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掲載:2021年04月21日 更新:2022年06月17日

国産木材フローリングの種類と特徴

プレイリーホームズ『あづみの松 国産材無垢フローリング』
内装材と言えば、真っ先に思い浮かぶのがクロスとフローリング材ではないでしょうか。
特に天然木を利用した無垢フローリングはいつの時代でも人気の内装材です。

いつかはステキな無垢フリーリングのお部屋が欲しいと夢が膨らみますが、実際にフローリングを選ぶとき、あまりにも種類が豊富過ぎて困る場合があります。
さらに最近は「国産木材フローリング」にも大きな注目が集まり、選ぶ側としては選択肢が増えて迷うばかり。

そこで今回は「国産木材無垢フローリング」について、輸入材無垢フローリングとの違いや、魅力と特徴を解説させて頂きます。
無垢フリーリングを選ぶ際の基準としてご活用下さい。

1.フローリング材の種類と分類

東邦木材

建築内装の床材に使われるフローリング材ですが、天然木材を利用した「無垢フローリング」と、合板を利用した「複合フローリング」に分類されます。

無垢フローリングは文字の通り、天然木材を100%使用した床材です。自然のままの柔らかく優しい木目が特徴的で、木材独特の肌触りを感じる事が出来ます。 時間の経過と供に深まる味わいも大きな魅力の一つです。
ただし複合フローリングよりも高価な物が多く、汚れや傷に弱いと言うデメリットがあります。さらに反りや割れ、収縮により不具合が発生しやすい為、こまめなメンテナンスが必要となります。

一方複合フローリングは合板を接着剤で張り合わせた床材です。表面は天然木の薄板を張り付けた物や、プリントされた物が使われているフローリングです。
最近は幅の広い木目のハッキリした柄が主流になっています。 無垢フローリングと異なり、傷や汚れに強く、メンテナンスも容易です。
しかし無垢フローリングのような柔らかい温もりには欠け、有機質に見えてどことなく無機質な床材になります。当然ですが、時間が経過しても風合いは良くなりません。

味わいを重視する無垢フローリングか、メンテナンス重視の複合フローリングか、両者ともに一長一短あり、まさに好みに応じて判断が別れる材料です。


2.今注目を集める国産木材フローリング

マルホン

無垢フローリングは天然の木材を利用する為、人工的に作られた複合フローリングとは異なり、本物の木の質感が最大の魅力です。 特に時間の経過と供に増す色合いや艶は、無垢フローリング独特の良さです。複合フリーリングでは出せない魅力を秘めています。

そんな無垢フローリングですが、多くは外国産木材が主流として活躍してきました。
メイプル、ビーチ、バーチ、パインと言った外国産木材が安く輸入されてきた事が主流となった背景ですが、昨今は外国産木材が価格高騰傾向にあり、国産木材が見直されています。

国産木材にも魅力的な無垢フローリングがたくさんあります。
国産木材の代表と言えば杉や桧ですが、国内で生まれ育った日本の気候や環境に適し、建築材料として向いている木材と言えるでしょう。
また、木の呼び名が違っても、外国産木材と特徴の似た種類の樹木も多く存在します。 オークとナラ、メイプルとカエデ、ビーチとブナ、アッシュとタモなどです。

国や農林水産省が目指す「森林・林業再生プラン」では、国産木材の自給率を50%にする目標があり、少しずつ自給率が上昇しています。
今後さらに需要と流通が増える事により、国産木材フローリングが安価で入手出来るようになるかも知れません。


3.杉フローリングの魅力と特徴

無垢フローリングドットコム

「杉」は日本古来の木であり、樹齢1000年を超える物も存在します。本州から四国、九州、屋久島と広範囲に分布します。 有名な産地では秋田、天竜、吉野、日田、飫肥、屋久島などが有名です。

軽くて柔らかい為、加工しやすい樹木の一つです。古くから建物や家具の材料として利用されてきました。因みに、植林の量や木材使用量でも日本一の国産木材です。
杉は軽くて柔らかい、そして断熱効果が非常に高いという特徴があります。
実際に床材として利用した場合、真冬でも床暖房無しの状態でさえ裸足で歩けるくらいの温かみがあります。 そのままそっと寝転んでみたくなる温かみと柔らかさは、他の無垢フローリングとは一線を画す存在です。

ただし柔らかい材種ですから、傷に弱いと言うデメリットがあります。
爪で引っ掻くだけでも傷が付くほどですが、表面を削る事によって補修が可能です。

個性溢れる洋風建築から、伝統的な古風な和風建築まで、幅広いデザインにマッチするフローリング材です。また、比較的安価で入手可能なフローリングの一つです。


4.桧フローリングの魅力と特徴

瀧口木材

「桧」は腐食に強く、強度も落ちにくいので、古来より床材として利用されてきました。 加工がしやすく変形も少ない為、人気のあるフローリング材料です。
古来の和風建築でも、玄関・廊下、和室回りの床に利用されてきました。

殺菌効果があり、独特の香りはフィトンチッドを放出して森林浴と同じような効果がありリラクゼーション効果抜群のフローリング材です。 色は明るめですが、日焼けによって茶色く変色していきます。 強度は杉よりは固めですが、広葉樹全体に比べると柔らかめです。

桧は耐久性の高さから内装材としてだけでなく、柱や土台と言った主要な構造部分にも利用されています。全国の社寺仏閣建築に多用され、世界最古の木造建築と言われる法隆寺の西院伽藍にも使われています。

傷を防止したい場合は、ウレタン塗装を施す事をオススメします。ウレタン塗料が強い表面を作り、傷付きやシミの防止にも役立ちます。
産地によって様々な表情を選択できるのも桧フローリングの楽しみの一つでしょう。


5.松フローリングの魅力と特徴

植村産業

「赤松」は美しさだけでなく、耐久性や耐水性も兼ね備えた優れた木材です。 強度が高く、梁等の構造材にも利用されるほど頑強な材料です。
材質としては柔らかい分類になりますが、木目がハッキリして豪華でダイナミックなイメージに仕上がるのが松フローリングの特徴です。

樹脂成分が多く、時間とともに美しい艶が出る味わい深いフローリングです。
赤松は名前の通り色味が赤く、国産材では栂(ツガ)に次いで際立つ赤さと言えるでしょう。
大きめの木目は杉や桧とは異なった逞しい風合いです。

松の最大のデメリットとしては「ヤニが出る」と言う点です。
しかし古い和風建築では、磨き上げられた松の輝きは本物の銘木として称賛され、高級建築の代名詞として重宝されていました。

赤松以外に黒松や唐松があり、産地ごとにブランド木材が複数存在します。
木材特有の香りは、杉や桧ほど強くありませんが、迫力とヴィンテージ感を楽しむならオススメのフローリング材です。


6.まとめ

代表的な国産木材を利用したフローリング3種類を紹介しましたが、国内木材にはさらに多くのフローリングに利用できる良質な材料があります。
人気のある外国産木材フローリングのように、楓(かえで)、椈(ぶな)、樺(かば)、栂(つが)、栗(くり)、栓(せん)、楢(なら)、桜等々、針葉樹や広葉樹と多岐に渡り抱負なラインナップが勢揃いです。

また、お住いの地域によっては国産木材を利用すると補助金や助成金が出る場合もあり、国産木材無垢フローリングの利用を検討されている場合は事前に確認しておくと良いでしょう。

フローリングは節有りや節無しで、仕上がりの表情や価格がかなり異なります。
複合フローリングに比べるとメンテナンスに多少の苦労は付きまといますが、木材独特の良さを感じるには最高の材料です。

施工前にサンプルが入手可能であれば取り寄せて、じっくり比較検討するもの良いでしょう。
色艶、強度、質感を比べて、好みにぴったり適合するステキな無垢フローリングをお探し下さい。


著者(田場 信広)プロフィール

・一級建築士、宅地建物取引士

・建築設計、工事監理、施工(大工)、戸建て木造住宅の新築からリフォーム全般、分譲マンションの内装改修、マンションの大規模修繕工事の設計・設計管理、警察署の入札仕事や少年院の特殊な工事も経験

・某資格学校にて2級建築士設計製図コースの講師を6年務める







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