メーカーインタビュー
高広木材株式会社
限りある天然資源としての材木。
長い歴史を重ねてきた材木の街「新木場」はいま、時代の流れに沿うべく
新たな舵取りを模索し、動き始めている。
2013年 12月
インタビュー / 建材ナビ・アートディレクター

逆境をビジネスチャンスに。レッドシダーとの出会い

― そうした過当競争の中で、独自性を出すということは大変だったのでしょうね。

渡辺:やるという気持ちと、そして投資ですね。投資というのは、金銭の投資ね。やる気の闘志じゃなくて…。
もっともそっちも必要なのでしょうが(笑)
独自性を出せる商品を模索し、失敗もしながらいろいろな経験を経て、ある時レッドシダーに巡りあいました。われわれも木を扱っていますから、いいとか悪いとか、一応の基準を持ってレッドシダーを見たときに、とてもいい木だと思った。ただ、いい木というだけではなく、他にも惹かれる部分があったのです。

― どんなところに惹かれたのですか?

渡辺:たまたまカナダの林産会社のオークションがあったときのことです。日本のバイヤーを集めて、競りが行われました。人気の商品には人だかりができているのに、レッドシダーのところへ行くと、誰も買う気がない。かえって興味をそそられました。
カナダでは、外壁や屋根、外構にふんだんに木をつかう文化があり、レッドシダーはそういった外回りによく使用される木材です。
カナダ、ブリティッシュコロンビア州に多く生育しているウエスタンレッドシダーは、ヒノキ科の樹木で、天然の抽出成分が殺菌力をもっているため、自然の力で腐朽菌や害虫の侵入を防ぐことができます。また、寸法の安定性がよいという特性もあり、外壁材やウッドデッキ材などの用途にとても適しています。
ただ、日本では、都市を多く焼失した経験をもとに、燃えない都市を目指すようになっていったため、外で木をつかう、という事例が極端に少なくなり、当時レッドシダーに興味を持つ人がほとんどいなかったのだと思います。今から考えると、そんな、人が買わないというところに、何か可能性のようなものを感じたのかもしれません。

高広木材株式会社

―逆にチャンスを感じられたというわけですね?

渡辺:そういうことです。でも、買ってきたはいいけど、やはり簡単には売れませんでした。もともと当時は誰も見向きもしなかったわけですから。
その頃はわれわれも、構造材の卸売りでなんとかビジネスを継続していましたが、過当競争が進んでいくと、採算が悪くなることは目に見えていました。そこで、たとえ時間がかかったとしても、独自性を打ち出す商品として、レッドシダーを育てていこうと決めたのです。それから25年になります。

― 日本にレッドシダーが広まるまでには時間がかかったのですか?

渡辺:本当に少しずつ、という感じです。最初はサンプルの発送ばかりしていました。そのうちに、自分で体験しないことには新しい道を開拓できないと思うようになりました。まずはレッドシダーを使って自宅を建てるところから始め、次に会社を丸ごとレッドシダーのショールームとして作り替えたのです。弊社も苦しい時期で、かなり思い切った投資でしたが、それが高広木材の転機となりました。20 年前のことです。

高広木材株式会社

― 商売の方向性は、どのように変わっていったのでしょうか。

渡辺:やはり、大量生産品の価格競争から、「こだわる人向け」のオーダーメイドに対応する商売へと変わっていったと言えると思います。同時に、自らレッドシダーを実際に使う経験を重ねたことで、経年変化を体感でき、日本の気候に合わせた施工方法やメンテナンスのアドバイスができるようになったことは、現在の高広木材の強みになっています。

― 御社のホームページの物件レポートを拝見しても、ひとつひとつの物件にこだわりが感じられますね。

佐々木:例えば、最新のレポートでは、施主の方が直接高広木材に問い合わせてレッドシダー製品のサンプルを取り寄せ、自らいろいろな塗料を試す、というエピソードを紹介しています。
「木をつかった家にしたい」というこだわりを形にした事例を掲載することで、同じように自然素材を家づくりに取り入れたいと考える方の参考になれば、という思いから、物件レポートを企画しました。
また、建築家の方に向けても、木材の種類に応じた使い方などを把握した上で、適材適所に材料を選択してもらうための情報発信をきちんとしていくことで、レッドシダーを建築に取り入れる機会を増やしてもらえたらと考えています。

― 御社のホームページには、施工についてのアドバイスや、どこが大変だとか、どういうふうに悩んだとか、お客様の生の声がすごく反映されていますね。非常に価値の高い情報が詰まっているなと感じます。

佐々木:ありがとうございます。そう言っていただけると、嬉しいです。
心がけているのは、きれいなところだけではなく、10 年後はどうなのだろうかなど、そういったこともきちんと伝えていこうと。社屋をメンテナンスした際のレポート記事も、そんな考えから掲載しました。
外壁材は、14 年経過して部分的に傷んでいる箇所もあったのですが、ありのままを見せています。
木は「~年で腐る」と一概には言えない。直射日光のあたり具合や水切れの良し悪しなどで10 年後の状態がかなり違ってくる、ということを伝えたいと思いました。普段営業活動をしていて、電話などで経年変化に対する質問であるとか、メンテナンスの不安などをダイレクトに聞く機会があるので、そういったことこそ、必要とされている情報なのでは、との思いがありました。

高広木材株式会社