 中山博貴
越谷センター所長 河田伸幸
経理部 瀧口宇一郎
〒136-0082 東京都江東区新木場1-2-17
新木場センター/東京都江東区新木場1-2-17
上尾センター/埼玉県上尾市西宮下2-3
越谷センター/埼玉県越谷市大間野町1-130 東京木材市場越谷センター内
沼津センター/静岡県浜松市東区大瀬町1070-1
浜松センター/静岡県沼津市新沢田町15-44
http://takiguchimokuzai.main.jp/
木材の総合卸問屋「瀧口木材株式会社」は、社長を始め、木材のノウハウを知り尽くしたプロフェッショナル集団で構成されています。本日は、皆様の忌憚のないご意見を自由に語っていただくため、座談会形式で取材を進めてまいります。新木場の明日を担う皆様の、本音トークにご期待ください。

木材のプロフェッショナル集団が語る「木材今昔物語」

瀧口木材
建材ナビスタッフ:御社は、木材製品・建材製品と幅広く取り扱われている「老舗の木材問屋」さんですが、創業当初は「天井材」を主力としていらしたと伺っております。その当時から現在に至るビジネススタイルの変遷と、そのプロセスにおけるエピソードなどあればぜひ、お聞かせください。
吉田:それはたぶんどこかに資料があったんですけど、お持ちした方が良さそうですかね。私も詳しいことまではよくわからないので、情けないんですけど。
市川:いえいえ、この人生き字引きですから(笑)
吉田:先代の社長が深川の問屋で修行をして、その後独立。最初に木材問屋やって、市場の浜問屋に入って。それと並行して建材も扱うようになった。それが発端ですね。
建材ナビスタッフ:木材専門問屋としてスタートし、その後今のように幅広い建材も扱うようになったのはいつごろからですか?
吉田:設立から4~ 5 年後でしょうか・・。
瀧口(宇):この会社の歴史から話して行きましょう。その後、時代の流れとともに取り扱う製品がどう変わっていったか、またこれからの展望なども含めてですね。
市川:もともとは、秋田の杉板から始まったのです。いわゆる、「秋田杉」ですけど、杉板を何に使ったのだろう。羽目板やフローリング?
吉田:全てにですよ。秋田が産地で、そちらの製品をこっちに持ってきて販売したのが最初みたいですね。
瀧口(宇):構造材から面層まで全部に、能代の杉を持ってきて使ったのです。今でも杉は使ってはいますが、内装材が多いですね。杉の扱いはありますけど、それは秋田に限定されてるとか、そういうことではないですよね。
吉田:当時を知る人が居ないので、あまり詳しく説明できなくて済みませんね。
建材ナビスタッフ:先ほどのお話に出た、市場の「浜問屋」とはどんなところなのでしょうか?
市川:結局、山があって、市場へ荷物を持ってくるわけですよね。それを競りで浜問屋が落とすのですが、 これが結構複雑な仕組みになっていて、 落としていいか駄目かとか、元落ちだとか、いろいろあって、もう大変だから浜問屋に任せちゃおうということになるわけです。市場というのは、売り買いではなく、ものを預けてそれを競りで落とし、そのマージンを山にあげると言う方式で成り立って来ました。
吉田:言ってみれば「委託販売」みたいなもので、浜問屋が全国の材木を市場に集め、そこに一般の材木屋が競り落としにやってくるということです。
市川:その競りも、一般の人では解らない単位を使ったり、荷主との話し合いでこれ以下なら売ってはいけないなどの取り決めもあったり、と複雑です。また、競りでは売り手の力も影響していましたね。瀧口の先代も競りが上手くて、ダミ声でね・・・(笑)うちの会社はそれが最初です。その後、秋田の大高銘木さんとうまくマッチングできて、今の会社になったわけです。

天井工法の技術革新「目透かし天井工法」開発秘話

瀧口木材
建材ナビスタッフ:御社が大高銘木様と共同で開発された画期的な「目透かし天井工法」とはどんな点が従来の工法と違っていたのでしょうか?
吉田:目透し天井は、大高さんとうちの他界した先代が、他に先駆けて一番最初に作った工法です。
市川:いかに天井施工における、大工作業の効率化を進め、時間の無駄をなくすか。つまりいかに手間を省くかを検討した結果、たどり着いたのが「目透かし天井」というわけです。
瀧口(宇):1番最初の天井工法って、どんなものだったのですか。
市川:無垢の「イナゴ」という工法。
建材ナビスタッフ:無垢というと、修正していない1 枚板のことですよね。
市川:厚さは12 ミリ。尺貫法でいくもので、4分とか3分とか。「イナゴ」は貼り方がちょっと難しいんだけどそれを重ねていく工法です。
瀧口(宇):そういう感じなんですね、昔の天井は。重ねて、重ねて、重ねてという・・・。
吉田:ちょっと違います。
富岡:落ちないように、竿縁の上に置く。
イナゴ(稲子)工法
竿縁(さおぶち)天井を張る場合に無垢の幅広天井板を突合わせて使うと、湿度の変化に応じて伸縮します。それを解消する為に天井板を重ねたて張り、その部分が反らないように、2材を連結するための小さな木片を指します。この木片の形状が稲子(イナゴ)に似ていることからその名称で呼ばれています。取り付けの際に、天井板にU 字型の木片を接着して、いなごを取り付ける方法や金物を打ちそこに差し込んで固定する方法などがあります。なお、固定のために建築用のボンドを使います。また天井板を図のように重ねて稲子の木片の代わりに、釘打ちで止める方法などがあります。上に重なる天井板部分は稲子取り付けの際には、その部分だけ削りとります。

※ W-Wallet より引用 建築用語解説
瀧口木材株式会社

生活スタイルの変化と共に変わって行く工法

建材ナビスタッフ:今では、天井以外にもフローリングなど、総合的な木材製品をお取り扱いしていらっしゃいますよね。
市川:昔は、和室の天井板だけでも、充分食べられたものですが、最近はそうもいきませんから。もう和室がどんどん少なくなってきたっていうかね・・・。最近では、和室があるのは地方だけですよね。それでも地方でさえだんだん若い人の感覚が主流になり、洋風っぽくなってくると、和室がいらなくなる。床の間もいらないとなると、天井板もいらなくなるわけです。それで他のものを扱わざるを得ない。羽目板とか、フローリングなどを、ですね。
建材ナビスタッフ:ただ、ホテルや高級料亭などの商業施設における和室の需要は増えているようです。設計士さんやビル ダーさんは、やはり本物の木にこだわった素材で日本の文化というものを演出したい。オリンピック招致も決定し、内外からの観光客を呼びこむよいチャンスですから。
市川:そう考えると、道はあるのね。
吉田:ただ残念だけど、今言ったように、高齢者にしても畳だと住めにくいよね、ベッドじゃないと。材料を作るところもなくなってきているし、施工する大工さんも少なくなっているよね。
市川:この間は、マンションの茶室を作りましたよ。会社のビルの中に茶室をね。
瀧口(宇):今後の方針としては、問屋として今までずっと長い付き合いをしてきた人を大切に、一人ひとりのお客様のお話をちゃんと聞いて、これからも末永いお付き合いをお願いしたいなと。新木場の、お客さんは、マンション、店舗などが中心になります。首都圏と、その近郊だと、動向が違うのでその方々に合った材料を供給していこうと思っています。

瀧口木材の強みとは

瀧口木材
建材ナビスタッフ:「建材ナビ」が設計士情報発信機能を持つメディアとして、瀧口木材が他社さんにはない強みというか、アピールさせていただくところはどんな点でしょうか。
富岡:強みか・・・。あのね、弱みはあるけどね(笑)うちの会社が、他の問屋とは違う、工務店も建材問屋とも違うところというのは、センターと呼んでいる各営業所が、それぞれ扱っているものが違っている。そしてそれを皆が互いに共有し、融通し合っているのでいろいろなお客様に対応できるところが、他と違う特徴だと思います。
吉田:悪く言うと、バラバラということですよね(一同爆笑)
富岡:結局、ひとつの会社全体でやると、みんな同じものをやるのが普通なのですが、うちは個々違うニーズに合ったものをやっているので柔軟に対応できるということです。
建材ナビスタッフ:それぞれの場所で何を扱うかというのは、その土地の需要に合わせてというところでしょうか?
富岡:そういうことですね。まだ沼津、浜松なんかは和室の需要は残っていますから、天井板なども出ます。
市川:昔の地方には、しょっちゅう大勢が集まる行事があり、そのための和室が何部屋もある家が多かったですが、近頃はその「人寄り」の行事をしなくなったからね。その上、地震対策にもあれは駄目なんですよね。柱があるだけでも。それで縁側っていって、廊下。それが窓だもん、グシャッていっちゃうもん。地震がくりゃね。窓は小さくないと駄目なんだよな。
建材ナビスタッフ:建築基準法が変わりましたからね。建て直すにも立て直せない古民家だったら、たぶん既存不適格になってしまいますからね。

木材をよりアピールできる手法を模索

瀧口木材
建材ナビスタッフ:御社のホームページで「木材ライブ」っていうのを拝見いたしました。昨日もちょうどアップされていて見たのですが、映像で木目をずっと映されていて、とても興味が持てました。
瀧口(宇):あれはすみません、ちょっと私が一人で先走ってやっているようなかたちなのですが。きのうも新木場の材木屋さんに撮影に言ったのですが、あれだけ在庫があって、まだ眠っている木が多いので、もっといい形で提供できたらなと。それでやはり、私たちは問屋なのでどうやったら売れるかなって考えながら進めて行こうかなと思っています。やはり、今まで共にやってきた皆さんのお陰で、会社が存続していますので、既存の商流を大切にしながら、何かプラスアルファで、皆様のお役に立ちたいと思ってやっています。例えば、浜松のセンターのお客さんが、東京に材木いっぱいあるから、ちょっと見せてくれって言われた時に、すぐ対応できるというところをきちんとアピールできたらいいなと思います。
建材ナビスタッフ:新木場では、初めての試みだと思います。何か私たちもご協力できるところがあれば、させていただきたいですね。最期に今後の展望とか、進行中の試みとかお伺いしたいと思います。新木場にある材木屋さんが今後どうあるべきかなども、お伺いしたいのですが。
瀧口(宇):皆さんどうですか、地域的に見ると。
富岡:浜松などは、やはり大工さんというか、ビルダーに直接という方法もひとつの選択だけど、小回りのきくサービスが必要ではないかな。会社は皆、合併に次ぐ合併で大きくなってしまうから、その中でもやっぱり小回りがきく会社は、必要だと思う。
市川:大きな会社は、人任せでね。それでトラブルが起きたり、自分が行かないものだからトラブルも増える。やはり人任せにせず、自分で実際に言ってみることがサービスにもつながる。人も物も小回りがきくサービスを提供することで何とか生き残ることができるのかなと思います。
吉田:やっぱり新木場といっても、いろいろな材木が何百社とありますから、そういう店々によって扱うスペシャリストというか、専門の材を持ってるところがあるわけですよ。われわれなんかは、もうその品物がないもので、やっぱり新木場に行けば揃うと、それは素晴らしい集まりだと思うし、逆にいろいろな地方で営業をやっていても、例えば新木場から越谷経由でもらったり、という連携プレーが、うちはできるのは強みのところでもあります。時代の流れによって、いろいろあると思いますけど、やっぱり特殊性を残していくような、そんな町を残していけばいいのではないかなと思います。それと、やっぱりインターネットのユーザーを対象にするならば、もっと逆行で一枚物をPR するなど、見てもらうとわかるのですが、そういったものをユーザーに対してアピールするのもおもしろいと思うし、今、恥ずかしい話、われわれが取り扱っている商品の中で、中国のやつが多いんですよ。中国で作ったものを輸入して販売する。われわれは工場がないもので、ものを買って売るしかないので、だからそういったものをアピールしてもいいのではないですか。

中山:ここは拠点として守っていかないと。業者がいるから。結局、当たり前の知識って、皆さん、われわれ以外でも持ってると思うんですよ。どこの建材問屋さんでも・・・。ただ、良い物、こういう無垢のいいものとか、そういう使い方とか、そういう知識っていうのはあまりないと思うんです。だからわれわれは、そういうのを持っていると思ってやっていますから。だからなんですかね、ものを探すときでも、じゃあどこにかけたら見つけてくれるかなって、思うじゃないですか。それが今だったら、ネットなどで検索すると思うんですよ。だからその次には、ネットじゃなくて、「瀧口さんに聞いてみよう」「瀧口さんなら探してくれる」というのを、皆さんに、お客さんに、植え付けようと思ってやっています。「困ったときの瀧口さん」・・・と(笑)
河田:やっぱり他の会社でできないことをやりたいですね。当たり前なことじゃなくて、当たり前じゃないことを。そのひとつに、ネットというのも、ひとつのツールかもしれないですけれども、それを利用して、今、当たり前になってきているじゃないですか、ネット販売というのも・・・、「建材ナビ」さんには、今までと違ったネット販売を考えてもらいたいですね。
瀧口(善):これからは、パソコンを通じて、ネットの時代ですから、僕らはポンと言われてもうまくできないですけど、やっぱり他と違った歴史があるから、特色性を出して、対ユーザーに対してアピールしていけばいのじゃないかなと、思ってやって行きます。
建材ナビスタッフ:はい、ぜひ私たちもそのお手伝いをさせていただきたいと思います。本日は皆様の貴重なお話を伺わせていただき、新木場というユニークな街への理解が一層深まったような気がいたします。ありがとうございました。
MANUFACTURER
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