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  • 掲載:2023年03月30日 更新:2023年03月30日SPECIAL INTERVIEW

DXで大きく広がる可能性とそこから見える「バーチャル」と「リアル」の相互関係とは

施工事例

デジタル化が示唆する新たな指針「リアルとの融合」

大都会東京で活動する建築士事務所を束ねる一般社団法人東京都建築士事務所協会。DX対応が世界の潮流となる今、建築界におけるその存在意義は大きい。本日は自らも建築家として豊富なキャリアと経験を活かし、東京都建築士事務所協会の会長を務める児玉会長に協会の活動と展望について伺った。

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児玉 耕二 | Koji Kodama

宮崎県生まれ。東京大学大学院修士課程修了。 株式会社久米設計入社。 同取締役副社長を経て現在、同顧問。 2017年11月から一般社団法人東京都建築士事務所協会会長を務め、2023年6月理事に就任。 2020年6月一般社団法人日本建築士事務所協会連合会会長に就任。

協会のベースは仲間意識と地域貢献

―本日はよろしくお願いいたします。最初に協会の役割についてお話を伺いたいと思います。

児玉 建築士事務所協会は、全国47都道府県にそれぞれあります。東京都にあるのが東京都建築士事務所協会で、設計業界の発展に寄与するべく、いわゆる建築士事務所を経営する経営者、あるいは開設者の方々が集まっています。
また、近年ものすごい勢いで変わる建築法規について行くための研修実施なども不可欠です。行政への働きかけと共に、仲間意識を持って助け合うということも本協会を構成する重要なベースになっています。

東京都建築士事務所協会は23区に各1支部、プラス多摩地区に6支部と合計29の支部があります。狭い東京都とはいえ、やっぱり東方の下町地区と西方の多摩地区では、設計活動としての条件が違ってくるので、そういう意味で地域での違いを上手く反映させ、区や市の職員の方と一緒になってやって行く必要があります。ボランティア的な地域貢献においても、例えば地震に対応した応急危険の判定員の派遣など、防災協定みたいな話もあるのですが、区ぐらいのスケール感で対応する方がしっかりと伝わるように思います。

また、例えば東の方の江戸川や墨田などはですね、やはり低い土地で地盤もかなり軟弱なところですからね。杭なども小さな建物も結構長い杭を打っていますので、建材としては杭のメーカーさんがこれらの地域にはアプローチした方が良いという実情があります。

支部活動の中でも場所によっては士業連携といって、弁護士だとか、家屋調査士とかいろいろな士業が10個ぐらい集まって地域貢献しているのもかなりあります。これは建築相談という名目で相談を受け付けても、実際には建築技術の話や建築上の法的な話よりは、ほとんど土地の問題だったり、家屋調査の問題だったり、あるいは隣との紛争の問題で弁護士さんが当たった方がいいような内容ですから(笑)・・・。
そういう意味で、士業がまとまっているというのは非常にいいことなのです。
意外な建築士の側面として、プロジェクトをまとめて行くという仕事を常日頃やっているので、プロジェクトマネジメントといいますか、状況やニーズに応じて、前裁きができるのが建築士の特徴なのです。この相談なら弁護士さんに、そちらは家屋調査士さんに、あるいは区役所に言ってくださいなどの的確な助言ができるのも、建築士が便利がられている所以なのです。

このように地域に密着しているのが東京都建築士事務所協会を中心とした支部であり、もう一方で全国的に展開しているのが連合会という組織で、略称「日事連」とも呼ばれています。

施工事例

緊急性の高い震災直後の建物の応急危険度判定や、行政庁の主催する様々な委員会や講習会への委員や講師の派遣などを行い、協会内で共有するとともに広く一般社会への貢献に努めている。

―なるほど、地域別による事情があるのですね。

児玉 国レベルでいうと同じ基準や同じ法律であることに間違いはないのですが、地域による違いはあります。例えば、最近話題になった再生エネルギー促進の指針からカーボンニュートラルのため太陽光パネルを義務付けるなどという話が出ましたよね。これは積雪地帯の屋根にソーラーパネルを付ける話と、それから東京都心の中で隣のビルが迫っているところにどこに付けるんですかという問題点も生じて来るわけでして・・・。
日当たりが良くて、均等に並んでいる戸建て住宅が沢山あるところでは、「ソーラーパネルを大いに進めましょう」で済むのかもしれませんが全国一律にはなかなかスムーズに行かないところがあるわけでして。

デジタル通信化で見えて来たもの

―確かに。そうですよね。ところで、近年よく取り上げられるDX化についてなのですが、やはり、会議やセミナーなどもウェブでできると非常に便利ですよね。

児玉 会議もそう、セミナーなどもウェブで情報の伝達だけで決まることは勉強するには簡単にできます。何より自分のオフィスからできるのが非常に便利でいいのですが、一方で微に入り細に入りの質問や、本当のノウハウ的なところというのは、直接専門の先生に聞いたり、あるいは会議で仲間に直接聞いたりしないと出てこない部分があるわけです。
それは皆さん、コロナ禍のこの2年間で結構学ばれていて要領よく、こういう時はウェブ、こういう時はリアル、と使い分けられているようです。

―使い分けることが重要なのですね。私たちも情報がいっぱいあり過ぎて、どこからどう処理してよいか迷うことも結構ありますから。

児玉 ええ、そこなのですよね。情報はいっぱいあるけれど、どれが、どの程度に信頼していい情報なのか、というのは、コストパフォーマンスとも関わり、迷うところだと思います。

―実際、何か反響だったり、こうしてほしいなど建築士の方からウェブ通信に関しての要望などはありましたか。

児玉 やっぱりコロナ禍になって1年ぐらいまでの間は、盛んにウェブでのセミナーをやってほしい、ウェブでの会議をやってほしいという要望は多かったんです。ところが、最近はリアルでないと通じないことの使い分けがわかってきたのか、感染が多くなると心配だなっていう話もありつつ、やはりリアルでどうやってやれるかが課題になって来ました。

また、支部活動の中で関連する協力会社の形で入っている建材メーカーの方々においては、ウェブのみでは十分な営業展開はできない、やはりリアルに会って説明したい、プレゼンをしたいという意向が強いように思います。
ウェブをやってみて、それだけでは足りないところや、リアルで向き合う良さが分かって来たということで、皆さんそれぞれの条件に応じて使い分けを考えておられるようですね。

BIM導入へ向けた準備は万端に

―なるほど、そういうことなのですね。正会員の方への活動の一環として実施している研修などのうち、特に人気の高いセミナーなどはありましたか。

児玉 時代を超えて安定して人気というのはあまりないのですが、やはりタイムリーなテーマには注目が集まります。新しい技術が出た、新しい法規が出来た、などの際にはやらなくてはいけない。カーボンニュートラルやBIMの導入などもそうですが、特にコロナ禍においては、ウェブを皆さんがやって欲しいということで、建築技術というよりウェブ通信技術のセミナーに人気が集中しました。

―そうだったのですね。ところで、BIMの導入については如何だったのでしょうか。

児玉 BIMについては、皆さんある程度基礎学習は終えた段階です。小規模設計事務所の方々も含め、自分のところで採用するかの判断基準もある程度目途はついていると思います。
3次元のBIMを使ってお客さんにプレゼンテーションをする基本構想とか、基本計画の段階はいろいろな案を提案できます。バーチャルな中でも形が見える、あるいはVRを使えば自分が入っていけるということをやれますので、お客さんや建築主に対しても評判がよくて人気ですから、営業ツールとしても建築士事務所がそれを使ってやっていくには、効果的だということは言えますね。

ところが、実施設計が終わって、設計図ができ、確認申請をします、という処で確認申請はBIMでは受け取ってくれないのです。また、建築主もBIMの3次元データをお出しすれば済むというものではなく、2次元データでプリントアウトしたものを欲しがるので、BIMで作成したものを2次元に変換するのですが、これが今まで使っていたCADの方が図面としての出来栄えが良いのですね。
建築家はどうしても図面にこだわりがあり、美しい図面として提出したいので、確認申請の際や2次元でのアウトプットを考えると、まだまだという処でしょうか。然しながら、社会全体がBIMに移行するということであれば、その時は一気に進む準備はできていると思いますよ。
で、相変わらず今までの手書きの図面がいいという人もいれば、2次元CADで俺はそれを気に入っているんだという方は、それはそれで、いらっしゃいますよ(笑)。

―そうなんですね。ところで会員同士の交流から生まれたエピソードなどがあればお伺いしたいのですが。

児玉 なかなか、それを協会として見えているかと言われると見えていない。先程出たBIMの話題で言うと、BIMコミュニティーを作ってほしいという要望はあったのですよ。
それは例えば、支部の中だけで、そのレベルが同じぐらいで話し合える仲間がすぐに集まればいいのですが、東京の事務所協会の中でも、意見やレベルが合うような人というのはなかなか見つけにくいのが実情です。例えば、日常的な仕事の上で、建築の意匠屋さんがちょっと設備設計事務所を紹介してほしいというのは最近特に多く、そういうのを繋げる意図で色々な会員の情報などをデジタル化するプロジェクトもこの2~3年ほど、やっています。
いわば、デジタル上でいろいろな情報をやりくりできる体制が今整ったところなのです。それをどうやって使って行くかは、まだまだ経験が少ない。あるいはこれは東京都の事務所協会だけに限らず、日事連の方でもBIMGATEという形でBIMのポータルサイトを作りました。
うちはBIMで仕事をしていますよ、という人に手を挙げてもらい、リストにすることはできるのですが、マッチングして仲間となり一緒になってやれるかというところまでは、まだ行っていない。手を挙げる欄に載せる会社が全国レベルで沢山あり、極端に言えば東京でプロジェクトがあって、それを北海道に事務所を構えている人が助けてもらうという、今のウェブ環境の中ではできることもあるんですよ。

建築士事務所のマネジメント支援センターというのを2年前ぐらいに立ち上げたのですが、まだパーフェクトな稼働状態にはなっていません。協会に入っている設計事務所の8割くらいは10人以下の小規模な事務所で、大きなプロジェクトがあるときだけ一緒に手伝ってもらったりすれば充分運営していけるのですね。
そうした設計事務所では例えば、建築の設計は得意だがマネジメントが不得意とか、ホームページを作りたいので作成をヘルプしてほしいとか、あるいは図面もたくさん溜まってきたので、図面の保管サービスがないのか、といった個々の要望が蓄積してきます。

―そんな時に会員同士の良いお付き合いやマッチングなどあれば助かりますね。協会への入会を促すため、どのような活動をなさっていますか。

児玉 会員増強では建築士事務所のマネジメント支援センターで、会員になればセンターからのサービスを受けられますと、明快に言えるので伝えやすいですね。
ただ協会に入る一番のメリットはやはり、情報の共有などの仲間意識や助け合い精神の醸成だと思うのですが、そこのところは中々伝えにくい、説明しにくいわけです。 現在、会員数が1600社を越える東京都建築士事務所協会なのですが、東京都全体の設計事務所の数は1万社くらいです。でも、これが高齢化、転職など様々な理由から事務所を閉鎖するなどで、年々かなりの数が減りつつあります。
そのような中、微増ではありますが事務所協会の会員は増えているのですから、まあまあ上手く進んでいるのではと・・・(笑)。

建築家と小学生が楽しむ交流イベント

―交流イベントの活動などについて、教えてください。

児玉 活動のひとつに『建築ふれあいフェア』という一般市民向けのイベントがあります。これは建築士事務所の仕事内容や、建築設計というものづくりの面白さを伝えることを目的としており、今年で22回目、もう20年ほど新宿の西口広場で開催しています。
人気のあるプログラムは、例えば児童画コンテストです。小学生に建築の建物の一部、我が家のイメージや夢などを描いてもらい優秀な作品を表彰して飾ったりしています。また、別のプログラムですが、木のブロックを提供して街の形にしたところに、自分で接着剤でくっつけてタワーを作ったり、洋服を作ったりと、「折り紙建築」という立体的に折り紙を組み立てるものをやったりしています。

施工事例

建築ふれあいフェア 都民の皆さまが建築とふれあい、楽しみながら建築士事務所について知っていただくことを目的に、毎年、秋ごろに新宿駅西口広場イベントコーナーで実施している。

―折り紙建築、知っています。

児玉 もちろん建築相談もそこでやっていまして、そこに立ち寄った人々や子供たちが折り紙を折った時に何か建築に興味を持ってもらえば、あるいはそこで案内しているのは全部建築士ですから、建築士事務所が何をやっているかも伝えられます。
まあ気楽に話せる相手として一緒になって折り紙建築を座り込んで作っていたり。そういうことをやっているのが『建築ふれあいフェア』です。ほかにも街づくりのイベントとしては支部活動の中で、それぞれの区や市が開催する街づくりプロジェクト、防災フェア、その他各種フェアなどにも参加するなどしています。

東京都建築士事務所協会 オフィス散歩

ケンチくん

ケンチくん 第18回建築ふれあいフェアに参加 頂いた方々からのご応募で名前が決まりました。

コア東京

コア東京 協会の会報誌。建築に関する新たな動向や、建築士事務所として必要な様々な知識を、毎月会員にお届けしている。日事連は、日本建築士事務所協会連合会の会報誌。

便利なバーチャル機能とリアルの融合とは

―弊社が運営する「建材ナビ」では建築士の方々にメーカーさんの製品をご紹介し、様々なサービスを通じて設計士と建材メーカーさんのタイアップやコミュニケーションを図るための活動をしています。何か弊社に望まれることなどあればお聞かせください。

児玉 いろいろなことに通じるとは思うのですが、いわばウェブとリアルの融合が必要だと私は思っています。ですから、新しい建材が出たよ、これ安くていいよという情報がウェブ上のカタログで見られる、動画が見られる、そして例えば普段はウェブで出ているけれども、数カ月に一度は実際に触れられるような体験型の機会を設けてもらえると良いなと思います。
例えば、私が設計のまとめ役をやっていた時代に、新入社員の教育をする場面がありました。ここ20年くらいの新入社員というのは、大体CADの操作、3次元の絵の書き方など、バーチャルの中で、ものすごく手際いいし、理解しているし、プレゼンテーションも立派なんですよ。
ところが、往々にして間違えやすいのは、やはりそのリアルの感覚を掴んでいない。そのリアルな感覚というのが大事なんですよね。
具体的に間違った例を挙げますと、カタログ中にドアの押し手引き手というのがあり、デザインもいろいろな形で、格好いいのが沢山あります。新人に自分で設計した建物のドアの押し手引き手の中で、どれかを選ぶとなると写真に載っているカッコいいプロポーションを選ぶのですが、これが間違いでして・・・。
自分でそれを握ってみた感覚は無く、見た目のデザインだけで選ぶと、実際に触ってみたら、太さの具合などで使いにくいよねとなるわけです。だから本当に新入社員に教えていたのは、およそ1年近くの間は、実際に会社のトイレの寸法を測り図面化するなどのリアルに物に触る勉強でした。そうしているうちに、洗面所の高さやテーブルの高さがおよそ70㎝、人間の感覚から、ドアを通れる幅が55㎝なら通れるけど、物を持ったらもう少し必要だねというリアルを学ぶことになります。

施工事例

建築業界のこと、協会のことについて、とても丁寧に語ってくださいました。


―確かにそうですね。次に建築士の方々のPR活動についてのお話になるのですが、「建材ナビ」では、「プロジェクト・ストーリー」というコンテンツで、建築家と建材メーカーのコラボレーションを紹介しております。これについて期待して頂けることがあれば、お教えください。

児玉 それはね、どんどんやって頂いたらよいと思います。建築の設計というのは、些細な部分も含めて全部のものがわかっていないとでき上がってこないものなのです。
構造の話も設備の話も、また植栽そして四季折々の違いも、そういうのが全部解っていないとできないところはあるので、建築家はある意味、かなりな物知りで、語らせると結構うるさいですよ(笑)。 それはね、かつて建築の設計とか建築のつくり方そのものが全てオーダーメイドだったわけです。
1品製品をトータルにまとめて行くみたいなところがありましたが、最近の建築の作り方の中で特徴的なのは、やはり部品化なんですよ。
ユニットバスにしても、ぎりぎり我々ぐらいの時代までは、ユニットバスもオーダーで作りましたが、今の時代にはたぶん部品を選択をして選んでいくだけなので、その部品を選ぶストーリーが建築の設計に与える影響のような話になるのでしょうね。

DX・カーボンニュートラルへの取り組み

―分かりました、皆さんに読みやすい形でお届けできたらと思います。最後に、東京都建築士事務所協会が積極的に取り入れられているDXとカーボンニュートラルへの今後の取り組みなどについてお伺いしたいのですが。

児玉 方向性といいますか、カーボンニュートラルと言えば、当然ながら省エネという言葉で置き換えられると思うのですが。 実際に、問題は既存建物の改修であり、新築物件であれば、法律や制度で省エネの基準を満たしなさいとなれば絶対基準を守って出来上がっていくわけですよ。
ところが、家を買って、あるいはビルを建てて10年たったものを今の省エネ基準に合わせるように改修しなさいっていうのはこれはなかなかしんどい。実際にオーナーの方もそれをやったからといって家賃が多く入るわけではないですから、そういうインセンティブが付いてくる訳ではない。
今後、単純にそれだけやっていると皆、インセンティブがないから改修ができないということになってしまいます。分かり易い例えとして、賃貸マンションなどで、カーボンニュートラルや省エネ基準を表示的にAクラス、Sクラスを達成しましたよ、などという表示制度により家賃が少し高くても入ってくれる社会的なインセンティブのベースができ上がると意味があるのですけどね。

―確かにそうですね。

児玉 それを視野に入れておかないといけませんね。到達にはハードルが高いので、我々だけで何とかなるとは思っていませんが、新築の場合であれば研修と法の徹底だけやればできて来ますよ。
建築士事務所というか、建築士の方々は真面目な人が多いから。法律で決まり、技術レベルが上がってくればできると思います。
DX化の中でのBIM導入や全体のデジタル化は今後も進んでいくと思いますが、カーボン・ニュートラルについては、日本より欧米の方が進んでいます。欧米では、オーナーがいわばプロジェクトマネジメント的なものをやらなければいけないので。
ところが日本の場合は長い間、建築づくりを施工会社まかせにするなど、いろいろな形でそれを担う人たちがオーナーと別なところにいましたので、オーナーがそれを知らなかったという事情があるのですが、今後は世界的な標準や時代の流れに沿って進んで行くと思います。

―設計者の方もそれに対応しつつ、準備は大体整ってきているということですか。

児玉 まだスタートラインに立っていないかもしれないけど、スタートラインに立つ時に備えて、ランニングシューズとかランニング用の服装ぐらいは、どういうのを買えばいいかわかったぞ、とそんな感じですよ(笑)。

―BIMの今後についてはどうでしょうか。

児玉 BIMの教育という意味合いから言えば、もう少し共用で使えるもの、例えばここにBIMのスタンドアロン型の2、3台を置いて貸し出したらどうだという話もあるくらいです。導入に数百万もかかるとしたら、二の足を踏んでしまうのが実情ですから・・・。
様々な実情から、今ご要望のような完成された具体策とか、明快なビジョンが既に用意されているわけではないので、準備をしつつもそれ等は社会的なニーズに沿って即応体制でやって行きますとしか言いようがないです・・・(笑)。

―いえいえとんでもありません。本日は、大変興味深い貴重なお話をいろいろ伺えまして、勉強になりました。今後とも、貴協会の益々のご発展をお祈りして、インタビューを終了させて頂きます。有難うございました。

令和5年 新春賀詞交歓会が開催される

一般社団法人 東京都建築士事務所協会が主催する「令和5年新春賀詞交歓会」を取材させていただいた。東京・明治神宮外苑に佇む明治記念館「蓬莱の間」にて、恒例の新春賀詞交歓会であるが、コロナ禍の影響を受けて今年は3 年ぶりの開催となり、会員および協会関係団体の出席者同士の深い交流の様子が垣間見られた。
児玉会長を初め、来賓の方々による祝賀の挨拶には盛大な拍手が贈られ、交歓会は大変な盛況のうちに進められた。最近の緩和政策により、こうした記念すべき交歓会が全国で再開されるようになった新しい年に、出席者の表情からは安堵と喜びが伺え、熱気に満ちた集まりとなった。

~取材後記~

今回、建材ナビでは初めての取材参加となりましたが、東京都建築士事務所協会が、コロナ禍以降の対策や対応をしっかりとされた中で、協会の中での人と人との交流をとても大切にされている側面に触れることが出来、とても貴重な取材だったと感じております。
今年はより直接顔を見合わせた交流の機会も増え、更なる協会のご活躍が期待されると実感致しました。

取材:秋葉 早紀 建材ナビ広報担当

った

児玉 耕二 | Koji Kodama

宮崎県生まれ。東京大学大学院修士課程修了。 株式会社久米設計入社。 同取締役副社長を経て現在、同顧問。 2017年11月から一般社団法人東京都建築士事務所協会会長を務め、2023年6月理事に就任。 2020年6月一般社団法人日本建築士事務所協会連合会会長に就任。

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