メーカーインタビュー
細田木材工業株式会社
限りある天然資源としての木材。
長い歴史を重ねてきた木材の街「新木場」はいま、時代の流れに沿うべく
新たな舵取りを模索し、動き始めている。
2014年 3月
インタビュー / 建材ナビ・アートディレクター

木材のプロが追求する「高付加価値の製品」とは

高広木材株式会社

細田木材

― 歴史のある新木場の木材業といえば、古風でどちらかといえば、ITは苦手とされている印象があるのですが、御社では実に積極的に活用されていますね?

細田:それは二代目、私の兄にあたる先代の社長で現在相談役が情報技術にすごく関心をもたれまして、60歳になってからパソコンを始めて、新木場で一番始めにHPを開始しました。
パソコンじいさんと言われながら、うちの中で一番通じてるんです(笑)
15年前には営業マン全員にパソコンを持たせまして、営業マンと生産担当。そして最近ではiPadをほとんどみんなに持たせて営業に使っております。全てのその推進を中谷参事がやってます。だから、会議はもうペーパーレス。

中谷:もともとITが専門じゃなくて、私も元は営業をやっていました。それから15年ぐらい前に生産部の担当になって、そのあと今のITで営業を広めていこうということで担当になってもう7、8年ぐらいやってます。

細田:だから、営業もわかる、生産もわかる。何でもわかる人がIT の総責任者になっているわけです。

奥村:簡単に説明しますけど、iPad を営業のツールにしようということですけど。まずは、持ち運 びできるホームページとして有効です。次に、やっぱりお客さんのところに持っていって施工事例をお見せするツールとして結構魅力があります。弊社では先ほど話があったウッドデッキの工事を行っているので、自社で施工した例を直接お客様に見せて営業しています。例えば、弊社の業務内容をあまりご存知ない人にはこういう有名なところを見せます。上野公園にパークサイドカフェ、スターバックスコーヒーの施設ができたのですけど、この様な木造の建物の建て方を、弊社で施工したましたとか。 この部位には檜の大きな長い梁とか使っていますとか説明します。あとはここにウッドデッキがあるのですが、これも弊社で施工させていただきましたとか。こういう話をしたりします。この様な公の有名な場所はみなさんが行けるところなんで結構説得力があります。

― 御社ではipad を営業のツールに実に上手く取り入れていらっしゃいますね。施工例もスムーズに見せられますし・・・。ほかにはどのようにお使いでしょうか?

奥村:弊社には設計事務所の資格と建設の資格もあるので、家も建てられます、木材が好きな人に 対して内・外装に木材を仕様した例をお見せします。私どもで作ると適材適所に木材を使ったこのような、家になりますよと目の前で見ていただけます。
施工例を見せる以外にiPad を、電子カタログとして使うこともあります。例えばフローリングでしたら、このアプリケーションに、フローリングのカタログを入れておきます。一概には言えませんが今は重いカタログや荷物を持って出かけて、これはこれです、これはこれですってやるような時代ではないと思います。
あとは、製品情報や住宅に関する情報を入れておけば、例えば住宅エコポイントのことなど聞かれたとしても、すぐに答えられますから。また、展示会情報なども詳しく入れておけば、いつどこで何をやっているかもすぐ教えてあげることもできるわけです。

― 御社が提唱する付加価値のある商品とは、お取り扱いの製品から具体的に挙げていただけますか?

中谷:弊社が今、力を入れている高付加価値製品のひとつに「アコヤ」というオランダ製の木材があります。
通常の木材ですと、木材には割れる、狂う、腐る、燃えるという四つの欠点があるのですが、アコヤは燃える以外はすべてをクリアした木材なのです。それは通常は薬品を塗ったり、樹脂を注入したりして木材の安定性を図り腐らないようにしたりするのですが、アコヤ自体はもう化学的に処理をしてしまって組成を変えてしまう。
アセチル化木材といいますが、木材の中にお酢の原料である無水酢酸を高温で中に注入します。木材には水酸基OH 基というのが末端基についているのですが、それをアセチル基に置き換えてしまうと水酸基は親水性で水と仲良くしますがアセチル基は疎水性で水と仲良くしないですから、水を吸いにくくなるんですね。
木材が狂ったり割れたりするのは、水を吸って伸びたり、水を放出して縮んだりすることが主な原因です。
木材が水を吸収しにくくなり、収縮率を75 パーセント抑えてるということです。 アセチル化することによって水を寄せ付けないから虫も食わない、白アリも食わないということです。
通常では薬剤処理をして腐らないようにするのですが、薬剤処理をしてないのに薬剤処理をしたのと同等の防腐性能があるという、日本木材保存協会の認定も取っている木材です。 無処理の木材だと数年で腐ってしまいますけれども、アセチル化木材は地中や水中でも25年。それから地上、通常の外部で使っていても50年はもちますというそういう木材です。

細田:「アコヤ」とともに非常に付加価値の高い製品は不燃木材ですね。

※イペを使った「ウッドデッキ」「ベランダ」の施工例
ものづくりの原点が此処にある、木材のルーツ、新木場を訪ねて。

中谷:私どもでは不燃木材にも非常に力を入れており、国産の杉とか檜を不燃材として使おうと考え製品化しております。不燃木材も特に国産材を使うことで、新しい付加価値のある製品が生まれてきました。公共建築物等木材利用促進法という法律が2010年に公布されました。今、国産材のブームといいますか、国産材を2020年までに50パーセントの自給率にするという国の施策もあります。
私どもでは多摩産の東京の杉を地産地消として使おうということで、多摩産の杉で羽目板を作ったりしています。
そしてこれらの付加価値の高い製品をIT技術も駆使しながらお客様にご提案しています。木材をそのまま使うのではなくて、普通に木材を使ったらこういう欠点はあるけれども、不燃木材にすればこういう場所でも使えますよ、アセチル化木材だったら、こういうふうに使っても狂いませんよ、腐りませんよ、虫にも食われませんよなどのようにです。
また設計事務所さんにも、木の欠点を良くご理解して頂いたうえでプランニングしていただけるよう、私どもからご提案させて頂いております。木材は例えば腐るという欠点はもちろんあるのですが、それは木材の欠点以上に施工の仕方によるところが多いと思うのですよね。いわゆる設計の段階で、木材が腐るような場所とか雨がかりのあるような場所の高さに木材を使うなどのプランニングが原因の場合もあります。だからそこのところも木材はこう使っていただいたらよいですよというような木材の欠点をよく知った上で、設計事務所さんにプランニングしていただくというのが必要だと考えるからです。

― まさしく御社が「木のソムリエ」企業であるという事例として印象深いお話ですね。また、御社では地産地消費の精神で東京産の木材も取り扱っていらっしゃると伺いましたが。

細田:東京でも東京の公共建築物に東京の木材を使いましょうという方針が出されましたね。それから使われるようになりました。それとやはり東京の山が荒れてしまって、なんとかしなきゃいけないと。地方も 一緒なんですけども。全国的な悩みがあって、それがやはり都道府県ベースで、やっぱり東京も東京の多摩の杉をきちんと使おうという動きが多いですよね。

奥村:いま多いですよね。例えば神奈川県だったら、神奈川県産の木材を使いましょうとかね。何とか県産材を使う、地元の木を使おうみたいなね。

細田:もっと極端になりますと、学校の改修に今立ってる杉の木を使ってくれという話がこの間ありましたよ。先日はそれとはまた別なんですけど、R大学に有名なプラタナス、スズカケノキがあるんですけども、あの木が校内を改修するというんで、何本か切ったんですね。その材木がうちに持ち込まれまして。それを加工してベンチにしました。だから、そういう自分たちの木を自分たちのところで使おうという動きがすごくありますね。