由比清隆 / 建築家 設計士インタビュー(四季を感じ、太陽の恵みを味わう家づくり)| 建材ナビ

アトリエ・K建築設計工房一級建築士事務所
http://at2000-hp.com/
 日本は世界数百ヵ国の中でも、最も安定した「四季」が存在する国として知られています。中には常夏の国や極寒の国など厳しい自然環境の元での生活を強いられている国々もありますが、それぞれ様々な工夫や知恵を住まいに取り入れつつ、快適な暮らしを目指しています。
 今回のSPACE DESIGNでは、日本の恵まれた四季を暮らしに生かし、季節ごとの太陽の光、熱、風の通りを心地よく感じることのできる住まいづくりに取り組む建築家、由比清隆氏にお話を伺ってまいりました。

主催者
由比 清隆
http://www.areaconnection.net
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◆プロフィール
1958年山口県生まれ
関西大学工学部建築学科を卒業後、東京・大阪・福岡・山口の設計事務所、デザイン会社、建設会社で住宅・共同住宅・医院・オフィスビル・公共建築・幼稚園・店舗・博覧会パビリオンなどの建築設計・監理に従事。
1999年 アトリエ・K建築設計工房一級建築士事務所 開設
独立後は主に住宅・医院の設計に従事する他に、
専門学校などで建築・インテリアの講義を担当。
取得資格 一級建築士・インテリアコーディネーター・福祉住環境コーディネーター
所属団体 日本建築学会・建築士会
プロフィールUNDER

◆今まで請けた設計・デザインの仕事の中で、興味が持てた・非常に面白かった・やりがいがあったなどと思われた案件はありますか?それはどのような内容でしたか?
■ 住んでいる家を売って、別の場所に新しく家を建てたいので新しい土地を一緒に探して欲しいという依頼を受けたことがあります。
それまでの家は周りに自然もあり静かな環境でいいのですが、その反面、病院や学校、商店などが遠く、子供の通学や老後の生活が不安だという依頼主の考えでした。
それまで住んでいた家を買い取ってくれる人を仲介してもらうように依頼主と共に不動産会社何社かに出向きましたが買い手がなかなか見つからず、4年近くが過ぎてしまいました。
やっと買い手が見つかり、新しい土地を探すことになり、依頼主と共に7~8箇所の土地を見て回って、街中にありながらも周りに森もあるような環境のいい土地を購入することになりました。その後、延べ4ヶ月の設計期間を経て、ようやく工事を開始し3ヶ月ほどで新しい家が完成しました。このように建築主と共に土地探しの段階から参加することは大変ではありますが、そのぶん家が完成したときの喜びや充実感というものが感じられます。
 

◆一般ユーザーさんに対して、良い家を建てる為に設計士として何かアドバイスがあれば教えてください。
  ■ 良い家は車のように買うのではなく、こだわりを持って゛こんな住まいを創りたい゛という思いを持ったクライアント(施主)と設計者と施工者(建設会社、職人)の三者のコラボレーションによって生まれるものだと考えています。単に機能を満たすだけの建物ではなく、人間が育ち、成長して新しい何かが生まれて来るような、そんな建物創りを目指したいと考えています。生活の豊かさとは単に物質的な豊かさだけではなく精神的環境が満たされて初めて実感されるものではないでしょうか。
◆設計士・デザイナーとして建築に携わられて、仕事にやりがいや喜びを感じられるのは、どんな部分でしょうか?
■ 自分の設計した住宅に依頼主の家族が入居し、笑顔でとても満足していますというお言葉をいただいた時に一番喜びを感じます。周りの環境に自然に溶け込み、いい街並みを形成していってくれればなといつも思います。
◆今はまだ出来ないけれど、いつかこんな仕事をやってみたいというものがありますか?
■ 独立して事務所を自分で構えてからは住宅と医院を中心に設計してきましたが、チャンスがあれば店舗の設計も手掛けてみたいと思っています。独立する前には商業施設の設計も担当していましたが、住宅と違って一般的にお客が数時間しか居ない商業施設の場合、自ずと住宅設計のアプローチとは違ってきます。日常生活にないものを求めに人々は商業施設へ足を運ぶと言えますから、商業施設に求められるのは非日常的な空間になることが多くの場合にあります。時には、驚きのあるデザインも必要になります。お客本人やその友人・知人と共に楽しく過ごせる環境創りも大切な要素でしょう。  
◆これからの住宅・建物はこんな風になるだろうという予測、あるいはこんなふうになるべきであるというお考えがありましたら教えてください
■ 地球温暖化を防止する為にも自然エネルギーの有効活用がより重要になってくると思っています。
窓などの開口部を有効な大きさ・位置に配置し、太陽の光・熱・風を室内に取り入れることによって、化石燃料を出来るだけ使わないようにすることが大切。人間の生活リズムは朝日を見ながら目を覚まし、夕日が沈む頃には仕事を終えて、一日の疲れを癒すという生活が理想だといわれています。太陽の光の移ろいを感じながら、生活するということは心理的にもいい影響を与えるのではないかと思います。現代の人は閉鎖的な住宅や職場で体内時計の狂った生活を強いられ、心身が病んだりする弊害をもたらされているのではないかと思います。
◆取材後記
 今回、アトリエK建築設計工房の由比先生のお話を伺い、最も特徴的で感動したのは、先生の設計する建物はどれも開口部への工夫とデザインが素晴らしいということでした。先生の持論である、住まいに自然を採り入れるというコンセプトに沿って、住まう人々、またはそこを訪れ、空間を利用する人々がいかに心地良く過ごせるか、というテーマが設計の最優先にされているように思いました。お年寄りから子供まで、世代を越えてそれぞれが心地良さを味わえる家づくりに不可欠な要素。それが、太陽の光、熱、風などの自然の恵みを採り入れることであると実感させていただきました。

取材・文 建材ナビディレクター 中島