Special Interview for Architects
2018年 秋号

【THE SPACE DESIGN】では、これからの住宅や商業施設における設計、デザインの動向を知り、そこで使用されるさまざまな建材アイテムの方向性を探るため、設計士、建築デザイナーを中心とするプロフェッショナルの方々に取材してまいります。

「新しい選択肢がひとつ増えれば、その分だけ社会は確実に豊かになる。」
一人ひとりの人生に、そしてこの社会に新しい選択肢を産み出していきます。

一級建築士事務所 秋山立花

秋山 怜史(SATOSHI AKIYAMA)

〒231-0012
神奈川県横浜市中区相生町3丁目60 泰生ビル3F cosmos

TEL:045-323-9347
FAX:045-323-9364

昭和56年生まれ
神奈川県立横浜平沼高等学校97期生 野球部主将
東京都立大学工学部建築学科卒業
平成20年~ 一級建築士事務所秋山立花 設立
平成26年~ 横浜国立大学非常勤講師
平成27年~ 神奈川県地方創生推進会議委員

どのような建築活動をされていますか?

 私たちは建築の設計と社会に新しい選択肢を産みだす仕事をしています。
建築の仕事の割合は個人の住宅が5割、保育園や介護施設が2割、集合住宅が2割、店舗などが1割といったところです。社会に新しい選択肢を産みだす仕事としては、シングルマザーの居住支援や商店街の活性化、ウェディングや墓地に関する課題解決など、多岐に渡って取り組んでいます。


御社の経営理念を教えてください。

 私たちは「社会と人生に新しい選択肢を産みだす」という理念のもと活動しています。建築に携わる以上、社会や人々の人生をより豊かなものにしたい。それでは豊かさとはなにかと考えたときに、私たちの答えは「選択肢が多いこと」でした。社会や人生に選択肢がひとつ増えると、その分だけ確実に社会や人生が豊かなものになると信じています。

 現在の日本に選択肢は少なくはないと思いますが、十分ではないのではないでしょうか。私たちはこの社会がより豊かになるために、そして将来の子どもたちのために豊かな未来を築けるために、一つでも多くの新しい選択肢を産みだしていきます。


建築に対する想いが明確に表現されたプロジェクトはありますか?

 日本で初めてとなるシングルマザー専用のシェアハウス「ペアレンティングホーム」です。このプロジェクトは、「子育てと仕事を両立できない社会はおかしいのではないか」という純粋な疑問から始まりました。子育ても仕事もどちらも人生にとって、とても大切なもの。ならば両立できることが本来当たり前であって、両立することができない世の中は間違っていると考えました。
 その想いから2012年にペアレンティングホームが産まれました。シェアハウスという特性を活かして、異なる世帯が集まって住むのはどうだろうか、核家族化し、地域から子育てが孤立しがちな都市部では、集まって住みながら子育てをするメリットがあるのではないかと考えたのです。
ひとり親家庭が子育ても仕事も楽しく両立することができる環境があるということは、"誰にとっても子育てと仕事の両立ができる社会"が近づくのではないかと考え、まずはシングルマザー家庭の居住環境をつくりました。

 当時、類似例がなかったこともあり、設立当初から多くのメディアにも取り上げていただきました。今後はシングルマザーのみならず、すべての子育て世帯が「子育ても仕事も楽しく両立できる」環境となるように、活動を続けていきます。


日本で唯一のサイト「マザーポート」とは?

 「マザーポート」はシングルマザーが入居できるシェアハウスを紹介する日本で唯一のポータルサイトです。ペアレンティングホームが2012年に産まれてから、各地で様々な方がシングルマザーシェアハウスを立ち上げていきましたが、多くのシェアハウスが入居者の募集に悩んでいました。素晴らしい思いで行っている取り組みが、それを必要としている人に届いていないという現実があったのです。
 シングルマザーの方が入居できるシェアハウスは、既存の不動産ポータルサイトではなかなか検索することができませんし、一般的な不動産サイトだと、そもそもシェアハウスが扱われていません。そこで、せっかく生まれたこの取り組みを応援していかなくてはと思い、ポータルサイトを立ち上げることにしたのです。
 シングルマザー家庭が入居できるシェアハウスの掲載だけでなく、シングルマザーの方が連載するコラムなど、シングルマザーの方にとって有益な情報も掲載することで、「港」のようなサイトになるように育てたいと思っております。


建築家として大切にされていることはなんですか?

 「建築家がなんでそんなことやってるの?」とよく聞かれます。確かに、一見すると建築と全く関係のないことのように見えますが、私たちが建築をこよなく愛し情熱を持って仕事をしている理由と、社会問題を解決していきたいという想いを持って活動している理由は全く同じで、「私たちが生活している社会を、子どもたちに引き継いでいく未来をより豊かなものにしたい」というものです。
 私たちは私たちの手によって生み出される空間が、その空間に住まう人、その空間を使う人を豊かにしていく力があると信じています。同じ様に、私たちの空間を産み出していく技術や知見は、社会課題を解決していくための仕組みを生み出すことに役立てられると信じています。
 建築家という立場から、社会と人生をより豊かなものへと形つくっていく。これは私たち秋山立花の使命であると考えています。

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