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建築家インタビュー
  • 掲載:2024年09月12日 更新:2024年12月12日

周辺環境が⼤きな決め⼿の設計で重要となるのは開⼝部と動線の計画。景観や周辺の条件に適した⾃然な動線計画を実現していく
上西徹建築設計事務所 上西徹

上西徹建築設計事務所
上⻄ 徹
上西徹建築設計事務所
上⻄ 徹(うえにしとおる)
建築家/⼀級建築⼠

〒709-1211
岡山県岡山市南区迫川1189番地
TEL:080-1905-7427
1989年 岡⼭県⽣まれ
岡⼭県⽴岡⼭芳泉⾼校卒業
岡⼭理科⼤学総合情報学部建築学科卒業
岡⼭理科⼤学⼤学院⼯学研究科建築学専攻 修⼠課程修了
2017年 上⻄徹建築設計事務所設立
2021年 岡⼭科学技術専⾨学校⾮常勤講師

受賞歴
2022年 第2回岡⼭県建築⼠事務所協会新⼈賞


周辺環境の条件から建築や空間が決まっていく

私の事務所の所在地が岡⼭県ということもあり、施主からは郊外の景観やゆとりのある敷地を活かした計画をしてほしいとの要望が多いです。

そのため敷地に頻繁に通い、周辺環境を⼗分に読み取った上で、それらの条件から建築や空間が決まっていくという順序で設計をしています。

建築全体の構成の中で開⼝部と動線の計画を意識し、常に研究している

建築をつくる上で、周辺環境が⼤きな決め⼿となる私の設計において重要となるのは、開⼝部と動線の計画です。景観を切り取ることで敷地そのものが持つ魅⼒を⽣活に取り⼊れたり、周辺の条件から室の配置が決まっていく中でそれに適した⾃然な動線計画を実現したいと考えています。

そのため実物や本を通して建築を観る際には、開⼝部と動線の計画を意識し、建築全体の構成の中でそれらがどのように計画されているのか常に研究しています。特に、美術館・博物館において、上記2つの事柄が空間に強く反映される場合が多いので、様々な美術館・博物館を⾒学してこれらを直接体感することが私の趣味ともなっています。


良好なコミュニケーションのため、現場に通う

職⼈と良好なコミュニケーションを取るために、現場に通う頻度を⾼めています。

職⼈や現場監督と話をしながら図⾯では伝えきれない部分を補いつつ、お互いのイメージがズレないよう配慮しながら現場監理をしています。職⼈や現場監督の提案によって計画の可能性が広がることもあります。特に建材の使い⽅やディテールに関わる部分での影響が⼤きいです。

⾃⾝が勉強して要望に応えられる提案をできるようにする

現在はSNSが発達しているので、⼀般の⽅でも専⾨的な情報が⼊⼿しやすくなっています。勉強熱⼼な施主から専⾨性が⾼い建築や空間の要望が出された場合、それを実現できるように私⾃⾝が勉強して要望に応えられる提案をしたいと考えています。

直近のプロジェクトでは、園芸・庭づくりが⽣きがいの施主に向けて住宅を計画しています。現在、施主が住んでいる賃貸物件において、室内空間の半分近くを植物が占めており、施主⾃⾝も植物の育成に適した室内空間や庭の計画を熱⼼に勉強された上で要望を出されます。このような条件下においては、⼀般的な室内空間や庭の計画を提案するだけでは植物を育成する上での採光や通⾵が不⼗分となり、施主が求める要望のレベルをクリアできません。

そのため、私⾃⾝も園芸・庭づくりに適した空間ついて今まで以上のリサーチをするだけでなく、実際に園芸を⾏いながら植物に適した室内環境を考察しています。⾃分で実践すればこそ、施主の気持ちや求められている空間が⾼い精度で理解・提案ができます。勉強熱⼼な施主に対しては、私⾃⾝もそれに追随していくことで施主の求める建築や空間を実現できるよう努めています。

専⾨性に特化して、空間の提案を突き詰めていく必要性

昨今の⽇本の住宅業界については、昨今の円安や戦争による資材の⾼騰、⼈⼿不⾜による⼈件費の⾼騰により、建築コストが⼤幅に上がっています。

また、総務省統計局の住宅・⼟地統計調査によると⽇本の総世帯数を住宅総数が上回ってからすでに50年以上経過しており、新築することなく住宅を⼿に⼊れられる時代です。空き家の問題も今後さらに増えていくと予想され、施主や設計者には新築・改修に関わらず、住宅を建てることの意味や価値が問われています。

つまり、単に⾬⾵を凌ぎたいからとか、まわりの⼈が買っているからという理由のみで家を建てる必要性は薄くなっており、施主とその家族の考え⽅やライフスタイルを反映して愛着が持てる住宅にこそ、それを建てる意味や価値が⾒出されると考えます。
別の⾓度から考えてみても、⼈⼯知能や3dプリンターといった新たな技術の活⽤が進めば、設計業務の縮⼩化とともに⼩さな設計事務所はさらに淘汰されていくと考えていて、私の事務所では今以上に専⾨性に特化して、⾃社が得意とする技術や建材の組み合わせ、空間の提案を突き詰めていく必要性を強く感じています。

専⾨性に特化する場合、特殊な建材や⼯法を積極的に採⽤していくことになりますから、採⽤する製品の品質の安定性や現場での施⼯の難しさといった課題と常に向き合い、建築をつくる覚悟が必要になると考えています。






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