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掲載:2019年10月09日更新:2019年10月09日

木造住宅の断熱工法と断熱材の種類・特徴

断熱材

「夏涼しく、冬暖かい」そんな快適に暮らせる住宅をつくるには、断熱性能を高めることが不可欠です。木造住宅では床・壁・天井などに断熱材を入れることによって、屋外の熱と室内の熱を相互に伝わりにくし、外の寒さや暑さをシャットアウト。家の中の温度を一定に保つことができるのです。

1.木造住宅の断熱工法の種類|充填工法・外張り工法

木造住宅で使われる断熱工法は、「充填工法」「外張り工法」の大きく2種類に分けられます。2つの工法に優劣はなく、しっかり施工されていればどちらも十分に外の寒さや暑さを防いでくれます。

充填工法

外張り工法

断熱材

断熱材

柱などの構造材のすきまに断熱材を充填する方法。外壁と内壁の間の空間を埋める。

柱などの構造材の外側を断熱材ですっぽりくるむ方法。

メリット
● コストが安い
● 経年劣化しにくく安定している

メリット
● 壁の中の空間を残せる
→配管・配線・収納などに使える
● 断熱の効果が高い

デメリット
● 湿気を吸い込むと性能低下の可能性
● 柱などで断熱材が途切れる
→断熱性能の低下

デメリット
● コストが割高
● 断熱材の重みの影響を受けやすい
→経年劣化・地震の揺れなどで変形する可能性

施工性やコストを考え、壁には充填工法、屋根には外張り工法など場所によって使い分けることも可能です。また、充填・外張りを組み合わせ、壁の中に断熱材を詰めた上で外側にもプラスする「付加断熱工法」という工法もあります。

断熱工法を詳しく調べる

充填工法は湿気への対策が重要

柱のすきまに断熱材を入れる充填工法は施工が難しくないため、リフォームなどでもよく使われます。 キッチンや浴室などでは特に、壁の中に水蒸気がたまらないよう、防湿施工をしっかりおこなうことが大切です。断熱材が湿気を吸ってしまうと、熱を伝わりにくくする効果が落ちたり、カビ・結露が生じたりします。 ただし、これは外張りにおいてもいえることです。どちらの工法においても、通気層や防湿・気密シートなどの防湿施工が重要となります。

外張り工法は経年劣化まで考えた施工を

家の外側を断熱材で覆う「外張り断熱」は工程が多いため、充填工法に比べると1~2割工事費が高くなる傾向にあります。 断熱材と外壁がしっかり固定されていないと、経年劣化・地震の揺れなどを受けて、外壁が下がったり変形したりする恐れがあります。適切な施工がされていれば、心配ありません。

2.断熱材の種類と特徴|繊維系・発泡プラスチック系

繊維系

無機繊維系

●グラスウール
●ロックウール

木質繊維系

●セルロースファイバー
●インシュレーションボード

発泡プラスチック系

●ビーズ法ポリエチレンフォーム
●押出法ポリエチレンフォーム
●ウレタンフォーム
●高発泡ポリエチレンフォーム
●フェノールフォーム

木造住宅で主に使われる断熱材は「繊維系」「発泡プラスチック系」の2種類です。この他には、羊毛や炭化コルクなど天然素材でつくられた商品も販売されています。


木造住宅に使う断熱材を探す

繊維系

細かい繊維状の断熱材。繊維の間に空気を含むことで熱を伝わりにくくします。繊維が細く密度が高いほど、断熱性能が高くなります。

● メリット:低価格
● デメリット:空気層に水蒸気が入ると性能が落ちる


無機繊維系断熱材を探す

木質繊維系断熱材を探す

1)グラスウール
断熱材

ガラスを高温で溶かして繊維状にしたもの。ボード状や吹込みタイプなどがあります。繊維の密度「K=kg/㎥」によって10K・34Kなどと種類が分けられ、「◯K」という数値が高いほど熱が伝わりにくくなります。グラスウールは低価格で断熱性能が高いためよく使われています。湿気に弱いため、袋詰めで施工することも多いです。


グラスウールを探す

2)ロックウール
断熱材

天然岩石を高温で溶かし、遠心力などで繊維状にしたもの。ボード状・フェルト状・ブランケット状・ベルト状・パイプ状・などさまざまな形状の製品が販売されています。断熱材自体が重いですが、熱に強く燃えにくいというメリットがあります。

3)セルロースファイバー
断熱材

天然の木質繊維を綿状にしたもの。1本1本の木の繊維の中にも小さな空気層を持ち、熱を伝わりにくくする効果が高いです。木の特性上、吸放湿性があって適度な湿度を保ってくれるという特徴があります。


木質繊維系断熱材を探す

4)インシュレーションボード
断熱材

細かく粉砕した木材を固めてボード状にしたもの。自然素材をつかっているため、人や環境に優しい素材です。


木質繊維系断熱材を探す

発泡プラスチック系

さまざまなプラスチックを発泡させた素材です。プラスチックの種類によって、熱の伝わりにくさ・耐水性・耐熱性・耐薬品性などが変わります。

● メリット:軽量、水に強い
● デメリット:熱に弱い(フェノールフォームを除く)

発泡プラスチック系断熱材を探す

1)ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS)
断熱材

ビーズ状のポリスチレンを金型に入れて、加熱発泡させたもの。食材を入れる「発泡スチロール」と同じ素材です。加工しやすいため、形や厚さが自由に選べます。メリットは値段が安く軽量で、水や湿気に強いということ。デメリットは熱に弱く、火事などの熱が加わると縮んでしまうことです。

2)押出法ポリスチレンフォーム(XPS)

EPSと同じポリスチレンを原料とし、押し出すタイミングで連続発泡させて成形したもの。成形したブロック状のものを、一定の大きさにカットして板状にして販売されています。EPSと同様、軽量で水に強く熱に弱いという特徴を持ちます。EPSより熱を伝えにくく、住宅用の断熱材としてよく使われます。圧縮に強いため、基礎・土間・床の断熱にも適している素材です。

3)ウレタンフォーム
断熱材

ソファーに詰められているクッション材や、食器洗いに使うスポンジなどにも使われる素材です。連続発泡したボード状の「硬質ウレタンフォーム」と、現場でスプレーなどで吹き付けて発泡する「現場発泡式ウレタンフォーム」があります。現場発泡式の方がすきまなく施工しやすいため、よく使われます。燃えると有毒ガスを発生するため、大量に使うのは避けられています。

4)高発泡ポリエチレンフォーム

買い物袋と同じ素材を発泡させて作られています。断熱性能が高いうえ、耐熱性・耐薬品性に優れ燃えにくいのが特徴です。柔軟性が高いため、柱の間にすきまなく詰めやすい素材です。

5)フェノールフォーム
断熱材

熱硬化性樹脂でできており、プラスチックなのに燃えにくい素材です。他の発泡プラスチック系より値段が高いのが難点となっています。フェノールフォームの一種である「高性能フェノールフォーム」は、断熱材の中で、最も高い性能を有しています。


木質繊維系断熱材を探す



著者(村田 日菜子)プロフィール

住宅専門ライター






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