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  • 掲載:2016年12月01日 更新:2016年12月01日

環境や周囲の人々とともに笑い皺があるような素敵な歳のとり方のできる建築をつくりたい

筒井紀博空間工房
筒井紀博空間工房
筒井 紀博(KIHAKU TSUTSUI)
一級建築士 第306743号
〒168-0082
東京都杉並区久我山4-1-9 久我山ビル401
TEL:03-3247-8922
FAX:03-6657-8525

時とともに廃れていくような空間ではなく、環境や周囲の人々とともに。笑い皺があるような素敵な歳のとり方のできる建築をつくりたいと思っています。

経歴
1972年 茨城県生まれ
1995年 日本大学理工学部海洋建築工学科 卒業
1995年 石井和紘建築研究所
1998年 平野智司計画工房
現在 日本大学理工学部海洋建築工学科 非常勤講師


屋上スペースにアウトドアのミーティングスペースとくつろぐための公園スペースを提案

幼少の頃、祖父が亡くなり、葬儀をおこなったのが東京カテドラル関口教会でした。
幼少ながらに、その空間の持つ荘厳さに圧倒されたのを覚えています。
思い返せば、この時がはじめて建築に興味をもった時だったように思います。

なんの仕事の当てもなく29歳の時に独立しました。以前勤めていた事務所で担当させていただいたアパレルメーカーの本社ビルがあります。そちらへ退職の挨拶に伺った際に、「設計してくれたこの本社ビルのおかげで、うちもすっかり体制が変わり、経営もよくなりました。お礼といってはなんだけど、独立祝いにこの建物の屋上にスタッフが憩える屋外空間をデザインしてくださいよ」と言われたのが、最初の仕事です。

お金はないけど、時間は有り余っていたので(笑)、何度もエスキスを繰り返し、屋上スペースにアウトドアのミーティングスペースとくつろぐための公園スペースを提案し、ほぼ原案通りに実現させていただけたことを鮮明に覚えております。今思えば、とても太っ腹な施主ですよね。



環境や周囲の人々とともに素敵に歳をとっていける建築を

 建築とはそこに存在する必然性がある空間と考えます。そのためには、その土地がもつ気配のようなものを敏感に感じ取ることが重要です。都心部で建築する場合、感性を刺激するような環境というものが少ないのが現状です。住宅が密集していたり、環境自体が劣悪であることが多いため、何をヒントに設計して良いかわかりにくい場合も多いです。

 そのような状況下でもかすかなヒントを見出し、それらを活かすことによって素晴らしい空間になると思います。また、建築は40年、49年と存在し続けます。新築の時が一番美しく、時とともに廃れていくような空間ではなく、環境や周囲の人々とともに素敵に歳をとっていける建築をつくらなければなりません。笑い皺がたくさんあるような素敵な歳のとり方のできる建築をつくりたいと思っています。

そして人々には五感があります。現代人は視覚に頼る傾向がありますが、もっと他の感覚、人間のもつ五感のすべてを使って生活していけるような空間も心がけています。


視覚が主体ではなく、他の五感を主に使う建築というものを設計してみたい

 ここ数年は7、8割が住宅、残りが商業施設や事業物件などを手掛けております。私がクルマ好き、犬好きということもあってか、ガレージハウスや犬と暮らす家といった依頼が多いのが特徴的です。エリアは特に問わず、全国からご相談いただいております。

東日本大震災以降は二世帯住宅が多いのも特徴的ですね。住宅のおよそ半数が二世帯住宅となっています。 また、独立してから14年経つのですが、初期の頃の建主さんから連絡をいただき、家族構成の変化や生活スタイルの変化に伴って、リノベーションの依頼も時々いただきます。

今後は人が集う空間の中で、視覚が主体ではなく、他の五感を主に使う建築というものを設計してみたいですね。たとえば美術館やギャラリー、教会、水族館など挙げだすとキリがないですが、どのような施設でも、五感をフルに利用することのできる空間というものを手掛けてみたいです。

あとは非日常を演出するセカンドハウス。法規制が厳しくなる一方の都市の建築ばかりではなく、自然豊かな場所での建築もバランスよく手掛けていきたいと考えております。



施工事例

ARCHITECT
設計士インタビュー
シーズン毎で取材させて頂いている設計士へのインタビュー記事です。2007年秋にスタートして四半期毎に新しい記事の更新をしています。住宅、集合住宅、商業施設、公共施設など設計士の体験談をお楽しみください。
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