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私たちが日々の生活を送る上での基本的3要素である「衣・食・住」のうち、最も時代の流れや変化に敏感な反応を示すのはもちろん衣であり、次に食となります。それらは一定のサイクルで流行と衰退を繰り返し、時には後退しながらも日々変化を遂げています。それでは「住」の場合はどうでしょう。衣・食ほどの短いサイクルではありませんが、「住」への認識もそれを取り巻く環境も時代の流れとともに確実に変遷を重ねて今日に至っています。然しながら、「住まい」という観点から考えますと「衣・食」のように使い捨てるわけにはいかない「住」については単なる流行や見た目の美しさ以上に大切な判断基準の線引きが必要となります。 今回のSPACE DESIGNでは、長く住み心地のよい住まいを追求し、できる限りシンプルで飽きの来ない自然素材を取り入れるなど、「住むほどに愛着と味わいの生まれる家」づくりに取り組む建築のプロフェッショナル、大前裕樹氏にお話を伺います。 |
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株式会社大市住宅産業 一級建築士
兵庫県生まれ 三重大学 大学院修了(建築学専攻) 設計事務所勤務を経て 株式会社大市住宅産業入社 一級建築士として住宅・店舗など様々な設計を手掛ける |
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■陶器の展示即売スペースの実施設計をしました。内装のリニューアルで、基本計画はある程度決まっており、2m角程度の約60のブースを施設内に組み込み、全体としては昔の横丁の町並みを再現するという計画でした。入り組んだ雰囲気を出すため、複雑な平面形状になり、コストが見合わないということで、ご相談をいただきました。工期短縮とコスト削減のため、材木をプレカットで発注。構造用合板に浸透性塗料塗りを基本仕上げとし、合板をカットせずに使えるよう、合板サイズを基本モジュールとして平面図を作りました。複雑な平面形のため、使い勝手の上で不備な点も後からいくつか出てきて、手直し工事をしたりしましたが、全体としては「来場されたお客さんに好評だ」という言葉を頂き非常にうれしかった案件です。リニューアル前は通常の「お土産販売所」であったため、お客さんの滞在時間が短く、すなわちそれは売上にも直結します。リニューアル後は売上も伸びたということを聞きました。 |
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■計画段階から入居まで、何度も打合せを重ねる間に「これも、あれもしたい」と夢が膨らみます。家づくりにおいて、設計士の仕事は敷地条件や法的制限、コストの制約と折り合いをつけながら、本質的に何を求められているのかを引き出してあげる作業だと考えています。ですから、細かなことや無理かもしれないということでも、何でも設計士に話をしていただくことが重要だと思います。制約が多いほど、思いもしなかったアイデアやデザインが生まれるものです。建築の場合「絶対にできない」ということはそんなになくて、むしろ「考えたらできる」ことのほうが多いと思います。いろんな制約や施主の要望は、我々にとってはいわばデザインソースです。そういう意味で双方のコミュニケーションが非常に大切だと考えています。 |
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■できるだけ自然素材を使いたいです。新建材を使う場合は、もちろんF☆☆☆☆商品を使うので、健康面で実害があることはまず無いとは思います。それでも新建材ばかりで内装を仕上げた建物と、自然素材を多用した建物では、竣工時の体感に微妙な違いがあります。自然素材は工業製品と違ってばらつきやくるいが生じやすい特性があります。しかし、元来建築は、そのような不確定要素をうまく組み合わせて造られるものであり、また経年的に変化していくものだと思います。10年20年経った時に、単に「汚れている」と思われるような材料ではなく「味わいが出てきた」と思える材料を使いたいです。自然素材嗜好も一つの流行りと見る向きもありますが、私はこの流行りは良い傾向だと思います。飽きのこない自然素材とシンプルなデザインが味わいの出る家につながるのではと思っています。 |